2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

2009年5月

2009年5月31日 (日)

がん化のリスクのないiPS細胞を作れるようになった?!

 iPS細胞を活用した理想の再生医療を実用化する上で大きな課題となっていたのが、患者の体から採取した体細胞から作り出したiPS細胞のがん化することだった。

 ウイルスベクターを用いた遺伝子を導入し、これにより体細胞をリプログラミングする以上、どうしても遺伝子の突然変異が起こりやすく、細胞ががん化してしまうわけだが、そのために化合物を用いたiPS細胞の樹立報の開発が進められてきた。このブログでも、4月24日に、スクリップス研究所のシェン・ディンらがタンパク質を導入することで、iPS細胞化できるようにしたという話題を紹介したが、AFPニュースのウェブサイトに、ちょっと気になる記事があったので紹介したい。

 いつものことながら、詳しくは記事を以下のサイトを読んでもらおうと思ったが、あまり詳しくないので、ここで紹介しておくと、ロバート・ランザ、カンスー・キムの研究グループが、「細胞に浸透するペプチドを用いて遺伝子を融合させる手法で、遺伝子を導入することに成功」(AFPの原文のとおり)したようだ。この説明だけでは、どういうことなのかよくわからないんだが、ウイルスベクターを用いて遺伝子を導入していた方法に比べ、遺伝子の突然変異のリスクがないようだ。

 研究成果の詳細については、Cell Stem Cellのウェブサイトにアップされている原著論文を読むほかないようだが、AFPの記事では、来年半ば頃までに臨床試験を開始するということまで紹介しているということは、がん化のリスクはほとんど亡くなったと考えていいんだろう。

 とすると、けっこうすごいことじゃないですか?

 私自身、iPS細胞を用いて、患者由来の細胞で作った臓器を移植できるようになるには、

(1)リプログラミングした細胞(iPS細胞)のがん化の問題

(2)iPS細胞を元に大きな臓器を構築することができない問題

 の2点が大きな障壁になると考えていた。

 (2)については、血球細胞のような単離した細胞を作るのであれば、うまく分化誘導して、成熟細胞まで作ることまでできているものもあるようだが、大きな臓器を構築するとなると、ほとんど手つかずといっていい状態にあると認識しているが、今回のランザ、キムらの研究グループの成果により、(1)については、問題解決の目処は立ったと言っても過言ではないのかもしれない。詳しくはCell Stem Cellを読まないと何とも言えないが(英語の論文を読むの、苦手なんだよなぁ。科学記者失格です)、まぁ、すごい研究成果であることは間違いないだろう(まさかねつ造なんてことはないよね?)。

 それから、もう一つ、Cell Stem Cellの論文をチェックしていて、驚かされたのは、研究を主導したランザ以外のコオーサーの名前が、前述の金を含め、すべて韓国系らしき名前ばかりってことだ。しかも、キムがかつてディレクターを務めていた、CHA Stem Cell Institure、CHA Universityの研究者も参加している。

 昨日、このブログで、中国、韓国が欧米に若手研究者を派遣して、優秀な人材を輩出している状況を受け、日本も若手研究者を武者修行に出すという政策を進めようとしていることについて紹介したが、今回の論文の研究に、多数の韓国人が参加しているという事実を見せつけられると、日本って本当は、どんどん置いてけぼりになっているんじゃないかって気になってしまう。

 以前、iPS細胞研究に関して、アメリカと比べて、日本は1勝10敗状態になるってことについて、私は「まだまだ途半ばなんだから、あせる必要はない」と書いたが、ちょっと心配になってしまったなぁ。私の認識が甘いだけで、中国、韓国は、研究者を海外に派遣して、どんどん高いレベルの技術を身につけ、ゆくゆくは母国に戻ってくるのだとしたら、日本は本当に置いてけぼりになってしまうのかもしれない。う~ん、これもけっこう大きな問題だ。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2606792/4200707

http://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(09)00214-8

 ではでは・・・。

2009年5月30日 (土)

若手研究者の海外武者修行 3か月で意味あるものになるのか?

 若手研究者の処遇について、ポスドクの採用を、企業に促すため、1人当たり500万円の持参金をつけるという政策が論じられていることについて、このブログで批判させてもらったが、文部科学省が新たな若手研究者支援策を計画しているようなので、紹介したい。

 詳しくは、科学技術振興機構(JST)のサイエンスポータルに紹介されているので、ご覧いただきたいのだか、中国や韓国などから欧米への龍学が増加しており、優秀な若手研究者が次々と輩出されていることを考慮し、「若手研究者海外派遣事業(仮称)」を創設し、今後、5年間で1万5000~3万人の若手研究者や大学院生を海外武者修行に送り出すための基金を設置しようというのである。

 企業にポスドクを採用させるための持参金には反対したが、今回の政策は好意的に受け取っている。欧米と日本を比べて、日本の研究環境が極端に遅れているとは思わないが、アメリカは世界中から優秀な研究者が集まってきていることは間違いないわけで、そうした環境で揉まれることは若手研究者にとっても有意義なことだろう。というか、これまでも、若手研究者には、もっと積極的に海外留学してもらい、見聞を広めるほか、海外の研究者とも対等に論議できるぐらいにはなってもらいたいと考えていた。

 しかし、ちょっと気になるのが派遣期間だ。研究者個人を支援する「優秀若手研究者海外派遣事業」の場合、3か月以上ということで、上限を設定していないが、大学などの研究機関(組織)を支援して、大学院生や若手研究者の海外派遣を促す「若手研究者など機関間国際交流支援事業」では、3か月~1年間という限定が設けられている。

 記事の文面だけではよくわからないのだが、組織支援型の場合、「若手研究者海外派遣事業(仮称)」での支援は1年までで、それ以降は組織がサポートするので、長期の海外派遣もあるってことなんだったらいいんだが、最大で1年程度なら、武者修行といっても、それほど大きな意味はないんじゃないろうか。

 記事によると、基金の規模は300億円になる予定で、けっこう大きな額なのだから、それこそ1万5000~3万人なんて規模にしないで、数千人でいいから、3~4年は行かせてみるのもいいと思うのだが・・・。

 そんなことしたら、頭脳流出が進むのではないかという非難を受けそうだが、必要なのは若手研究者が日本に留まっていないで、海外に出て、高いレベルのラボで見聞を広めることだろう。だったら、数か月程度で帰ってこれてしまう制度より、数年は籍を置いて、じっくり、最先端のラボの空気を身にしみこませてくるほうがいいと思うわけだ。

http://scienceportal.jp/news/daily/0905/0905291.html

 ではでは・・・。

2009年5月29日 (金)

これでアルファブロガーの仲間入り?

 政府が策定を進めている「宇宙基本計画」に、二足歩行ロボットによる月面探査が盛り込まれようとしていることを、過去2回、このブログで批判したが、パブリックコメントでも、同様の批判を相次いだようで、そのことを毎日新聞やJ-CASTニュースが報じている。しかも、そのニュースをYahooがトップニュースで扱い、さらに、このブログのことまで紹介したので、今日の13時台から一気にアクセス数が増加してしまった。

 ブログを始めて2か月ほどで、科学関連の話題でしか記事を書いていないから、アクセス数は決して多くない。多少、定期的に覗いてくれる方がいらっしゃるのか、新規の更新を続けたくなるぐらいにアクセスしてもてらっているが、それでも多い日でアクセス数は100件程度。ここ2週間程度の平均は70件程度だった。

 しかし、Yahooのトップニュースに挙げられたものにリンクが張られると、一気にアクセス数が増加し、率直に言って、驚いている。0時~11時までの1時間あたりのアクセス数は0件から3件と、普段よりも少なめに推移して、12時台になって10件と、ちょっと持ち直したのが、13時台になったとたんに210件。14時台は380件ものアクセスをいただいた(ありがたいことです)。

 “アルファブロガー”と呼ばれている方々が運営されている有名ブログと比べれば、時間あたり、200~300件のアクセスなど、まだまだ少ないのかもしれないが、1日の総アクセス数が100件に満たない地味なブログを書いている身にしてみれば、驚くのも仕方がないだろう。

 で、毎日新聞、J-CASTニュースだが、基本的に論点は、私が以前に書いたブログと同じなので、今一度触っることもないだろう(というか、今、このブログ記事を読められいる方は、先にJ-CASTニュースの記事を読まれているんでしょうね)。

 ただ、J-CASTニュースの取材に対して、戦略本部がコメントしているので、これには触れておきたい。一部抜粋して引用すると、「(前略)我が国が得意とする特徴あるロボット技術であること、将来の有人探査を視野に入れたとき、人間に近い形状が意味を持ってくること(後略)」ということなんだが、私にはこれもちょっと的外れに思えてしまうのだ。

 宇宙開発に限らず、二足歩行ロボット(というか、ここはヒューマノイド・ロボットと言い換えたほうがいいかもしれないですね)を開発する意味合いについて、人間が働く環境で利用することを考えると、人間型のロボット(ヒューマノイド・ロボット)であるほうが都合がいいということが言われている。この点については、かつて私も肯定的に受け入れていたが、産総研が開発したロボットがフォークリフトを操縦している様子の写真を見た時には、大いに疑問を感じてしまったのだ。

 ロボットがフォークリフトを操縦していること自体は、技術的にすごいことだろうから、評価しないとしけないのだろうが、この写真を見た時、これならヒューマノイド・ロボットを開発しなくても、フォークリフトをロボット化すればいいと感じてしまったのだ。そのほうがずっと技術的なハードルは低く、役立つものができるんじゃないだろうか。

 遠い将来、鉄腕アトムやドラえもんが実現するならともかく、これからの20、30年のうちに発展するであろうロボット技術なら、ヒューマノイド・ロボットに人間の作業を手伝ってもらおうとせず、現在ある工作機器をロボット化したほうがよっぽと有効ではなかろうか。

 だから、月面探査に二足歩行ロボットを活用するという方針が示された時、産総研のロボットがフォークリフトを操縦している時と同じ違和感を感してしまったというわけだ。

 結局、同じ批判の繰り返しになってしまったようだが、1時間に300アクセスもいただいたので、その御礼も込めて、書かせていただいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090527-00000011-maiall-soci

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090529-00000000-jct-soci

 ではでは・・・。

渡り鳥の減少の原因は地球温暖化なのか?

 地球温暖化の影響は、様々な野生生物に及ぶと危惧されているが、それが現実になったかのような記事が、読売新聞に掲載されていたので紹介したい。

 いつものことながら、詳しい内容は以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、毎年、渡り鳥が飛来する宮城県内の故障で、ガンやハクチョウの数が例年より少なくなっていたというのだ。しかも、その原因を宮城県(?)の自然保護課の職員が「暖冬の影響で、冬を越すために南下する必要が遅れた」とコメントしているようだが、ちょっと短絡的すぎやしないだろうか。

 確かに地球温暖化が進めば、渡り鳥が越冬地に移動する必要はなくなるかもしれないが、いくら地球温暖化が深刻化しているといっても、厳冬期にはマイナス10℃、20℃にもなる繁殖地で越冬できるものではないだろう。何より、日本国内が暖冬になっていることで、渡りをしなくてよくなるというのは的外れに思えてしまう。

 もちろん、地球温暖化が渡り鳥の行動に影響を及ぼしていないというつもりはないが、もし、本当に影響して宮城県内の越冬地にまで南下しなくなっているというのなら、中継地に留まることになって、中継地での飛来個体数が増加していなくては辻褄が合わないと思えるのだが、この点はどうなっているのだろうか?

 記事の中では、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団の島田哲郎主任研究員のコメントで、マガンの越冬地が徐々に北上していることも紹介し、渡り鳥の生態に温暖化が影響を及ぼしていると示唆しており、この点は注目に値するが、渡りへの影響を論じるには、越冬地での飛来個体数変化だけでなく、繁殖地や中継地点を含む広域的な研究を行う必要があるのはないだろうか。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090524-OYT1T00355.htm?from=navr

 ではでは・・・。

2009年5月28日 (木)

100年後の桜の開花予測なんて科学的に意味あるものなのか?

 地球温暖化問題では、今世紀末頃の気候変動まで予測され、IPCCの第4次報告では、最悪のシナリオの場合、4.0℃上昇するとしているが、以前から100年も先の話なんて予測できるものかと疑問を感じていた。

 もちろん、こうした予測は、気候変動を数値化したモデルを用いて、コンピュータ・シミュレーションした結果なので、今後、その結果が正しいかどうかを検証していくことは科学的に価値あることだと思う一方、あんまり振り回されてもいかんなぁ~という想いを抱いていた。

 こうした思いを抱くようになったのは、IPCCの第4次報告を引用して、「6.4℃上昇する」ということばかりを紹介するメディアが実に多かったからだ。

 最近でこそ、温暖化懐疑論も台頭してきているためか、「6.4℃の上昇」というフレーズを見ることは少なくなったが、そもそも、この6.4℃の上昇というのは、気候の変動予測を進めう上で、数あるシナリオのうち最悪のシナリオ(A1F1)であり、その中でも最悪の予測(中央値は4.0℃)を持ち出しているに過ぎない。決して断定的に語れるものじゃないのに、どうも驚かせることに主眼に置いたメディアが、こういう手法をとることが多いのには、いささか閉口しています。

 私自身、その片棒も担いだことがあるだけに、あまり偉そうなことを言うつもりはないんだが、IPCCの100年後の予測を持ち出して、さらに予測を加えるっていうのは、あんまりほめられたことじゃないと思っていたが、そんな記事をオリコンが報じていたので、紹介してみたい(ちょっと前置きが長くなってしまいましね。すみません)。

 いつものことながら、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に内容を紹介しておくと、気象情報の提供サービスを行う民間企業のウェザーニュースが、IPCCの気候変動予測をもとに、独自に地域別の気候分布を予測。これから桜の開花予測を実施したところ、地域によっては約100年後の2110年には、開花しなくなることもあるという結果が得られたというのだ。

 桜は秋になると休眠状態になるが、一定の低温環境に晒されることで、この休眠が打破され、春の開花に備えるようになるのだが、IPCCの最悪のシナリオ(記事中では明確な表現はないがA1F1 シナリオのことだろう)通りに気候変動(気温上昇)が起こると、休眠が打破されずに、季節通りの開花が見られなくなるというわけだ。

 しかし、IPCCの予測に従えば当たり前といえば当たり前の結果でしかないように思えてしまうが、こういう研究って科学的に意味があるといえるものだろうか。

 そりゃ、IPCCの予測が確実性の高いものであれば、この桜の開花予測も意味を持つものになるんだろうけど、大気中の温室効果ガス濃度が高まれば気温は上昇するということには異論はないとしても、実際、何度上昇するかなんてことになると、その正確性については疑われているわけだろう。だったら、それに基づいた100年後の桜の開花予測など、科学的に意味があるものとは思えないんだが、どうだろうか・・・・。

 まぁ、民間企業がやっていることなので、いちゃもんをつけること自体、大人げないことかもしれないが、地球温暖化に絡む予測って、どうしてこうも悲観的なものばかりなんだろう。以前も、このブログで、地球温暖化の影響で、暑さで亡くなる人が増えるっていう研究成果を発表するなら、同時に寒さで死ぬ人がどれぐらい減るのかってのも研究しないとアンフェアだろうってことを書かせてもらったが、環境科学って悲観的な予測をすることばかりにバイアスがかかってしまうんだな。そんなことを今一度、考えさせらられたニュースだった。

http://career.oricon.co.jp/news/66501/full/

 ではでは・・・。

2009年5月26日 (火)

極超音速航空機の実験は成功したようだけど・・・

 海外旅行は心浮き立つイベントではあるんだが、とにかく嫌なのが、あの長時間のフライトだ。私自身、体格的に人並み以上に大きいということもあって、狭いエコノミークラスのイスに10時間近く座り続けていないといけのは、どうにも我慢できず、「早く、太平洋をひとっ飛びできるような航空機が実用化されないものか」と感じていた。

 そんなわけで、ついつい興味をもってしまう実験成功のニュースが、AFPなどで報じられているので、紹介したい。

 いつものことながら、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、記事内容を簡単にしょうかいしておくと、アメリカ、オーストラリアの研究グループが、オーストラリアのウーメラで実施した「極超音速」の航空技術の実験に成功したというのだ。

 今回の実験計画はHypersonic International Flight Research Experimentation(HIFiRE)と呼ばれるもので、AFPのサイトでは「極超音速国際航空実験」と訳されている。つまり、次世代の航空機を開発するための実用研究なわけで、以下の記事でも過去の実験に際して、「シドニーからロンドンまでの1万7000kmが最短2時間で移動可能になる」と述べていたと紹介している。

 シドニー・ロンドン間を2時間で移動できるなら、長時間フライトが嫌で嫌でたまらない私にとっては朗報なのだが、一方で「これって本当に実用化されるのだろうか?」という疑問のほうが先に湧いてしまうのだ。

 というのも、今回の実験で用いられた実験機は、ロケットで宇宙に発射された後、極超音速の実験のため大気圏に再突入したものだという。いったん、大気圏外に出るのは、あくまでも実験のためのものであって、実用化された際も、同様の軌道で航空機が飛ぶのかどうかはわからないが、あまり燃費のいいものとは言えないと思えるのだが・・・。

 いちおう燃費の問題は、AFPの記事でも触れられており、「速度と燃費の面で『飛躍的進歩』をもたらし・・・」と紹介されているが、現状の旅客機と比べた場合、この燃費っていうのはどう評価されるんだろうか?

 燃費の悪さなどから運航コストが高いことを理由に、コンコルドが運航停止になったことを考えると、いくら極超音速での航行が可能になると言っても、高燃費では普及するものではないだろう。

 まぁ、少しでもフライト時間は短いほうがいいわけで、こうした研究は大歓迎なのだが、運航コストに直接影響を及ぼす燃費の問題が克服できない限り、実用化させたとしても普及するものではなだろうから、まずはシドニー・ロンドン間2時間なんて夢のようなフライトを目指さずに、実用的な燃費で、少しはフライト時間を短縮できる航空機の開発に力を入れたほうがいいんじゃないだろうか。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2605009/4178025

 ではでは・・・。

2009年5月25日 (月)

インフルエンザの新薬候補はコンピュータで選ばれた!

 1週間ほど前までは新型インフルエンザに対して危機意識を煽るような報道が目立っていたが、ここ数日は逆に鎮静化を図る報道が顕著に増え、政府も同様の意図をもったCMを放送するなど、冷静な対応を求められるようになっている。私自身、メディアの末席にいる身ながら、つい先日まで「危ない!危ない!」って騒いでいたのに、急に「冷静な対応を! それより水際作戦は失敗だった!」っていう矛先変えには、いささか閉口してしまう。

 まぁ、それがメディアの習性だといえば、それまでになってしまうんだが、SCIENCEが「致死率0.4%」を発表した時点で、それほど心配する必要はないという姿勢を示していればよかったのになって今更ながらに感じる今日この頃である。

 とはいえ、一般的には今冬に心配された高病原性のインフルエンザではないにしろ、感染しないほうがいいわけで、感染したとしても重症化しないための薬があったほうがいい。その点で、注目すべき研究成果を朝日新聞が報じていたので紹介したい。

 いつものことながら、記事の詳細については、以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に紹介しておくと、今回の新薬候補となりうる化合物は、筑波大学と横浜市立大学の研究グループが見つけたもので、インフルエンザウイルスが増殖する際に働くRNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの増殖を抑えるというものだ。研究成果は欧州分子生物学機関の機関誌に発表されたようだが、特許も出願されたようだ。

 ご存じかと思うが、インフルエンザウイルスの遺伝子はRNAで、増殖するにはRNAポリメラーゼが働いて、遺伝子が増えることが必要となる。このRNAポリメラーゼは、PA、PB1、PB2という3つのサブユニット(朝日新聞では「三つのパーツ」と紹介している)でできており、今回の化合物は、このサブユニットが結合するのを阻害することによって、ウイルスの増殖を抑える仕組みになっている。

 実に戦略的な新薬開発と言わるわけだが、朝日新聞の記事でも、サブユニットの結合部位の構造を明らかにして、これに合う(結合できる)化合物を、コンピュータに登録された450万種類の化合物から選び出したと紹介されており、いわゆる“イン・シリコ・ドラッグ・ディスカバリー(In silico Drug Discovery)”の好例といえるだろう。

 かつて新薬の開発の初期段階では、候補となる化合物をとにかく細胞に与えて、その影響を調べることによって、有効な候補かどうかが調べられていた。細胞に候補化合物をぶっかけることから、“ぶっかけ試験”なんて言われていたこともあったようだが、これでは膨大な実験を繰り返さなければならず、研究資源を無駄に浪費しているとの指摘もあった。

 ところが、最近では、ターゲット分子(今回でいえば、RNAポリメラーゼの3つのサブユニット)の分子構造を明らかにして、これに結合する化合物かどうかを、コンピュータによるドッキングシミュレーションで明らかにしていくという手法がとらえるようになって、実に理にかなった研究が進められるようになっているのだ。

 もちろん、今回、発表された新薬候補化合物にしても、今後、前臨床試験、臨床試験を進めていくことで、予想もしえない副作用があらわれ、新薬として実用化できない可能性もあるわけで、これまでは戦略的な新薬開発であったとしても、そのすべてが無駄になってしまうことも考えられる。

 とはいえ、新薬開発の初期段階で浪費していた研究資源を、コンピュータの力を借りて、削減できることの意味は実に大きいと言って過言ではないだろう。

 朝日新聞では、RNAポリメラーゼの働きを阻害するため、耐性ウイルスがあらわれにくいことをフューチャーしているが、私個人は、コンピュータ・サイエンスが新薬開発に活かされ、それが今回のような研究成果として結実していることに興味をもったので、一言(でもないけど・・・)、書かせてもらった。

http://www.asahi.com/science/update/0522/TKY200905210389.html

 ではでは・・・。

2009年5月23日 (土)

マグネシウム・エネルギー社会は到来するか?

 地球温暖化問題や化石燃料の枯渇の問題などから、代替エネルギーの必要性はしばしば論じられている。現状では、太陽光発電や風力発電が、今後、エネルギー供給の主役になることが期待されているんだろうが、自然エネルギーに頼っている以上、不安定さを解消することは難しい以上、太陽光発電や風力発電が、現在の化石燃料や原子力に代わる主要エネルギー源になるというのは考えにくいだろう。

 個人的には燃料電池が普及するようになれば、太陽光発電、風力発電で生み出した電力で、水を分解して作った水素を備蓄しておき、安定供給できるのではないかとも考えているが、そのためには膨大な太陽電池や風力発電施設の導入が求められるわけで、これも問題は山積している。

 そこで、新たなエネルギーシステムとして注目に値する技術を、東京新聞が報じているので紹介したい。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に説明すると、マグネシウムをエネルギー貯蔵媒体に利用しようとするもので、マグネシウム(金属マグネシウム)を燃焼させることで取り出したエネルギーを利用し、燃やすことで酸化したマグネシウム(酸化マグネシウム)は回収して、太陽光励起レーザーで再び金属マグネシウムに再生することにより、自然エネルギーによる循環型のエネルギー供給システムを実現しようとしてのだ。

 記事では、次世代エネルギーとして期待される燃料電池との比較も紹介しており、取扱いに難がある水素を用いる燃料電池と比べ、金属マグネシウムは650℃以下では発火せず、長期保存も簡単にできるので、その扱いは水素と比べると格段に簡便だという。

 私自身、2年ほど前に、この研究を進めている東京工業大学の矢部孝教授を取材させていただいており、その際もマグネシウムを活用した次世代エネルギー技術の将来性を大いに感じたものだが、記事を読む限り、未だ実用化に向けての動きには発展していないようだ。

 こうしたエネルギー分野の技術は、技術そのものが確立されていても、実用化に向けた動きを進めないことには、絵に描いた餅でしかない。もちろん、学術研究としては価値のあるものなんだろうが、社会へのインパクトは皆無に等しい。

 実用化に向けた動きがない中、民間企業だけに実用化をゆだねていても、実用化はなかなか進むものではないだろう。何らかの行政のサポートにより、小規模でもいいかからまずは実証プラントを建設し、稼働させることで、次なるステップに進めるんじゃないだろうか。

 この記事でも、「百パーセントこれは実現する。すべて実験の裏付けがあり、何も失敗するところがない」との矢部教授のコメントを紹介しているし、私の取材でも同様のことを語っていた。

 ならば、今後はマグネシウムを活用した次世代エネルギーシステムを実用化させるための行政の働きかけにかかっているといっていいだろう。今後の行政の対応に期待したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2009051202000131.html

 ではでは・・・。

2009年5月22日 (金)

大学の広報担当者の奮起を期待したい

 一般の方々にとって大学というと「教育機関」というイメージが強いかもしれないが、科学記者なんてやっていると、「研究機関」というイメージで見ることが多い。実際、世界的な大学のランキングも、教育機関での評価よりも、発表した論文件数や、その論文の引用件数などの評価によって決められていることから、研究機関としてどのような成果を発表しているかが、その大学の価値を決めると言っても過言ではない。

 その点で、大いに不満を感じるのが、大学の研究成果の広報活動についてだ。

 同じく研究機関にカテゴライズされる組織に、日本では理化学研究所、産業技術総合研究所などがあり、それぞれに所属する研究者が発表した研究成果について、ウェブサイトで情報提供を行っている。また、研究機関とはいえないが、研究資金の支援などを行っている科学技術振興機構(JST)でも、支援先の研究者が研究成果を発表すれば、リリースをウェブサイト上にアップしており、誰でも簡単に閲覧できるようになっている。

 これに対して、前述の通り、日本の国立大学の研究成果の広報活動には大いに不満を感じる。

 大学によっては学部単位で研究成果の広報活動を行っており、学部のサイト内でリリースをアップしているものもあるが、これでは閲覧者が、それぞれの学部のサイトを巡らなければならず、理研や産総研のように簡単に最新情報にアクセスできるようにはなっていない。

 念のため、旧帝大(※)の国立大学のウェブサイトをチェックしてみたが、東京大学、東北大学、九州大学は、トップページからすぐに研究成果のプレスリリースのサイトにすぐに飛べたものの、北海道大学、名古屋大学、京都大学では、トップページからすぐにはリリースのサイトにはたどりつけなかった。講演会の開催情報や、ここ数日なら新型インフルエンザへの対応のお知らせなどの情報一覧があることを考えると、あまり研究成果の情報開示には積極的ではないということだろうか・・・。

 北海道大学、名古屋大学、京都大学でもインターネット上で研究成果の情報提供をやっているんだろう。しかし、大学の顔ともいえるウェブサイトのトップページから、すぐにアクセスできない限り、誰もが容易にアクセスできるものとはいえないだろう。

 ここ数年は、仕事柄、多くの大学に出向き、研究者を取材していると、大学が広報活動に積極的になっていることを実感させられることは多い。取材対象の研究者に研究成果の資料を求めると、論文の別刷りのほか、大学や学部が発行している広報誌をいただくことも多くいなっているし、大学によって広報担当の特任職員を雇っているところもあるという。

 ならば、誰もが容易にアクセスできるウェブサイトの充実をまっさきにしないといけないんじゃないだろうか。というわけで、大学の広報担当者の奮起を期待したい。

 参考までに、理研と産総研のプレスリリースのサイトのアドレスを紹介しておく。いずれもトップページからすぐにアクセスできるようになっている。

理化学研究所のプレスリリースサイト

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2009/index.html

産業技術総合研究所のニュースサイト

http://www.aist.go.jp/db_j/list/l_news_index.html

※旧帝大のウェブサイトをチェックしたことには特に意味はなく、大きな大学などで広報すべき研究成果は多くあるだおるということでピックアップしました。

 ではでは・・・。

2009年5月21日 (木)

インドが再利用可能なロケットの開発を表明したようです

 昨日のブログで、ソユーズ宇宙船の搭乗料金についての報道を紹介させてもらったが、もし日本がH2Bロケットの有人化に取り組んだ場合、インドが競合相手になるかもしれなってことをTechnobahnが報じているので紹介したい。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのだが、簡単に紹介しておくと、インドの宇宙機関ISRO(=Indian Space Research Organization)は、今後10年、15年後の実用化を目指して再利用可能なスペースシャトル型のロケットの開発を進めると発表したというのだ。

 ご存知の方も多いと思うが、IRSOは昨年、人工衛星チャンドラヤーン1の打ち上げに成功するなど、宇宙開発への進出を模索しており、今回の発表も、そうしたインドの宇宙開発戦略の一環で行われたものなのだろう。

 まぁ、10年、15年後の実用化ということなら、これからJAXAがH2Bロケットの有人化研究に踏み切った場合でも、より早期の有人化H2Bロケットの実用化が期待できそうだが、日本と比べて安い人件費を武器に、コストダウンしたロケット開発を進められれば、人工衛星の打ち上げビジネスでは、インドは日本の大きなライバルになる可能性はあるだろう。

 実際、チャンドラヤーン1の打ち上げに使われたロケットは、欧米の10分の1程度のコストで打ち上げることができると言われている。そのため、欧米企業を中心に開発依頼が相次いでいるようで、人工衛星ビジネスなら、十分に国際競争力を持っていると言えそうだ。

 人件費の格差から、日本の製造業の空洞化が進んだように、宇宙開発分野でも空洞化が進むなんてことが起こるのではないかと心配してしまうのだが・・・。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200905141849

 ではでは・・・。

2009年5月20日 (水)

ソユーズ宇宙船の搭乗料金って1人50億円!

 現在、個人で宇宙旅行しようとすると2000万ドル程度かかるとされている。アメリカの大富豪デニス・チトーが宇宙旅行に行った頃(2001年)のレートでは25億円必要だと言われていた。最近は円高が進んだので、幾分安くなったとはいえ、20億円程度の出費は覚悟しなければならないのだろう。

 こうした宇宙旅行は、ロシア宇宙局と契約しているアメリカのスペース・アドベンチャー社の仲介で実現するもので、宇宙旅行者は国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送するソユーズ宇宙船に乗り込み、ISSに滞在する。

 だったら、今後、NASAがスペースシャトルの次世代機の開発が遅れて、ソユーズ宇宙船で宇宙飛行士を運んでもらう場合でも、同様の金額になるのかと思いきや、このほど発表されたアメリカ、ロシア両政府の合意内容によると、ソユーズ宇宙船に搭乗する場合、1人当たり5100万ドルも支払わなければならないというのだ。なんと1人当たり3000万円以上も値上げになっているではないか?

 チトーらが楽しんだ宇宙旅行の旅費には、ロシアでの訓練なども含まれているだろうから、NASAが派遣する宇宙飛行士の場合、NASAが自前の施設で訓練するとすれば、ロシアに支払うのは、純粋にソユーズ宇宙船への搭乗料金だけでいいはずだが、3000万ドル以上も高くなっているのだ。

 この理由についてTechnobahnによると、ソユーズ宇宙飛行船の製造に必要不可欠なレアメタルの国際価格が昨年に急騰するなどしてコストが急上昇。やむにやまれず、大幅値上げになってしまったようだ。

 ソユーズ宇宙船の乗員は最大で3人なので、3人全員がNASAから受け入れた宇宙飛行士だとすると、ロシア宇宙局は1回の打ち上げで15300万ドル(約150億円)も得ることになる。それでもスペースシャトルの打ち上げコストと比較すると割安のようだが(貨物分も考慮すると割安ではないという)、これほどの金額なら日本のH2Bロケットを有人化して、NASAの宇宙飛行士の移動の下請けをすることを考えてもいいんじゃないだろうか。

 宇宙開発に詳しい松浦晋也さんの記事(日経BPネット)によると、H2Bロケットの開発費は262億円(JAXAが187億円を出資し、残りを共同開発者の三菱重工が出資している)であることを考えると、有人化して宇宙飛行士の移送をビジネスとして請け負うこともできるのではないかと思えるのだが、いかがだろうか。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200905151820

 ではでは・・・。

 

2009年5月19日 (火)

まだまだ新種がいるんじゃないの? マダガスカルで200種もの新種カエルを確認!

 日本のように狭い国土に多くの国民が住んでいると、人跡未踏の土地はなく、今後、脊椎動物の新種を発見することは難しいと思われるが、世界にはまだまだ未開のフロンティアが残っているようだ。そんなことを考えさせてくれる研究成果をCNNが報じているので紹介したい。

 いつものことながら、詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのだが、簡単に紹介しておくと、アフリカ大陸の東方、インド洋に浮かぶマダガスカルで、200種にもい及ぶ新種のカエルが確認されたというのだ。

 スペイン、ドイツ、イタリアの研究者によって構成された研究者グループが、マダガスカルの170ヶ所以上で、2850匹のカエルを採取し、遺伝子を詳細に解析したところ、最低でも129種、多い場合は221種の新種を確認したと報じているのだが、200種ってのはすごい。

 ご存知の方も多いと思うが、マダガスカルは約1億年前(2億年前と紹介しているものもある)に他の大陸から隔絶され、独自の進化の途を歩んできたため、固有種、固有属のみならず、固有科が存在する多様性の宝庫といえる独自の生態系を形成している。

 それだけに多くの生物学者の研究対象になっているので、分類学的な研究はおおむね済んでいるんじゃないかって思い込んでいたが、この報道を見る限り、まだまだ研究は進んでいなかったようだ。2850匹のカエルを調べて、そこから多ければ221種の新種が見つかるっていうのは、これまでほとんど手付かずだったってことを如実に示す結果と言えるだろう。

 ということは、まだまだ研究が進んでいない分類群もいる可能性があるんじゃないだろうか。今回の研究成果はカエルを対象としたものだが、それ以外の生物群を狙えば、思いがけぬ成果を得られるかもしれないですぜ!!

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200905060027.html

 ではでは・・・。

2009年5月18日 (月)

宇宙船を飛び出しての船外活動ってやっぱり命がけなんだな・・・

 一般紙でもけっこう大きく紹介されていたので、ご存知の方も多いと思うが、現在、ハッブル宇宙望遠鏡の修理が行われている。

 ハッブル宇宙望遠鏡は大気の影響を受けずに宇宙を観測できるということで、1990年から運用が始まった宇宙望遠鏡で、これまでに数多くの美しい宇宙の姿を私たちに伝えてくれてきたが、故障が多く、過去、4度も修理のためにスペースシャトルが派遣されてきた。

 今回の修理は、スペースシャトル、アトランティスが派遣され、船外活動による修理が実施されてきたが、この取り組みの報道で目立つのは、「命がけ」という言葉だ。

 ハッブル宇宙望遠鏡の修理が命がけになってしまうのは、船外活動だけではなく、ハッブル宇宙望遠鏡が、国際宇宙ステーション(ISS)と異なる軌道を周回しているため、何らかのトラブルでシャトルが地球に帰還できない事態に陥っても、ISSに非難することができないからだ。

 これまでに実施された1回目の船外活動は無事に終わり、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているカメラとコンピュータを新しいものに交換されたようだが、今後も船外活動による修理作業は行われるため、アトランティスに乗り込んだ宇宙飛行士たちが、危険なミッションを遂行している事実には代わりがない。

 ハッブル宇宙望遠鏡については、こうした修理は今回のミッションが最後のようだが、NASAは2013年に赤外線を観測するジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡を打ち上げる予定であるわけで、将来的に同様の修理ミッションを行わなければならなくなることは容易に推測される。

 だったら、人間に代わって宇宙望遠鏡に修理に派遣されるロボットの開発が急務ではないか。2004年10月のWired Newsでも、宇宙望遠鏡を修理するロボットの開発のために4億ドル以上の研究費が投じられるというニュース(※)が紹介されているではないか?

 これまでにもNASA/DARPAがRobonautを開発していたし、日本のJAXAだってAstrobotを開発しており、ロボットハンドの動きなどは、けっこう巧みなレベルに達している。遠隔操縦するのは人間であっても、十分に人間の代わりに宇宙に派遣できるほどの手先の器用さを持たせられているようにも思えるが、現実に「命がけ」であっても、人間の宇宙飛行士が派遣されるということは、開発は遅々として進んでいないってことなんだろうか・・・。

http://www.asahi.com/science/update/0511/TKY200905110073.html

http://www.asahi.com/science/update/0511/TKY200905110073_01.html

http://wiredvision.jp/archives/200410/2004100802.html(※)

 ではでは・・・。

ドイツの言い伝えに着目して唾液中の育毛成分を発見!

 研究を始める着眼点っていうのは、意外なところにあるものだ。そんなことを今一度、考えさせられる研究成果が、毎日新聞に報じられていたのでご紹介したい。

 いつもながらのことだが、詳しい記事内容については、以下のサイトをご参照いただくとして、簡単に研究成果を紹介しておくと、名古屋市立大学大学院の岡嶋研二教授らの研究グループが、唾液に含まれる糖の一種「シアル酸」に育毛効果があることを発見したというのだ。

 育毛剤へ応用も期待されており、マウスを使った実験を行ったところ、育毛効果があることを確認しており、薄毛の男性10人にも、直接シアル酸を塗る実験も行っており、半年後に5人に育毛効果があったという。

 まぁ、この研究成果だけなら、新しい有効成分の発見という、しばしばみられる報道のように思えるが、興味深いのは、研究の発端だ。記事によると、ドイツには「牛に頭をなめさせると毛がはえる」という言い伝えがあるようで、岡嶋教授がこの言い伝えに着目したのが、今回の研究に取り組んだきっかけだったようだ。

 私自身、「牛に頭をなめさせると毛がはえる」というドイツの言い伝え自体、全く初耳なので、これがどれほど信憑性を持って語られていたのかどうかわからないが、「そんなバカな!」と思えるようなことでも、実際に研究してみたことが、今回の研究成果に至ったわけだから、これは着眼点の勝利ということになるのだろう。

http://mainichi.jp/chubu/newsarchive/news/20090511ddq041040008000c.html

 ではでは・・・。

2009年5月17日 (日)

心の知能指数(EQ)が高いほうが絶頂に達しやすいんだとよ

 このブログで、これまで何度か研究費について書かせてもらってきた。ハイリスクな研究計画にも研究費を投じていこうとする助成枠が設けられたことは好意的に書いたし、逆に30件の研究プロジェクトに2700億円もの予算を投じようとすることには、失敗が許されないだけにチャレンジングナ研究は採択されないのではないか・・・と疑問を投げかけた。

 いずれにしても、日本の研究現場では、多くの研究者が研究費の獲得に四苦八苦しているのは間違いない。そのため、多くの研究者が自分の研究の必要性を認めてもらうため、研究そのものの重要性以上に、社会的なインパクト、つまり、どんなふうに利用できるのかをことさらにアピールしようとする。

 その結果、医学や工学といった実利的な研究分野ならともかく、自然の真理を探究する理学的な研究は、どうしても社会的な注目度は下がって、研究費獲得も難しくなっていると聞くことがある。

 こうした日本の現状はいかがなものかと思うが、たまに海外の研究で、「なんでこんなのに研究費がついたんだ?」と不思議に思えるものがある。そんな研究がBBCのニュースサイトで報じているので紹介したい。

 いつもながらに内容は、元の記事をご覧いただきたいのが、簡単に紹介しておくと、200人以上の双子の助成を対象にした研究で、こころの知能指数EQ(=Emotional Intelligence Quotient)が高い人ほど性行為によって絶頂に達しやすいというのだ。

 この研究を発表したのは、イギリスのキングス・カレッジの研究グループで、2000以上の被験者を対象に性行為に関する質問をするとともに、EQを判定する質問も行い、その結果を分析した結果、先のような結果が導き出されたというのだが、しっかし、イギリスっていう国は、こういう研究にもちゃんと研究費が付けられるってことに大いに感心してしまう。

 研究成果そのものに価値がいないなんてことを言うわけではないが、日本だったら、こういう研究に、研究費は付かないんじゃないだろうか。

 これを日本とイギリスの研究費の潤沢さの違いとみるのか、そもそも科学研究の内容に関する価値意識の違いとみるのか、そこが問題だ。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8044571.stm

 ではでは・・・。

2009年5月16日 (土)

伸び縮みするディスプレイ どのように利用されるんだろうか?

 超薄型テレビへの利用などで、有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)への注目は高まっているが、毎日新聞に有機ELに関して興味深い記事が掲載されていたので紹介したい。

 いつものことではあるが、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、

 これまでにもフィルム上の基板に有機EL材料を塗布して、巻けるフィルムテレビなんてものができるというデモンストレーションを見たことがあるが、今回開発されたディスプレイの伸び縮み具合は、フィルムを巻ことで表面に起こる伸縮とは比べものにならないほど大きなものだから、最初、この記事のタイトルを見かけた時、「ディスプレイに映される映像が乱れるなんてないのか」と疑問に思った。

しかし、記事にある写真をよく見ると、5mm四方のプレスチック片が発光する素子となって、大面積のディスプレイを構成しているようで、実際に伸縮するのは、この素子が乗せられた基板だとすれば、記事のタイトルからイメージできる「伸び縮みするディスプレイ」っていうものとはちょっと違うっていうのが率直な感想だ。

 それに、このディスプレイ、どんなものに応用可能なのかってことも気がかりだ。

 記事では「顔形の立体ディスプレー上で表情の変化を映し出したり、地球儀のような球形の装置で気象情報を表示するなど、多彩な用途に生かせるという」と、想定される応用を例示しているものの、「伸縮可能であることを活かした使い方はもっとあるだろう」って思ってしまうのだが・・・。

 まぁ、このブログで以前紹介した、どの方向から見ても内部に立体物があるように見えるキューブ型ディスプレイと同じように、技術そのものは興味深いものであるものの、実用化となると、この技術を生かした新たな実用象が見出されるかどうかにかかっているところなのではないだろうか。

http://mainichi.jp/universalon/clipping/news/20090511ddm012040058000c.html

 ではでは・・・。

2009年5月15日 (金)

茨城県の高校が原子炉研究施設を使って実験をする?

 スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)をご存知だろうか。文部科学省が科学や数学に力点を置いた教育を実施する高校を指定する制度で、2002年から開始され、2007年度までに101校が指定されている。

 といっても、私自身、SSHの取り組みを取材したことがなかったので、科学や数学の授業コマ数を増やしたカリキュラムを組んでいる程度なんだろうと思っていたが、SSHの活動に関して、毎日新聞が興味深い記事を掲載しているので紹介したい。

 いつもながら、詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのが、記事によると茨城県立日立第一高等学校が、生徒たちに中性子線を用いて物質の内部を見る実験「放射線透過試験」を日本原子力研究開発機構(JAEA)の協力の下、「JRR-3」と呼ばれる研究炉で行うことを計画しているというのだ。

 あくまでも準備中というニュアンスの記事になっているが、こうして記事として公表されるということは、日立一校とJAEAの間では、「実験をするってことで・・・」という大枠の合意には至っているのだろう。

 まぁ、高校生であっても、こうした研究施設を使った実験に携われるのはいいことだと思う(といっても、18歳未満は放射線管理区域には立ち入れないため、実験はJAEAのスタッフが行い、高校生は、その解析を行うだけのようだが・・・)。

 ただし、この記事を読んでいて、疑問に思うのは、この取り組みが高校生自らの意向によって始まったことなのか、学校側がさせようとしていることなのかがよくわからない。記事の冒頭で「茨城県立日立一高(同県日立市)が、(中略)原子炉を使った実験を生徒にさせる計画を進めている」と書かれているため、日立一高の先生の主導の下、この取り組みが進められているように理解される。

 いちおう、「実験するのは同校SSHクラスで中性子などを研究テーマに選んだ3年の男子生徒3人」とも紹介されているので、生徒たちも素粒子物理学に興味があるようだが、学校側がすべてをお膳立てしているのなら、ちょっと興ざめしてしまう。

 高校生から自発的に「JAEAの研究施設を利用した実験をしてみたい」というような発想が出るのを期待するのは酷な話かもしれないが、ひっかかってしまうのだ。

 記事では、日立一高の鈴木幸男校長のコメントが紹介されており、「高校生の枠を超えた機会を与え、幅広い勉強をさせたい」と語っているようだが、本当に科学する心を育てるのは、機会を与えることではなく、そうした機会を生徒自らが欲する気持ちを育てることなんじゃないかって思うのだが、いかがだろうか。

 まぁ、この件については、記事を読んだだけなので、実際は生徒が自発的に希望したことに、日立一高の先生が応えて、尽力した結果、実験できるようになったのかもしれないので、これ以上の批判はやめておくが、今回の取り組みだけで終わるのではなく、3人の男子生徒がJRR-3で実験を行ったのを機に、他の生徒たちも、「僕たち、私たちも最先端の研究施設で実験、研究をしてみたい」と思って、自発的に自分たちの研究を申し出るぐらいになってもらいたいものだ。そうした時に学校側が、生徒の希望をどう受け止めるのかが、今後問われていくんだと思う。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090512k0000e040070000c.html

 ではでは・・・。

2009年5月14日 (木)

「マイルド・パンデミック」ってなんだ?

 今週のScienceで、新型インフルエンザの致死率について報告しているようだ。いくつかの新聞が報じているので、ご存知かと思うが、0.4%だという。しかも、この数字って、別の持病の影響もあって亡くなられたアメリカの30代女性の事例も含まれているんだろう。だったら、新型インフルエンザだけが原因での致死率はもっと低いんじゃないだろうか。

 そのため、この冬、マスコミ紙面を賑わせた、鳥由来の新型インフルエンザH5N1の致死率が、一説には60%以上とさえ言われていた。また、日本国内だけで2500万人が感染し、64万人が死亡するとの報道もあったことを考え合わせると、今回の新型インフルエンザについては、いささか拍子抜けさえしてしまう。

 もちろん、感染拡大すれば、強毒性に変異する可能性も高まるだろうし、死亡せずとも高熱が出るので、感染は広まらないほうがいいのは間違いないのは十分理解できるのだが・・・。

 では、感染率についてはどうかといえば、同じScienceの論文では、感染率についても触れており、季節性のインフルエンザよりも高いと指摘しているという。この点で、感染が拡大しているかどうかを示すフェーズは、6に格上げすべきなのだろうが、致死率の低さから、WHOもフェーズ6への格上げは躊躇されるのかもしれない。フェーズ6に格上げすれば、流行国への渡航の制限が強化されるなどして、国際経済への影響も危惧されることから、さらなるフェーズの格上げには慎重になっているのだろう。

 そこで、論じられているのが、「フェーズ6」に格上げしつつも、「そんなにたいしたことじゃないですよ」っていう意味も含んだ、「マイルド・パンデミック(軽微大流行)」の宣言だそうだ。これこそ拍子抜けする宣言だと思うのが、先に書いたとおり、感染が拡大しているかどうかという意味では、「フェーズ6」に格上げすべきものの、影響の大きさを考えると、「でも、たいしたことはないんですよ。心配しすぎないでね」っていう意味も含まないといけないってことなんだろうな。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090504-OHT1T00029.htm

http://www.abc2news.com/news/local/story/H1N1-Could-be-Mild-Pandemic/viRmbmpZRUmwZxvneDyHZg.cspx

 ではでは・・・

2009年5月13日 (水)

抗うつ薬で攻撃性が高まるなんて、たまらんなぁ~

 先週、厚生労働省が、抗うつ薬の服用で攻撃性が高まる危険性があるとして、製薬会社に、攻撃性のついての注意書きを盛り込むよう、添付文書の改訂を指示したことが報じられた。

 一時期、Yahoo Japanのトップページのニュース項目にも挙がっていたから、ご覧になった方もいると思うが、簡単に紹介しておくと、抗うつ薬として販売されているパキシル、ルボックス、デブロメール、ジェイゾロフト、トレドミンは、服用後に攻撃性が高まるというのである。

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会が、抗うつ薬服用後に家族へ暴力を振るったなどの症例35例を詳しく調査したところ、抗うつ薬の服用との関係が否定できないケースが4件あったため、注意喚起が必要だと判断されたようだ。

 これらの抗うつ薬のうち、パキシル、ルボックス、デブロメール、ジェイゾロフトはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、トレドミンはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と言われるもので、いずれもうつ病の薬として広く利用されている。

 SSRI、SNRIについて詳しく書いていると長くなってしまうので、Wikipediaあたりの説明がわかりやすいから、こちらをご参照いただきたいのだが、簡単に言うと、神経伝達物質のセロトニンが神経細胞に再吸収されるのを抑えることで、不安を解消し、うつ症状を改善しようとするものだ。

 そこで、今回の発表であるが、厚生労働省の審議会が、注意喚起を促すとなると明らかに関連がある問題事象でないといけないとは理解しつつも、SSRI、SNRIの問題については以前から指摘されており、率直に言って、「何をいまさら・・・」という感じがしないわけではない。SSRI、SNRIともに「攻撃性が高まるのではないか」、「自殺願望が高まってしまうのではないか」といった指摘がなされていた。

 私自身、SSRIの問題について強く意識したのは、デビッド・ヒーリー著の『抗うつ薬の功罪~SSRI論争と訴訟』を読んでからだった。

 日本では、うつ病であっても、精神科の診察を受けることが躊躇われるためか、SSRI、SNRIの服用者も比較的少なく(あくまでもアメリカとの比較で・・・)、大きな問題になることはなかったが、アメリカではカウンセリングを受けることに対して躊躇はないし、日本では認可されていないSSRIのプロザックが「ハッピー・ドラッグ」なんて呼ばれて手軽に利用されているので、それだけ問題が大きくなっているのだろうが、『抗うつ薬の功罪~SSRI論争と訴訟』で紹介されていることは十分に衝撃的だった。

 SSRIが、当初、「副作用はない」なんて言われていただけに、攻撃性が増したり、自殺願望が高まる危険性があることを知った時は、それまでのイメージとのギャップを感じたのを今でも覚えている。

 日本でもライターの神足裕司さんが、暴力事件(ひどい場合は殺人に至ったものも・・・)がSSRIやSNRIの服用によって起こされたものではないかと指摘している。

 いずれも数年前のことなので(『抗うつ薬の功罪~SSRI論争と訴訟』の初版発行2005年だし、神足がSSRI、SNRIの問題点を雑誌「SPA!」に書いたのは2006年頃だったと記憶している)、SSRI、SNRIに問題の副作用が起こる危険性があることは注意喚起されているものと勝手に思っていたが、この記事を読む限り、まったく手つかずだったようで、そのことにも驚きさえ感じている。

 さらに、問題なのは、今回の厚生労働省の発表を報道しているのは、ごく一部の報道機関に限られることだ。

 念のため、G-Serchで、過去1週間分の新聞記事を対象に、「SSRI」「攻撃」の2つのキーワードで記事検索を行ったところ、ヒットしたのは、以下にアドレスを紹介する共同通信のほか、朝日新聞、読売新聞、信濃毎日新聞、北海道新聞、製薬専門誌5紙だけだ。過去に、SSRI、SNRIの服用によって、攻撃性や自殺願望が高まることを報じている記事を掲載した新聞はあったが、今回のように厚生労働省が明確な発表をしているなら、もっと報じられるべきだろう。

 テレビに至っては、すべての局を確認できているわけではないが、テレビについては報じているのを見ることはまったくなかった(仕事場では常にテレビをつけており、ニュース番組が放送されていたら、つけっぱなしにしているのだが・・・)。

 精神科医に処方箋を書いてもらって、SSRI、SNRIを服用している患者はともかく、プロザックを個人輸入代行業者から買っているものもいることを考えると、攻撃性、自殺願望が高まる危険性があるとしても、SSRI、SNRIを必要とする患者もいるのは、私も十分理解しているがやはり、もっと報道するべきだと思うのだが・・・。

 というわけで、このブログでSSRI、SNRIの問題点に興味をもった方は、ぜひデビッド・ヒーりーの『抗うつ薬の功罪~SSRI論争と訴訟』を読んでいただきたい。ちょっと値の張る本だが、十分に読む価値のある本である。

 また、神足さんは、SSRI、SNRIの問題について、インターネット・テレビ・サイトの「ミランカ」で配信していた『博士の知らないニッポンの裏』で語っておられた。こちらは現在、優良になっているが、まだ見られるので、ご興味のある方はチェックしていただきたい。私は無料配信時に見たのだが、全編SSRIの話ってわけではないものの、殺人事件との関連性を指摘する発言をしている。

http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009050801001022.html

 ではでは・・・。

2009年5月12日 (火)

ヒューマノイドロボットHRP-4Cの記事を書いています

 今週に入って締切が立て込んでおり、新たなブログの執筆ができていないのですが、宣伝だけでも・・・。

 今、書店に並んでいる「子供の科学」2009年6月号で記事を書いています。

 2ページだけですが、産業技術総合研究所が発表したヒューマノイドロボットHRP-4Cを紹介しています。発表になったのが3月中旬なので、いささか遅くなってしまいましたが、月刊誌のサイクルに合わないと、こうなってしまうのでご了承ください。

 この他、トピックスのページ(コカトピ)でも、いくつか短い記事を書いています。

 ご一読いただければ幸甚です。

 ではでは・・・。

2009年5月10日 (日)

JSTニュース2009年5月号に記事を書いています

 書店で販売されている雑誌ではないのですが、科学技術振興機構(JST)が発行しているJSTニュースの2009年5月号に記事を書いています。

 普段、この雑誌ではライフサイエンス関連の研究成果の紹介を担当することが多いのですが、今回は道路橋の損傷を遠隔監視するためのシステムが開発されたという話題です。

 私自身、この記事のための取材ではじめて知ったのですが、首都圏で使われている道路橋(特に首都高速のもの)は、建設されて長い期間がたっているため、金属疲労による損傷のリスクは結構高いんだそうだ。

 じゃ、新しく道路橋を架け替えればいいのかっていうと、首都高を長期間閉鎖して工事を行うなど不可能なようで、なんとか小さな損傷のうちに見つけて、補修することで長く使い続けるというのが現実的な対策のようです。

 そのために小さな損傷でも捕らえられる遠隔モニタリングシステムが求められており、今回の記事は、それが開発されましたっていう話題です。

 JSTニュースは、各地の博物館などで配布されていますし、ネット上でも見られますので、良かったらご一読を!

http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2009-05/page08.html

 また、この記事の下ネタとなる、プレスリリースは、以下のサイトでご覧いただけます。

http://www.jst.go.jp/pr/info/info623/index.html

 ではでは・・・。

2009年5月 9日 (土)

ウソを見抜けないといけない・・・と言われてもなぁ~

 近年、ネットの書き込みで“マスゴミ”なんて言葉が書かれているのを見ると、一般の方々のマスコミに対する不信感ってけっこう根深いのかなと思ってしまう。まぁ、ネット上での書き込みなので、多少は悪意を増しているのかもしれないが、こと科学メディアが読者の信頼を失っては始まらないと、自戒をこめて意識しているが、Technobahnに、科学メディアについて考えさせられる記事が掲載されていたので紹介したい。

 いつものように、詳しくは、以下のサイトをご覧いただくとして、記事内容のさわりを紹介しておくと、アメリカの科学雑誌「The Scientist」が報じたところによると、学術専門出版社エルゼビア社が、世界的な製薬企業のメルクの宣伝用の出版物『Australasian Journal of Bone and Joint Medicine』を、エルゼビア社のほかの出版物と思える体裁で発行していたというのである。

 残念ながら、その出版物の現物を見ていないので、どの程度、エルゼビア社の出版物に見えるものなのか判断できないが、私企業の宣伝目的の出版物をエルゼビア社の出版物を見間違うように発行しているのは、やはり問題があるだろう。

 もしかしたら、この記事の内容の何が問題なの理解できない読者がいるかもしれないので補足説明しておくと、研究成果を発表するいわゆる“学術雑誌”は、一般向けに出版されている科学雑誌と違って、査読者(レフェリー)の審査を受けて、掲載の可否が決まって制作されている。Nature、Science、Cell、The Lancetなどのトップジャーナルは、みなそれぞれの研究分野の世界的な権威に査読を依頼し、研究成果を吟味した上で掲載が強化される学術雑誌なのだ。学会が発行している雑誌(“Journal of ●●”というような雑誌タイトルのものが多いですね)も、同様の学術雑誌に当たる。

 そのため、こうした学術雑誌で紹介されている研究成果は、信頼に足るものと考えられる。もちろん、研究成果に対して異論を唱える研究者もいるだろうし、後からねつ造だったってわかって論文が取り下げられることもあるが、私のような一般向けの科学雑誌で記事を書いている科学ライターも、後追い取材をする上で、論文が掲載された雑誌がレフェリー付きかどうかっていうのは、その情報の信頼性を見極める上で重要な判断材料となる。

 そこで、今回、問題視されている『Australasian Journal of Bone and Joint Medicine』だが、これが誰も知らないような出版社から発行されたものなら、問題になることはなかっただろう。レフェリー付きかもしれないが、あまりメジャーな雑誌でなければ、多くの研究者に注目されないからだ。しかし、問題なのは、この『Australasian Journal of Bone and Joint Medicine』をエルゼビア社が発行していることにある。

 エルゼビア社は、Cell、The Lancetといった、レフェリー付きで、かつなかなか、掲載されることが難しいトップ・ジャーナルを発行している出版社であるため、『Australasian Journal of Bone and Joint Medicine』についても、「エルゼビア社の新しい雑誌なのか・・・」と思って読んだ研究者もいたことだろう。

 まぁ、メルクのような大企業が発行したものだから、あまりにも“トンデモ”な研究成果は掲載されていなかっただろうが、専門家の査読を受けていない研究成果が、まるで査読を受けたものとして読まれてしまうのは大いに問題がある。

 先にも書いたとおり、『Australasian Journal of Bone and Joint Medicine』の現物を入手できていないので、どの程度、“騙されやすい”ものだったかわからないし、それを読んだ研究者がどのように受け止めたのかわからないので、影響の程度は判断できないが、Technobahnの記事では「これが宣伝媒体だと見破ることができた研究者や専門医はこれまでにいなかったのが現状」と書いている以上、やはり「問題あり」だろう。

 Technobahnの記事のタイトルは、「嘘を嘘を見抜ける人でないと学術雑誌を読むのは難しい」と書かれているが、研究者や専門医でも、メルクの広告媒体と見抜けぬものである以上、ウソを見抜けと言われても、見抜けるものじゃないだろうな。

 学術雑誌の世界の話ではないが、一般向けの雑誌でも、編集部が制作したとしても、スポンサー企業の意向を受けて制作する記事(「記事広告」と呼ばれる)ものは、必ず「PR」とか、「記事広告」という言葉が加えられ、「広告なんですよ」ってことをわかるようにしている。

 一般向けの雑誌でも、そうした配慮をしているんだから、エルゼビア社ともあろう出版社が、広告なのに、まるで自社の出版物のようなものを発行するっていうのは問題があるわけで、少なくとも学術雑誌を発行している出版社が、私企業の広告媒体を発行する場合は、それとわかるような体裁にしておく必要があるだろう(たとえ、掲載されている論文の内容が嘘じゃなかったとしてもね・・・)。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200905052120

 ではでは・・・。

 

2009年5月 8日 (金)

オーストリア、CERN脱退を表明! 景気後退は科学研究にも悪影響を及ぼすか

 ここのところ日本では景気刺激策の一環として、科学研究への資金投入も積極的に御近割れることがあいつで発表されているが、研究費だって税金の投入であることを考えれば、将来的に財政悪化を理由に、将来、財布のひもが固くなって、研究費の引き上げなんてことも十分考えられる。

 すでにアメリカでは、オバマ政権が宇宙開発への予算投下を渋るような姿勢を見せているが、直接、産業振興にかかわるような、工学的、医学的な研究開発はともかく、自然の真理を探究しようとする理学的な研究への締め付けは厳しくなるのではないだろうか。そんな危惧が現実になったような記事がTechnobahnに掲載されていたので紹介したい。

 詳しくは、以下のサイトをご覧いただきたいのだが、オーストリア政府は、予算不足を理由にヨーロッパ原子核研究機構(CERN)からの脱退を打診しているというのだ。

 CERNは素粒子物理学の先駆的な研究を推進している組織で、ここ最近は、世界最大の衝突型加速器LHCの運用で、世間の耳目を集めていることはご存じだろう。

 私自身、物理学は専門ではないので、LHC関連の記事を書く機会はこれまでなく、しっかり取材はしていないが、National GeographicなどでLHCの記事を見た際の第一印象は、「まぁ、金がかかっていること!」ってことだった。当然、LHCを運用していくため、加盟国は相応の資金の負担が強いられているのだろうが、世界的な景気悪化の影響を受け、CERN参加国の財政は悪化しており、まずはオーストリアが音を上げたということなのだろう。

 ならば、今後もオーストリアに追随して、CERN脱退を表明する国が現れるかもしれないが、こればっかりは難しい問題だよなぁ。

 財政が健全なうちは、こうした理学的な研究への資金投入も許されるのかもしれないが、財政がひっ迫して、国民に対する行政サービスの縮小さえ議論されるような事態なれば、国民のコンセンサスを得られなければ、理学的な研究への資金投入ははばかられることになってしまうのだろう。

 日本の景気刺激策の美名の下、さまざまな公的資金の投入が決められているが、ゆくゆくは財政悪化の原因になることも考えられるわけで、今のうちから、その行く末は国民レベルで論議しておいたほうがいいと思うのだ

 そういう意味で、先日、触れたポスドクの“持参金”に1人500万円を投じるのには、大いに疑問を感じてしまうのは、筆者だけだろうか・・・。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200905080902

 ではでは・・・。

次世代ロボットの動力源の主流は、伸縮可能な靭帯様機構になるか?

 数年前、あるロボット研究者を取材していた時、人間並みの高い運動能力をもったロボットを開発しようとすると、現在、多くのロボットの動力源に採用されているモーターに代わって、人工筋肉などの新しい動力源(アクチュエーター)を開発する必要があると語っていた。

 確かに、しなやかでありながら瞬発力がある動きを実現するには、現在の主流のモーターでは難しいだろうなと思えるのだが、National Geogrphicのニュースサイトに興味深い記事が掲載されているので、紹介したい。

 ここで紹介されているロボットハンドは、バージニア工科大学ロボット工学研究所(Robotics and Mechanisms Laboratory)が開発したもので、「伸縮する靭帯を持つ空気で動かすロボットハンド(Robotic Air-Powered Hand with Elastic Ligaments)」との正式名称から、RAPHaELとの略称で呼ばれているようだ。

 その正式名称から察せられるように、それぞれの指を動かす靭帯様機構は、圧縮空気を詰めたタンクにつながっており、操作者は空気圧を制御することで、手の把握動作が作られる仕組みになっている。

 せっかくだから、その動きを見てみたいと、Youtubeで検索してみたところ、ちゃんとアップされていたが、これがなかなかしなやかな動きをしている。以下にアドレスを紹介しておくので、ぜひご覧いただきたい。

 生卵を割ることなく優しく握れる動きも注目に値するが、特に私が注目すべきは、指の細さだ。各関節にモーターが搭載されていないので、この細さが実現したのだろうと思うが、空気圧で制御された靭帯様機構で、こうした動きが作られたというのは、今後のロボット開発の方向性を示しているように思えるのだが、いかがだろうか?

 ただし、National Geogrphicの記事の冒頭にある「ロボットの器用さに関して言えば、“RAPHaEL”はほかのロボットより一歩先をいっているだろう」という論評はどうだろう・・・。

 Youtubeの映像では、ものを把握する動作しか紹介していないので、なんとも評価しずらいが、日本のGifu Handや、NASA/JPLのRobonautのほうが、もっと器用な動きをしているようにも思うのは私だけだろうか・・・・

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2009050602&expand

http://www.youtube.com/watch?v=jdeYmwiqT5s

 ではでは・・・

ポスドクの採用に文科省が500万円提供するって言うんだけど・・・

 「ポスドク」という言葉をご存じだろうか?

 「ポスト・ドクトラル・フェロー(Post-Doctoral Fellow)」の略称で、博士号を取得した後、一定の任期の間、大学などの研究機関で働く者を指す言葉である。

 政府の主導により、90年代に、より高度な研究人材を増やすべく、大学院の定員を増加し、思惑通りにポスドクは増えた。

 しかし、大学の研究室で雇えるポスドクの数は限られ、かつ企業への就職が思惑通りに増えず、結果的に仕事にあぶれるポスドクが増加しているというのだ。経団連が2006年に実施した調査では、技術系新卒採用者のうち博士だったのはわずかに3%しかなく、ポスドクは増えたものの、大学院を卒業後の受け皿は増えていないというのが現実のようだ。

 そこで、文部科学省ではポスドクを1人採用したら500万円の雇用経費を支払うという制度を始めるということを毎日新聞が報じている。いわば、お上が持参金を付けて、ポスドクを企業に押しつけようとしているんだが、こういう政策ってどうなんだろうか?

 詳しくは以下の記事をご覧いただくとして、気になったのが政府により企業側がポスドクを採用しようとしない姿勢に関する分析だ。記事によると「企業側が“食わず嫌い”をしている状態」というので、これを打開しようとしての、今回の“持参金”のようだ。

 “食わず嫌い”っていうのは、本当はおいしい食べ物なのに、食わないままで、そのおいしさを知らないっていう状態を指すのだろう。じゃ、企業はポスドクの優秀さを知らないまま採用を手控えているっていうのなら、500万円の持参金で企業にポスドクの優秀さを知ってもらい、さらなる採用を期待するってのもありうることだろうが、現実はちょっと違うように思えるのだ。

 といっても、現在、職にあぶれているポスドクの方々が優秀じゃないと言っているわけではない。私が言いたいのは、企業研究者として優秀であるということは、必ずしも博士号を取得していることと関連していないんじゃないかってことだ。

 結局、企業が所属する研究者に求めるのは、ビジネスシーズとなる研究成果であって、科学的な新発見ではない。研究成果の扱いについても、論文発表よりも特許化が優先され、次のステップに進むための実績づくりを考える研究者にとっては、大いにジレンマを感じさせることになってしまうだろう。

 だったら、企業にとっては、ゆくゆくは大学などの研究機関へ戻ることを希望している研究者の卵たちよりも、最初から企業研究者志向の強い学士卒者のほうが採用しやすいってことなんじゃないだろうか。

 ポスドクといっても、企業の研究現場でアシスタントとして働くならば、博士号を持っている必要はないわけで、学士として卒業後に就職した者を、企業内で職業研究者として育成したほうがいいと判断するのも至極当然なことだ。

 ならば、この制度が機能して、一時的にポスドクを受け入れる企業が増加しても、企業側が持っているポスドクへのイメージが変わって、「やっぱり研究現場はポスドクに任せないと…」ってことにはならないんじゃないだろうか。

 今後、企業からポスドクの活用方針や業務内容、支援策などの採用計画を募集するというが、企業にとってポスドクを支援する義務などないわけで、どんな企業がどういう思惑で応募してくるのか気になるところだ。国民の税金を使って、ポスドクの受け入れ先を募集するというのだから、審査の経緯なども情報公開してもらいたいものだ。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090506k0000e040013000c.html

 ではでは・・・。

 

2009年5月 7日 (木)

新型インフルエンザが出現後、ワクチン製造にはどれぐらいかかるんだ?

 今年のゴールデンウィークは、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)がずっとトップニュースだったこともあり、私自身、いくつかの雑誌で原稿を書く予定なので、資料集めをしているところだが、今回、騒動が発覚する前、4月3日の複数の新聞に注目すべき記事が掲載されていたので、紹介したい。

 現時点で、ネット上で記事を見られるようになっているのは、私が確認した限り、朝日新聞だけのようなので、以下にアドレスを明記しておくが、注目すべきは、これまでにない新型のインフルエンザが発生して、全国民分のワクチンを製造するのにどれほどの期間がかかるかってことが書かれている点だ。

 この記事によると、今回のような新型インフルエンザが発生してから、全国民分のワクチンを製造すのに、現状の鶏卵を利用した生産体制では1年半かかるというのである。そのために、厚生労働省は、半年以内の生産を可能するために、総額1500億円の基金を創設し、5年程度をかけて、動物の細胞を利用する新しい生産法の開発に取り組むワクチン企業を支援するというのだ。

 こうした支援制度自体は、今後、発生するであろう新たなインフルエンザへの対策の一つとして高く評価したいが、ここ最近、現実に新型インフルエンザが発生して以降、いくつかの報道とちょっと食い違っているような気があるのだが・・・。

 私が見たいくつかの報道では、「ワクチンを製造するのに半年程度必要。今の流行には間に合わないが、次の冬に季節性のインフルエンザとして、今回の新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の再流行には間に合う」といった紹介があった。これがメディアの一方的な報道だったらともかく、私が見た、ある報道番組では東北大学の押谷仁教授が出演し、自ら「半年で製造できる」といったコメントをしていたものもあったので、間違いってことではないだろう。

 実際のところワクチン製造にどれほどの時間かかるのだろうか・・・。

 今回の新型インフルエンザの騒動にあたって、厚生労働省は必要な情報は逐一発表すると明言している(舛添大臣がそう明言している記者会見をNHKで見た)。国民に必要以上の不安を抱かせないためだろうが、だったら、新型インフルエンザのワクチンの製造に要する時間についても、はっきりと示してもらいたいものだ。

http://www.asahi.com/health/pandemicflu/TKY200904030179.html

 ではでは・・・。

2009年5月 4日 (月)

化石から採取したタンパク質で、恐竜を復元できるか?

 映画「ジュラシック・パーク」をはじめ、すでに絶滅してしまった救急などの古生物を復活させるってのには、ロマンを掻き立てられるが、現実の科学研究でも、化石資料からDNAを採取しようとする研究が実施されたことはあった。

 といっても、石化した化石からDNAを採取するのは難しいので、「ジュラシック・パーク」でおなじみの琥珀に閉じ込められた吸血性の昆虫の体内に恐竜のDNAが残されていないかどうかを調べようとしたわけだが、こうした取り組みはすべて失敗に終わったと記憶している。

 ところが、化石から採取されたタンパク質を元に、恐竜を復元できるかもしれないという記事が、朝日新聞に掲載されているので紹介したい。

 この記事はScience5月1日号に掲載されている、アメリカのノースカロライナ州立大学のメアリー・シュバイツァー博士らの研究グループが発表した論文“Biomoleculer Characterization and Protain Sequences of the Campanian Hadrosaur B.candensis”を元に書かかれている。

 サンプルになったのは約8000万年前のブラキロフォサウルス(ハドロサウルス科)の化石で、標本間の異物の混入を防ぐため、周囲の厚い岩板を含めて発掘し、研究室に持ち帰り、クリーニングを行った結果、血管などの結合組織を採取することに成功した。

 さらに詳しく分析して、アミノ酸配列を明にしたところ、結合組織中に含まれていたコラーゲンのアミノ酸配列が、鳥のコラーゲンと非常によく似ていたというのだ。

 この事実は、これまでにも言われていた、恐竜は鳥に進化したという学説を強力に支持するものとなるわけだが、問題なのは、採取されたタンパク質から恐竜が復元できるのかってことだ。

 朝日新聞の記事中でも、国立科学博物館の真鍋真さんのコメントとして、「アミノ酸情報は限定的なので、すぐには『恐竜のクローン復元』にはつながらない」と紹介しているが、この研究成果だけで、恐竜の復元を言及してしまうこと自体、先走りすぎじゃないだろうか。

 恐竜の身体が何種のタンパク質で構成されていたのかはよくわからないが、今回、アミノ酸配列が明らかになったのは、一部のコラーゲンだけだろうし、これから先、このコラーゲン以外のタンパク質のアミノ酸配列が明らかになっていく見通しはまったく立っていないわけだろう。だったら、これだけで恐竜を復元なんてできっこないんじゃないか。

 まぁ、「恐竜復元」との見出しがつけば、読者の注目度も高まると読んだのかもしれないけれど、これってよちよち歩きし始めた幼児に「世界一周徒歩旅行に望み」なんてタイトルを付けているようなものだろう。

 恐竜の復元にはつながらないだろうが、恐竜から鳥への進化を明らかにしていく上で、今回の研究成果が意義深いものだと思うが・・・。

http://www.asahi.com/science/update/0501/TKY200905010181.html

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;324/5927/626?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Biomolecular+Characterization&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT

 ではでは・・・。

2009年5月 3日 (日)

脂肪を食べりゃ、記憶力はアップするのか?

 ここ数年、“脳トレ”ブームの影響からか、脳の機能を高めるライフスタイルへの注目は高いが、National Geographicのニュースサイトに、興味深い記事が掲載されているので紹介したい。

 カルフォルニア大学アーバイン校薬学部(Department of Pharmacology)のダニエレ・ピオメリ(Daniele Piomelli)教授らが、脂肪の消化に伴って小腸で生成される脂肪酸の一種のオレイルエタノールアミド(OEA)を、ラットに投与したところ、記憶力が向上していることが明らかになったというのだ。National Geographicのニュースサイトでは触れていないが、論文が発表されたPNASのサイトにアップされているアブストラクトを読むと、モリス水迷路を用いて記憶力を確かめたようだ。

 ならば、気になるのは人間に聞くのかってことだが、人間へのOEAの効果に関して、記事中で「人間などのほかの動物でも同様だろう」とのピオメリ教授のコメントが紹介されている(コメントの一部を抜粋)。

 そのため、OEAが脂肪の消化に際して生成されることに注目して、「脂肪の多い食べ物で記憶力アップ?」とのタイトルが付けられているわけだろうが、本当のところ、脂っこいものを食べ続けたら記憶力って高まるものだろうか。

 実は、わたくし、ここ3カ月ばかり、ダイエットにいそしみ、脂肪の多い食品の摂取は控えている(最も控えているのは炭水化物だが・・・)。だったら、ダイエット開始前よりも、記憶力が低下しているはずなのだが、今のところ意識できるほどの変化はないようだ。サラダの味付けにオイル入りのドレッシングやマヨネーズを使っているので、多少なりとも脂肪を摂っていれば、記憶力に差がでないのかもしれないが、となると気になるのはドーズ(摂取量)の問題だ。

 もし脂肪の多い食べ物を増やせば増やすほど、記録力がアップするっていうのなら、誰しも脂肪の多い食事を摂ろうとするだろうが(まぁ、太らない程度にってことだろうけれど・・・)、脂肪を多く取っても、摂取量に比例して記憶力もぐんぐん高まっていかないっていうのなら、今回の研究成果を記憶力向上に活かすことはできないだろう。

 PNASに発表された研究成果では、人間への効果が確かめられたわけではないだろうし、ドーズの問題なんてまったく研究されていないだろうから、私の疑問を解き明かしてくれないが、こうした研究成果が発表されたら、記憶力向上を目的とした機能性食品の開発の途も開けるんじゃないか。

 日本のトクホ(特定保健用食品)市場は拡大し続けいるようだから、新たなヒット商品を目指して、記憶力向上を狙った食品の開発ってのもありだと思いますよ、ねぇ、食品メーカーのみなさん。受験生相手なら結構売れると思うんだが・・・。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=43690853&expand

http://www.pnas.org/content/early/2009/04/27/0903038106.abstract

 ではでは・・・。

2009年5月 2日 (土)

ハイリスク研究を支援しようっていうのは素直に評価したい

 4月16日に、このブログで、ノーベル賞級の研究成果を得るため、政府が30件の研究テーマに、総額2700億円を投入することを検討していることを紹介し、1件当たり90億円もの予算が投入されたら、失敗が許されないために、逆に無難な研究に終始するのではないかと批判した。ただし、別枠ではあるが、ハイリスクの研究テーマも積極的に支援しておこうじゃないかっていう動きもあるので紹介しておきたい。

 これは科学技術振興機構(JST)が進めている事業で、これまでにもチーム型の「戦略的創造研究推進事業(CREST)」、個人型の「さきがけ」で、多様な領域の研究を支援してきているわけだが、3月17日に発表された以下のリリースによると、「さきがけ大挑戦型」という支援制度が新設し、これまでなかなか研究費の獲得が難しかったハイリスクな研究も応援しておこうというのである。

 詳しくは、以下の(※)のサイトをご覧いただきたいのだが、この「さきがけ大挑戦型」の意義を示す言葉の一部を抜粋すると、

チャレンジングな研究をさらに推進するため、大挑戦型を新設し、実現の可能性の観点からは明確な見通しが得難いが、成功した場合には飛躍的、画期的な成果が期待できる研究(ハイリスク研究)を積極的に採択します

 と、いうのである。いいんじゃない、いいじゃない!

 といっても、JSTが研究者に供する研究費は国民の税金で賄われているわけだから、通常、3年から5年の期間を設けて研究費が投入される「さきがけ」でありながら、この大挑戦型に関しては、「研究の進捗や進展の見通しによっては、1年で修了することも」あると明記している。これはしかたがないだろう。無謀すぎる研究に貴重な研究費を投入し続けるほど、無駄なことはないだろうからな。

 ならば、これから気になるのは、この「さきがけ大挑戦型」にどんな研究プランが応募されてくるかってことだ。一回の科学記者の稚拙な想像力では考えもしなかったようなアイデアの研究プランが応募されてくることを期待したいが、無難な研究プランばかりで、がっかりってこともあるんじゃないかって危惧もある。

 というのも、研究者にとって研究費を獲得することも大切だが、論文を書けるだけの研究成果を得るってことも重要だからだ。大学に所属する研究者に対して、任期制が導入されて以来、大学によっては、1年に1報は査読者(レフェリー)付きのジャーナルに論文を発表しないと職を失ってしまうってところもあると聞いたことがある。こうした制約は必要だとも思う判明、こうした制度によって、研究プランが矮小化することも考えられるだろう。

 特に、今後、新たなポジションを得ていなければならない、ポスドク、大学院生なら、無謀だと思える研究に関わって、キャリアアップを遠回りするなんてこと避けようとするだろう。本来、こうしたチャレンジングな研究プランを認めようという支援制度には、真っ先に若い研究者が、ベンチャー・スピリットあふれる研究プランを提案してもらいたいところだが、現実はどうなるか・・・。今後の推移を見守ることにしよう。

http://www.jst.go.jp/pr/info/info622/index.html

http://www.jst.go.jp/pr/info/info622/besshi2.html

 ではでは・・・

2009年5月 1日 (金)

全長11mのホビーロケット 打ち上げに成功!

 個人の趣味で打ち上げられるホビーロケットといえば、日本だったら小さなモデルロケットがせいぜいだろうが、アメリカの趣味人、というか“ロケット・ヲタ”のやることはスケールがでかい。そんなニュースをtechnobahnが報じている。

 このニュースの主人公は、メリーランド州在住のスティーブ・イーブスさん。

 彼が作り上げたロケットは、アポロ計画に供されたロケット“サターンⅤ”を模したミニチュアロケットで、実物の10分の1のサイズで、重さは700kgにも達するという。このロボットを打ち上げが、4月25日に行われ、見事に成功し、内部に組み込まれたパラシュートがしっかり開いて、ロケット本体は無事に地上に着陸したようだ。

 このニュースだけなら「へぇ、そうなの」って感じだが、せっかくなら全長11mのホビーロケットの打ち上げシーンを見てみたいと思って、Youtubeで検索してみたら、ちゃんとアップされているじゃないか。

 さっそくチェックしてみたが、いやぁ~、ホビーロケットと呼ぶレベルを超えているんじゃないか。打ち上げ瞬間の、固体燃料が燃える轟音は、なかなかの迫力だ。

 残念ながらアメリカでの、ホビーロケットに関する法律は詳しくはないのだが、日本の場合、姿勢制御機能を搭載してはならないなどの制限があるようだ。ただまぁ、法的な規制を受けない範囲であっても、このサイズのホビーロケットを作ってしまうってのは、相当な“ヲタ”ってことなんだろうな。

 というわけで、打ち上げシーンがアップされた、Youtubeのアドレスを紹介しておく。他にも多数の動画がアップされているので、「Steve Eves」で検索して、併せてご覧いただきたい。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200904271023

http://www.youtube.com/watch?v=bj4lj6YSwzg

 ではでは・・・。

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »