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2009年7月

2009年7月31日 (金)

BMIでロボットを操作 認識率が何%になれば実用化できる?

 タイトルに書いたBMIっていうのは、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ブレイン・マシン・インターフェイス(Brain Machine Interface)の略称で、脳波などの脳が発した信号を検知して、ロボットなどの外部装置を動かそうとする技術です。BMI以外では、マン・マシン・インターフェイス、ブレイン・コンピュータ・インターフェイスなんて言われることもありますね。で、そのBMI研究の新しい成果を、Robonableが紹介していましたので、このブログでも触れておきたいと思います。

 詳しい記事の内容は以下のサイトをご覧いただくとして、記事内容を簡単に紹介しておきますと、長岡技術科学大学工学部の中川匡弘教授らが、センサーを装着したヒトが、何らかの感情を想起しただけで、ロボットを動かせるようになったというんです。

 「怒り」や「喜び」といった感情を抱いた際に生じる脳波を計測、解析して、制御信号にしてロボットを動かすと説明がされているんですが、感情を想起してから0.1秒程度でロボットが動きだし、認識精度は高く、約95%にも上るっていうんですから、なかなかすごい。

 こういった研究成果はしばしば発表され、このブログでも4月の上旬にATRやホンダが開発したASIMOを動かすシステムを紹介したけど、あれも認識率は90%以上だったんじゃないかな。

 でもね、この認識率ってどの程度まで上げれば実用化できるんでしょうか。

 今回の研究成果のように「認識率95%」と言われると、私自身、「すごい!」って思ってしまうわけですが、自動車で右にハンドルを回しているのに、5%の確率で左に曲がる自動車なんてありえないわけでしょう。右にハンドルを回せば、100%の確率で右に回るわけで、そうならなかったら故障した車ですよ。

 実際問題、自動車のように事故を起こせば他人に危害を加えてしまうものは、操作者の動作が100%正確に伝わらないと、危なっかしくて使えないわけで、ロボットの操作だって、90%とか、95%っていう精度では、実用化できるものじゃないんでしょう。例えば、介護ロボットをBMIで動かすなんてことを考えると、ロボットの誤動作で介護対象の人に危害を加えてしまうなんてことも考えられうるわけですからね。

 まぁ、現在は技術開発の過渡期になるということなんだろうけど、BMIというシステムが本当に100%を実現できるのかどうか・・・。ちょっと気になります。私自身、BMIには興味はあるし、過去、何度か取材したこともあるけれど、「本当に実用化できるものなんだろうか?」と疑問を感してしまいます。

 と、今回はちょっと悲観的なことを書いてみました。すみません。

http://robonable.typepad.jp/news/2009/07/20090721-ab25.html

 ではでは・・・。

2009年7月30日 (木)

理研など ヒトiPS細胞で網膜移植用の細胞作りへ

 先月、文科省を発表したiPS細胞研究のロードマップを読んでいて、特に驚かされたのはヒトへの臨床研究が、早いものだと5年以内となっていたことでした。率直に、「そんなに早くできるの?」と疑問に感じたんですが、研究の進展は、私の印象よりもずっと早く進んでいるようですね。それを実感できるニュースを朝日新聞などが報じています。

 詳しくは、以下の記事をご覧いただきたいのですが、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターと、再生医療のベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」が、ヒトiPS細胞を使って網膜移植用の細胞を作り、実用化を目指すと発表したんだそうです。

 前述のロードマップでも、5年以内にヒトへの臨床応用を目指すとしていたのは、網膜の細胞の移植でして、今回の報道で、「網膜については、そこまで研究が進んでいたのか」と認識を改めているところなんですよ。いやぁ~、本当にすごい。ついつい期待を膨らませてしまいます。

 ただね、iPS細胞を患者に移植できる網膜の細胞に分化誘導する研究が進んでも、腫瘍化のリスクをどこまで低減できるかが、臨床応用に踏み切れるかどうかを決めるんでしょう。

 このブログでも紹介させてもらったスクリップス研究所のシェン・ディンやATCの研究のように、腫瘍化のリスクを抑えた研究も進められていますが、「これで決まり!」っていうような決定的な研究成果になっているわけじゃないから、理研やJTECの研究が進展しても、腫瘍化のリスクが大幅に低減されない限り、臨床応用は難しいんじゃないかなぁ。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200907240038.html

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002157254.shtml

http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=28867&categoryid=1

 理化学研究所のプレスリリースです。

http://www.riken.jp/r-world/info/info/2009/090723/

 ではでは・・・。

2009年7月29日 (水)

東京大学とゲーム会社が共同でゲームの教育効果を研究

 かつて『ゲーム脳の恐怖』って本がけっこう売れたことがありました。ゲームをしている際の脳波を測定し、ゲームをすることによって脳機能が低下するといった話題だったのですが、今では疑似科学として認識されているようですね。

 で、そのゲームの影響(効果?)ですが、東京大学とバンダイナムコゲームスが「ゲームと教育」をテーマとした共同研究プロジェクトを発足したと発表されました。

 ゲームを中心とした情報技術を活用して、学習者に新しいコミュニケーション環境を提供しようとする教育手法「ICT(=Informetion and Communications Technology)」の一環として、「ゲームと教育」をテーマに研究しようというのですが、東京大学側の担当者というか、研究を行っているのは、先に紹介した『ゲーム脳の恐怖』を疑似科学だと批判されていた、東京大学大学院情報学環の馬場章教授のようです。

 私自身、ゲーム(ここでICTといったほうがいいのかな?)がある教育と、ゲームがない教育のどちらが優れているかなんて比べようがないんじゃないかなぁ~って思っているので、実際にどういう研究成果が得られるのかわからないんですが、8月6日に品川区で、ICTに関連したシンポジウムが開催されるようです。

 興味があるので取材をしたいなぁっとは思うものの、同日に別の取材が入っているので、今回は行けそうにありません。シンポジウムの対象は品川区立の小中学校の先生及び教育関係者ということなので、誰でも参加できるようなものじゃないようですが、このICTは注目していきたいですね。

http://markezine.jp/article/detail/7929

http://www.4gamer.net/games/027/G002744/20090729024/

 シンポジウムの詳細については、馬場教授の研究室のサイトで紹介されています。

http://chi.iii.u-tokyo.ac.jp/

 ではでは・・・。

民主党のマニフェスト 科学技術政策には触れられていないですね

 すでに多くの報道機関が報じているので、ご存じかと思いますが、民主党がマニフェストを発表しました。一般的な報道の論点が財源の根拠に集中しているようですが、科学記者としては、科学技術政策に触れられているかどうかに注目しました。

 しかし、科学技術政策を訴えても票は得られないと判断されたのか、一切、触れられていませんでした。

 「年金・医療」の項目で、がん対策、新型インフルエンザ対策に関する政策方針が掲げられていますが、患者への支援策が列記されているだけで、新しいがんの治療技術の開発に予算を計上しようというような話じゃないですね。

 先にも書いたとおり、科学技術政策を訴えても、票を得られないという判断なのかもしれませんが、新技術を生み出し、それを世界へと売っていかないと(内需も重要ではありますが・・・)、日本の経済は成り立たないわけなので、科学技術政策というか、科学技術振興策も多少は触れておいてもらいたかったです。

 今後、自民党もマニフェストを発表すると思いますが、科学技術政策については、同じようなものなんでしょうねぇ。

http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

 ではでは・・・。

中国の研究グループが、iPS細胞由来のマウスを誕生させたようですね

 iPS細胞はES細胞なみの万能性をもっているといわれることがわるわけえすが、その万能性を確かめたっていう話題を、朝日新聞などが伝えています。

 詳しくは以下の記事をご覧いただきたいのですが、中国科学院と上海交通大学の研究グループは、iPS細胞由来の赤ちゃんマウスを誕生させたようです。研究グループは、まずマウスの皮膚の細胞に山中4因子を導入し、iPS細胞を作製。4倍体の胚に注入し、メスの子宮に戻して生育させるという「4倍体胚補完法」という手法を用いて、マウスの皮膚細胞から作ったiPS細胞由来の赤ちゃんマウスを誕生させたというのです。

 この4倍体補完法(Tetraploid Complementation)っていうのが、ちょっとややこしいんですが、4倍体胚は胎盤形成に寄与できるものの、赤ちゃんそのものにはなれないので、iPS細胞が注入された4倍体胚から生まれた赤ちゃんマウスは、4倍体胚の細胞由来ではなく、iPS細胞由来の赤ちゃんマウスというわけなんですよ。

 ただね、これでiPS細胞が1個の個体を生み出せる、つまり万能性(※これは朝日新聞の表現で、AFPは「全能性」と表現している)を証明できたと紹介しているんだけど、これにはちょっと違和感を感じてしまうんですよ。

 まぁ、iPS細胞から1個の個体を生み出せたってことは、皮膚、筋肉、肝臓、腎臓、肺などなど、どんな臓器、組織にもなることができるので、「万能性」(「全能性」でもいいけど)があるといえるんだろうけど、受精卵から1個の個体が成長するのとは違うわけですよね。

 だから、今回の研究成果でも言えることは、「iPS細胞はES細胞並みの多能性を持っていることが証明できた」ってことで、「万能性」「全能性」があるとは言えないんじゃないかなって思うんですが・・・。

 朝日新聞でも、記事のタイトルこそ「万能性を証明」とは書いているけれど、理化学研究所のの小倉淳郎・遺伝工学基盤技術室長の「胚性幹細胞(ES細胞)なみの品質をiPS細胞が持つことを確かめた成果といえる」との言葉で締め括っているし、その前段では「多能性」という言葉を使っていますね。煽りの意味から、タイトルでは「万能性を証明」と書きつつも、本文がこういう表現になっているのは「万能性」の意味を考慮した結果なんじゃないでしょうか。

http://www.asahi.com/science/update/0724/TKY200907230393.html

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2623982/4389248

http://sankei.jp.msn.com/science/science/090724/scn0907240137000-n1.htm

http://www.nature.com/nature/journal/vnfv/ncurrent/abs/nature08267.html

 ではでは・・・。

鳥を餌にするスズメバチが発見されたっていうんだけど・・・

 スズメバチが狩りをすることは広く知られているわけだけど、ナショナルジオグラフィック・ニュースに「鳥をエサにするスズメバチ、ハワイで発見」とのタイトルの記事があったので、さっそく読んでみました。

 このタイトルから、当初、小さな野鳥を集団で襲って餌にしてしまうのか・・・って思ってしまったんですが、よくよく読んでみると、「より大きな鳥やトカゲなどは、殺すことはないが死体をエサにする」の一文が・・・。

 なぁ~んだ、鳥を狩りしているわけじゃないのか・・・。まぁ、当たり前ですね。

 でも、これだったらスカベンジャーとして鳥を餌にしているわけだから、そんなに驚くべきニュースじゃないですね。

 スズメバチの口器から、微量の餌を採取して、DNA解析を行った結果、何を食べていたのかが明らかになったという研究手法自体は興味深いんだけど、ハンティングをする昆虫の話題で、「●●が▲▲を餌にする」と表記してしまうと、「捕食」をイメージしてしまうだけに、ナショナルジオグラフィック・ニュースのタイトルってミスリードさせてしまうものなんじゃないかなぁ。まぁ、「ハンティングする」とは書いていないので間違いではないんですが・・・。

 ちなみに、英語版のタイトルを確認してみたら、“Alien-Wasp Swarms Devouring Birds, Bugs in Hawaii”となっておりました。直訳したら、「ハワイの移入スズメバチ、鳥や昆虫に貪り食うために群れる」ってところでしょうか。これだったらハンティングするというニュアンスはないように思うんですが、いかがでしょうか。

 というわけで、些細なことでいちゃもんをつけてしまいました。すみません。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=64003931&expand

http://news.nationalgeographic.com/news/2009/07/090723-wasps-nests-hawaii.html

 ではでは・・・。

2009年7月28日 (火)

総額2700億円 「最先端研究開発支援プログラム」への応募は565件!

 このブログで何度か紹介してきた、世界のトップを目指す課題約30件に総額2700億円の研究費を投じる、「最先端研究開発支援プログラム」ですが、565件の応募があったと内閣府が発表しました。

 リリースの内容は、「応募件数が565件でした・・・」ということだけなので、要約を紹介しようもないんですが、率直な感想は「意外に多いな」ってことですよ。

 約30件の研究課題に総額2700億円を投じるということは、平均90億円になるわけで、科学研究費のバジェットスケールとしてはけっこう大きなものになっていますよね。

 ですから、1つのラボが単独で応募するというより、研究を統括する代表者を中心に複数の機関、複数のラボが研究グループを構成して、応募するってものになると思っていたので、多くても「100件ぐらいかなぁ~」と予測していたんですが、結果は565件。結構多いんじゃないですか。

 内閣府のプレスリリースでは、応募件数が紹介されているだけなので、提案された研究プランの詳細は紹介されていないんですが、数十億円規模のビッグプロジェクトを展開しようとしている研究者(研究グループ)って意外に多いんですねぇ。

 それだけに、どういう研究プランが提案されたのか気になります。今後、公表されるのは採用される研究プランだけだろうけど、応募された全プランを発表してくれないかなぁ。

http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/20090727_kensuu.pdf

 ではでは・・・。

2009年7月27日 (月)

三峡ダムって、再生可能エネルギープロジェクトだったのね

 最近では、地球温暖化対策のため少しでも二酸化炭素を排出しない発電システムは“エコ”だと認識されるのか、河川環境を破壊し、巨大なダムを建設する水力発電でも、エコフレンドリーな発電システムって考えられるようになってきているんでしょうか。

 朝日新聞が伝えるところによると、サイエンティフィック・アメリカン(その翻訳版が日経サイエンスですね)が、選んだ「世界10大再生可能エネルギープロジェクト」に、中国の三峡発電所が選ばれているんだそうです。

 三峡ダムが建設されていた頃、河川環境を破壊するといって問題になっていたんじゃなかったかなぁ。

 再生可能エネルギーなので、河川環境を破壊していないとは言っていないわけだけど、巨大なダム建設がエコフレンドリーなエネルギープロジェクトとして紹介されてしまうのには、釈然としないものを感じてしまうのですが・・・。

 というわけで、三峡ダムについて、今一度、再確認と思い、Newton2000年4月号を書棚から引っ張り出してきたんですが、ここでも周辺環境への懸念がいくつか紹介されています。

 三峡ダムが建設された長江流域には、ヨウスコウワニ、ヨウスコウチョウザメなど、絶滅の危機に瀕している野生動物種が数多くいるようで、Newtonの記事中でも「三峡ダムの建設により、各種の生物や生態系全体がどのような影響を受けるのか。三峡ダム建設後の監視・管理システムの確立が必要とされている」と紹介されている。

 その後、三峡ダム建設の影響がどうなっているのかの報道は、私は見たことがないんですが、建設時点からこうした懸念があった開発事業を、環境にいいものと認識するのには、どうなんでしょうか。三峡ダムの建設がどの程度影響したかはわかりませんが、ヨウスコウカワイルカの絶滅が発表されたのは、まだ記憶に新しいところですし・・・(※)。

 「水力発電は再生可能エネルギーだから、世界最大の水力発電所の三峡発電所を選びましょう」と、自動的に選ばれているのかもしれないけれど、なんか違和感を感じてしまうんですよ。

 それに、気になるのは朝日新聞の姿勢ですよ。まぁ、お隣の中国のビッグプロジェクトだから、読者の関心も高かろう・・・という判断が働いたのかもしれないけれど、選ばれた10大プロジェクトから、ことさら三峡発電所をフューチャーするんですかねぇ。

 三峡発電所のほかは、世界最大の風力発電施設(アメリカ、テキサス州)、世界最大の洋上風力発電施設(イギリス)、世界最大の波力発電所(フランス)などが選ばれているんだから、同列に扱えばいいのに・・・。

http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200907090246.html

http://www.afpbb.com/article/1171172 (※)

 ちなみに三峡発電所以外に、サイエンティフィック・アメリカンが選んだ10大再生可能エネルギープロジェクトは、以下のサイトでチェックできます。

http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=10-largest-renewable-energy-projects

 ではでは・・・。

2009年7月25日 (土)

雲が増えれば、地球温暖化を抑えられるんじゃなかったっけかぁ?!

 地球温暖化の原因は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの増加だと考えられているわけですが、温室効果ガスが保持する熱そのものは、太陽からもたらされています。ならば、太陽光が地上に達する前に、大気中で反射してしまえば、地球は冷やされ、温暖化は抑えられるわけですよね。

 ですから、雲が増えて太陽光の反射率(アルベド率)が高まれば、地球温暖化が抑えられると、私は認識してきたんですが、まったく逆の話を、時事通信が伝えているので、紹介させていただこうかと思います。

 その記事というのは、九州大学などで構成された研究グループが発表した成果をもとにしたものなんですが、研究の中心は中国のタクラマカン砂漠で発生する黄砂に関するものでして、約13日間かけて地球を一周するってことを確かめたという研究成果なんです。

 この黄砂が約13日間で地球を一周するっていう話については、特に感想はないんだけど、気になるのが、前述の通り、黄砂の増加が地球温暖化を促すって話なんです。

 記事によると、黄砂は巻雲の増加を促し、巻雲の増加は大気を加熱する作用があるので、黄砂が増加すると地球温暖化が促進されるって紹介しているんですが、これは前述の「雲の増加→アルベド率が高まる→地球は寒冷化」という理論とはまったく逆の話になっていますよね。これってどうなっているんでしょうねぇ。

 時事通信が間違っているのかと思いきや、研究成果を発表した九州大学応用力学研究所のウェブサイトからダウンロードできる、概要版(PDFファイル)でも、「巻雲の増加が温暖化を促進することになります」と紹介していて、時事通信の内容は、あくまでも研究成果に則ったもののようです。

 原著論文はNature Geoscienceに掲載されているようなんですが、生憎、購読してないので読めません。いちおう、非購読者でも読めるアブストラクトはチェックしてみたんですが、ここでは地球温暖化には言及していないようです。

 だから、この論文が紹介する「雲の増加が地球温暖化を促進する」のが正しいのか、以前からの認識である「雲の増加は地球温暖化を抑える」のが正しいのか、よく分からなくなってしまって・・・。

 そこで、黄砂に関して紹介していたNHK教育の「サイエンスZERO」の録画ビデオをひっぱり出してきてチェックしてみたら、ここでは九州大学の理論とは真逆の理論に則っているんです。サイエンスZEROのウェブサイトでも「黄砂は、多くの雲をつくり、太陽の光を長時間強く反射することで、地球を冷やす効果があると考えられる」と紹介していますから、真逆ですよねぇ。

 黄砂で形成された巻雲だけが、地球温暖化を促進するって言うことはないとは思うんですが、九州大学の概要に紹介されている理論って、どういう理屈なんでしょうねぇ。気になるところです。

 ご存知の方がいらっしゃれば、コメントいただければ幸甚です。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date1&k=2009072100027

http://www.riam.kyushu-u.ac.jp/taikai/index-j.html

http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/abs/ngeo583.html

http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp259.html

 ではでは・・・。

2009年7月24日 (金)

本気でテラフォーミングを始める気なのか?

 「テラフォーミング」って言葉をご存知でしょうか?

 地球以外の天体に、微生物を導入して、地球に似た環境にすることを指すことばで、10年度程前までは、未来の技術として紹介されることはあったんですが、最近はあまり耳にする機会はありませんでした。

 ところが、ロシア宇宙局が年内の打ち上げを予定している火星探査機にバクテリアを搭載し、火星の衛星に持ち込もうと計画していることをTechnobahnが報じているんですよ。

 いつもながらに詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、年内の打ち上げを予定されているのは火星の衛星フォボスを探査する“Phobos-Grunt(フォボス・グラント)”でして、バクテリアが搭載されるのは、フォボスで地球上の生命体が生存できるかどうかを実験するという目的なんだそうです。

 ですから、先に紹介した、フォボスを地球化するテラフォーミングに直接つながる話じゃないみたいなんですが、今回の実験でバクテリアの生存が可能だと判断されれば、将来的に、フォボスを地球化できる光合成を行うバクテリアを導入しようってことにもなるじゃないでしょうか。だったら、今回の実験も本格的なテラフォーミングへの第一歩になるんじゃないかなぁ。

 でも、こういう実験って一国の判断だけでやっちゃっていいものなんですかねぇ。

 地球上で問題になっている移入種(日本にいるブラックバスやアライグマが代表例ですね)のような問題は引き起こさないとは思いますが、外来生物を導入することには違いないので、フォボスの生態系(そんなもんあるのか?)をかく乱してしまうようにも思うけれど・・・。

 まぁ、興味深い研究ではありますんで、今後の推移を見守ることにいたしましょうか。

http://www.technobahn.com/news/200907211933

http://www.planetary.org/programs/projects/innovative_technologies/life/

 ではでは・・・。

2009年7月23日 (木)

地球温暖化で、魚のサイズが半減したっていうんだけど・・・

 地球温暖化が深刻化すれば、生態系への影響が心配されていますが、PNASにちょっと気になる論文が発表されたとAFPが伝えています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、記事の大まかな内容をご紹介しておきますと、フランス・リヨンの農業環境工学研究所の研究グループが、河川、バルト海、北海における魚の調査を実施したところ、過去20~30年間で、個々の種類で体重が平均50%減少し、魚類資源全体で平均サイズが60%も小さくなったというのです。

 にわかには信じがたい研究結果なのですが、特に信じられないのが、同一種類の中で、平均サイズが50%も減少したってことですよ。例えば、漁獲されるマグロが20~30年前は平均100cmだったのが、50cmになってしまったってことでしょう(数字は例えなので、意味はありません)。記事からではどういう調査を行ったのかがわからないので、なんとも言えないけれど、こんなことってあるのかなぁ~。 

 動物のサイズを決める法則に、「ベルクマンの法則」というのがあって、寒い所に行くほど大型化し、暖かい所に行くほど小型化するって言う法則があります。クマの仲間でいえば、寒帯に生息しているホッキョクグマと、熱帯に生息しているマレーグマを比べると、ホッキョクグマが大きく、マレーグマが小さいというのはベルクマンの法則で説明できるわけだけど、だからといって20~30年間の間に進んだ地球温暖化の影響で、同じ種類の生物のサイズが50%も減少するっていうのは、本当にあり得るんだろうか。それにベルクマンの法則は、恒温動物だけに当てはまることなので、魚類には当てはまらないわけだし・・・。

 いちおうPNASという、それなりに権威の高いジャーナルに掲載されてはいるので、無下に「そんなことあるかいっ!」っていうつもりはないんだけど、本当なのかなぁ~。

 記事では、このブログでも紹介した、スコットランドの離島で、そこに生息するヒツジのサイズが小さくなるという研究成果にも触れているんですが、今回の成果と、あの成果はずいぶん違うと思うんですよ。

 というのも、スコットランドのヒツジの話は、離島という閉鎖的な環境の中で、暖かくなったことで妊娠率が高まり、かつ餌の増加で餓死する個体が減り、個体数密度が高まった結果、個体のサイズが小さくなったという論理展開には矛盾はないと思ったんですが、今回の研究成果はねぇ~。

 20年ほど前、平凡社が発行していた『アニマ』という雑誌で、サケに関する連載があって、日本が始めたサケの種苗放流を、アメリカ、カナダもまねたため、北大西洋でのサケの個体数が増加し、飽和状態になったので、個体サイズは小さくなってしまったって言う話があって、驚かされたことがあったんですが、それでも数%小さくなっているぐらいで、今回の「50%の減少」っていうのは、ちょっと信じがたいんですが、本当のほどどうなんでしょうねぇ。

 地球温暖化というなら、日本の近海に生息する魚でも、同様に個体サイズが小さくなっている報告があってもいいとは思うんですが、そういう話は聞いたことがないんですよねぇ。

 実際のところ、どうなんでしょうか。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2622886/4382078

http://www.pnas.org/content/early/2009/07/17/0902080106.abstract

 ではでは・・・。

2009年7月17日 (金)

地震直後のイカの集団座礁の原因は?

 生物が地震を予知できるっていう話は、しばしば耳にするし、地震の前兆現象としての生物の異常行動を研究されている研究者もいるようですが、科学的に確定的に論じられるほどの知見は得られていないというのが実情なんじゃないでしょうか。

 とはいえ、私自身、サイエンスライターとはいえ、好奇心先行で面白いネタに飛びついてしまうマスコミの一員なだけに、生物の地震予知能力なんてネタにはついつい好奇心を掻き立てられてしまいます(中には眉唾もののネタもあるので注意ていますが・・・)。

 ですから、ナショナル・ジオグラフィック・ニュースが報じている「地震直後のイカの集団座礁は偶然か?」にはついつい反応してしまいました。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、簡単に内容を紹介しておきますと、7月11日にカルフォルニア州サンディエゴの海岸でアメリカオオアカイカの集団座礁が起こりました。ただし、集団座礁が確認される直前の午前7時34分にカルフォルニア沖で地震が発生していたため、イカの集団座礁と地震の関連性が論議されているというのです。

 ナショナル・ジオグラフィック・ニュースの記事中では「大量」と紹介されているだけで、座礁したイカの個体数は紹介されていないんですが、大きなると2mにもなるアメリカオオアカイカが集団座礁していて、その直前に地震が起こっていたのですから、つい関連付けて考えたくなる気持ちも理解できます。

 しかし、記事ではイカを含む海洋生物の複数の研究者のコメントを紹介しているのですが、みな地震との関連性には懐疑的なコメントがでした。しかも、アメリカの西海岸では、過去にも、このイカの集団座礁が起こっているようで、今回だけ地震と関連付けること自体、無理があるのかもしれません。

 というわけで、ナショナル・ジオグラフィックは、厳密には科学雑誌ではないとはいえ、安直に地震に関連付ける結論に終わることなく、研究者による懐疑的なコメントを紹介するとともに、科学的に考えられうる仮説も紹介しています。ご興味のある方は、ぜひ、以下のサイトをチェックされてはいかがでしょうか。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=56825227&expand

 ではでは・・・。

2009年7月16日 (木)

青い光の照射で、脊髄損傷は治せるのか?

 がん治療では、光線力学療法(PDT=Photo Dynamic Therapy)が実用化されています。ある種のレーザー光に励起されて細胞を殺す薬剤(光感受性物質)を、事前に投与された患者に、内視鏡を用いて病巣だけにレーザー光を照射して、がんを叩くという治療法で、私自身、過去、自分の単行本でも紹介させてもらいました。

 その取材をしている時、光を利用した治療法は、使い方次第では、がん治療に限らず、様々な病気の治療に応用できるんじゃないかって感じていたんですが、興味深い研究成果を共同通信が報じているので紹介させてもらいます。

 いつもながらに詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に内容を紹介しておくと、損傷したラットの脊髄神経細胞に青い色の光(波長470nm)を当てると、細胞の成長を促すタンパク質のインスリン様成長因子1(IGF1)の分泌が促され、損傷部位が回復するということを、名古屋大学大学院医学研究科の研究隅‐ぷが発表したと紹介しているのです。

 前記のPDTは、レーザー光に反応して細胞を殺す薬を投与していることがポイントなのですが、名古屋大学の研究成果では、記事を読む限り、青い光を照射する以外、特別な薬剤を投与しているようなことはないようです。

 青い光を当てるだけで、どうしてIGF1の分泌が促されたのかという分子メカニズムが非常に気になるところなのですが、名古屋大学の研究グループがラットを用いて実施した実験では、脊髄を傷つけた10匹のマウスのうち、5匹に光を当て続けたところ(毎日20分、3週間)、歩行可能なレベルまで回復し、光を当てなかった5匹は麻痺したままだったというのですから、大いに注目に対すると思います。

 ただ、記事ではどういう条件で光の照射が行われたのかの詳細が書かれていないので、人間の患者に応用できるものなのかどうかちょっと判断しにくい。損傷個所が脊髄なので、切開して露出させて脊髄に光を当てていたっているのなら、そのままでは人間の患者には応用しにくいでしょう。

 それに光を当てなかったグループは、青色光だけでなく、まったく光を当てなかったのかどうかってのも気になります。というのも、自然光であれば、そこには青色光も含まれるだろうから、この効果の違いをどう理解すればいいのか・・・。ちょっと気になってしまうんですよ。

 9月に名古屋で開催される日本神経科学会の大会で発表されるようなので、その後、さらに詳しい報道がされるでしょうから、それを待つことにしましょうか。

http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071201000414.html

 ではでは・・・。

2009年7月15日 (水)

「最先端研究開発支援プログラム」の初会合が開催されたようです

 このブログでも何度か紹介してきた、内閣府が進める「最先端研究開発支援プログラム」の選定作業が始まったと、科学技術振興機構(JST)が運営するサイエンス・ポータルが紹介しています。

 30の研究テーマに、総額2700億円(平均90億円)を提供して、世界トップクラスの研究を強力に推進しようとする政策なのですが、7月9日に最先端研究開発支援ワーキングチームの初会合が開催されたようです。

 サイエンス・ポータルは選定作業が始まったとは報じていますが、提出期限は7月24日(所定様式の提出期限。自由様式の提出期限は7月31日)なので、具体的に研究テーマの選別がんされたわけではなく、その前段階の作業となる、どのような課題を選ぶのかの意見交換がなされたようです。

 中には予算配分に異論を唱える意見もあったようです。サイエンス・ポータルの記事を引用されていただくと、「適正規模があり、最低30億円ということでなしに、提案によっては小さいものもよいのではないか」という意見があったようです。

 この意見は、私は、過去、このブログで述べてきた意見とほぼ同意見なので、ここで引用させていただいたわけですが、サイエンス・ポータルでも、同趣旨の論評を加えている。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、どうしても読んでいただきたい文章があるので、その部分を引用させていただくと、「独創的な研究成果は思わぬきっかけから生まれることが多い。これらの研究がすべて最初から工学の研究開発費、大人数の研究スタッフを必要とするわけでもないだろう。基礎研究分野の委員からの意見は、見通しがついた課題にのみ研究開発費が集中するとこれらの独創的な研究の芽を摘みかねない、という危ぐに基づくものではないか」と論評しているのです。

 ワーキングチームの会合でこういう意見が出ているってことは、今後も健全な論議がなされて、支援する研究テーマの選定が進められていくことが期待されます。第1回会合の議事次第はすでに発表されておりますので、今後の会合についても速やかに公開されると思われますから、これからの論議と、支援する研究テーマの選定を見守っていくことにしましょうか・・・。

http://scienceportal.jp/news/review/0907/0907131.html

http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/wt1/wt1.html

 ではでは・・・。

2009年7月12日 (日)

アメリカ自然史博物館が絶滅危惧種の遺伝子の保存事業を開始ました

 生物の遺伝子資源を保存する事業では、古くから植物の遺伝子サンプルとなる種の保存事業がすすめられてきました。例えば、イギリスのキュー王立植物園のシードバンク(種銀行)は有名ですが、日本でも農林水産省所轄の研究所で、農業品種のシードバンク事業が進められていますね。

 じゃ、種として保存できない野生動物はどうかっていうと、Technobahnに、アメリカ自然史博物館とアメリカ国立公園局が、絶滅危惧種の体細胞を収集し、液体窒素で冷却保存する事業を開始したと報じています(以下のサイトをご参照ください)。

 動物園では、ズーストック事業として、生きた個体の継代繁殖を進め、遺伝子資源の保存を進めていますが、これでは飼育できる個体数に限界があるため、同一種類内での遺伝的な多様性の確保には限界があります。その点、体細胞としての保存なら、保存できる遺伝子サンプル数は飛躍的に向上するわけで、遺伝的多様性の確保も期待できますね。

 日本も環境省の委託を受けて、国立環境研究所が、遺伝子サンプルの保存事業「環境資料タイムカプセル」を進めているようですが、どれほど進んでいるんでしょうか。保存資料のリストは公開されていますので、念のためウェブサイトのアドレスを紹介しておきます(※※)。

 過去の報道(※※※)では、トキ、ツシマヤマネコ、リュウキュウアユなどの絶滅危惧種のサンプルを保存していくと紹介されているし、カプセル事業のサイトでも、そのことを謳っているんですが、公開されている保存資料のリストは、環境資料ばかりなんです。できれば、絶滅危惧種の保存状況も公開してもらいたいところですが・・・。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200907081635&lang=

http://www.nies.go.jp/timecaps1/ (※※)

http://www.japanfs.org/ja/pages/023467.html (※※※)

 ではでは・・・。

2009年7月11日 (土)

「子供の科学」2009年8月号で、死滅回遊魚の記事を書きました

 昨日、発売になりました「子供の科学」2009年8月号で、死滅回遊魚の記事を書きました。

 黒潮などの海流の関係で、伊豆、房総などでも、熱帯、亜熱帯の海水魚を観察できることがありますよ・・・という話を書いています。

 ダイバーの皆さんにとっては、死滅回遊魚というと、秋に楽しむものという印象をお持ちかと思いますが、小中学生向けの雑誌でダイビングを前提とした記事というのは難しいので、タイドプールで観察をお勧めする記事になっています。

 もし、良かったらご一読いただければと思います。

http://www.seibundo-net.co.jp/CGI/search/list.cgi?key=z_sinkan&c_bunrui=Z06

 ではでは・・・。

2009年7月10日 (金)

オーストラリアのバイオベンチャー、新しいがん治療技術を開発!

 科学記者として、がんの新しい治療技術を取材していると、現在、主流の手術、抗がん剤、放射線治療にとって代わる、新たな治療法のお話を聞くことがあるのですが、また新たながんの治療技術がオーストラリアで開発されたと、時事通信が紹介しています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、薬剤の入った細胞を、がん細胞に直接送りこんで、がん細胞を殺すというもののようです。薬剤入りの細胞は、がん細胞に取り込まれる(エンドサイトーシスが起こるってこと?)ように細工されているというので、新手のDDS(=Drug Delivery System 日本語では「薬物送達システム」と訳されます)なのかなと思いきや、その後の記事の説明では、「第2波の抗がん剤で殺す」って書かれている。

 えっえっ、どういうこと? いちおう、「最初に『トロイの木馬』でがん細胞の薬に対する抵抗力を失わせ・・・」って書かれているけれど、どのように薬剤耐性を失わせるのかがわからないので、具体的にどういう治療技術なのかよくわからない。

 そこで、記事で紹介されている、この治療技術を開発したオーストラリアのベンチャー企業、エンジェネイック(EnGeneIC)のウェブサイト(※)を覗いてみると、Natureのサイトにリンクが張ってあって、そこからNature Biotechnologyの記事(※※)にたどりついた。

 アブストラクトを読む限り、抗ガン剤に対する薬剤耐性を担うタンパク質の合成を阻害するsiRNAを、ミニ細胞でがん細胞に導入することにより、抗がん剤の効き目を高めるというタイプの治療法のようです。

 がん細胞が薬剤耐性を獲得してしまうと、抗ガン剤を用いた化学療法が効かなくなるため、もうお手上げ状態になってしまうんですが、この治療法を使えば、本来ならば効かなくなった抗がん剤を使うこともできるようになるかもしれないという点では大いに注目すべき治療法といえるでしょうね。

 でも、siRANを「薬剤」と言ってしまうと、わかりにくくなりますね。まぁ、RNA干渉(RNAi)を活用した医薬品のことを「RNA医薬」と呼ばれることがあるので、間違いではないんですが、一言、薬剤の後に( )付きででも、(小さなRNA)って紹介していけだければ、わかりやすかったんですが・・・。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009070400039

http://www.engeneic.com/news.html(※)

http://www.nature.com/nbt/journal/vaop/ncurrent/abs/nbt.1547.html(※※)

 ではでは・・・。

2009年7月 9日 (木)

太陽黒点が出現! 地球温暖化への影響は?

 年始めから、まったく黒点がない状態が続いていた太陽に、再び黒点が出現したことが、アメリカの気象観測衛星GOES(Geostatinaly Operational Enviroment Satellite)による観測で明らかになったようです。以下のサイトで、黒点が現れた太陽の写真が紹介されていますので、ご覧いただければと思います。

 太陽の黒点の数は、太陽の活動の強さを表す指標となりますから、これまで黒点がまったくなかったということは、太陽の活動が弱まったいたわけですが、今回の黒点の出現により、太陽の活動は、再び活発になっていくと考えられるのでしょう(それがいつまで続くのかはわかりませんが・・・)。

 となると、当然、地球温暖化を加速させることになると思いますが、年初来、黒点がなかったことを含めて、こうした太陽活動の変動に関して、地球温暖化を研究している気候学の研究者はあまり論じようとはしていないですね。

 国立環境研究所の江守正多さんが、東京工業大学の丸山茂徳教授の地球温暖化CO2原因説に対する批判を受けて、反論されているのは拝見したことがありますが(※のサイトをご覧ください。黒点数と温暖化の関係が論点になっています)、かといって、太陽黒点がなくなった際、「地球温暖化が弱まるかもしれない」と論じた方は、私は聞いたことがありません。私は聞いたことはないというだけで、いらっしゃらないとは言い切れないのですが・・・、この点にはどうしても引っかかってしまうんですよ。

 だから、今回、太陽黒点が再び現れるようになったことを、気候学の研究者はどうとらえているのか・・・。ぜひ伺ってみたいものです。

http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/mdi_igr/512/

http://www.jser.gr.jp/activity/e-mail/gw4-1.pdf(※)

 ではでは・・・。

2009年7月 8日 (水)

これは一大事! 九州でマングースの生息が確認される

 6月下旬の第一報以降、各紙が続報を伝えているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、九州でマングースの生息が確認されたようです(いちおう6月22日の共同通信のサイトをご紹介しておきます)。

 ただし、2006年頃から目撃報告があったようで、鹿児島県立博物館の方が春ころからマングースの目撃事例を報告なさっているので、ようやく新聞沙汰にまでなったということでしょうか。

 このマングースは、ハブ対策のために沖縄、奄美諸島に持ち込まれたもののが、船舶に紛れ込んで九州に移行したか、違法に飼育されていたものが逃げたか、逃がされたかしたものだと考えられています。

 ハブ対策で持ち込まれたといっても、奄美大島ではアマミノクロウサギを捕食するために大きな問題になっています。沖縄でもヤンバルクイナの分布域の縮小は、マングースの分布域の拡大に関係しているとも言われています(※のサイトをご参照ください)。そのため、外来生物法の特定外来生物に指定され、販売、移動、飼育が禁じられているのですが、残念ながら、今回、九州にまで分布が拡大していることが明らかになってしまったというわけです。

 ならば、一刻も早く対策(大規模な捕獲の実施)を講じる必要があるでしょう。

 捕殺されるマングースはかわいそうだとは思いますが、数が増え、さらに分布が拡大すれば、マングースを根絶させることは困難になります。環境省が、マングースの生息が確認された鹿児島県により、速やかな対策を期待したいところです。

http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062201000795.html

http://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/yambarukuina/03gensho.html(※)

 ではでは・・・。

地球温暖化の影響でヒツジが小さくなった?!

 地球の温暖化が生態系に何らかの影響が及ぼすことはある程度想定されるわけですが、これまで報告されてきたのは、以前なら、熱帯、亜熱帯だけに見られた生物が温帯域でも見られるようになったというものです。温暖化によって、生物の分布が、北への移動しているわけですが、Scienceにちょっとユニークな温暖化が環境に与える影響についての研究成果が掲載されています。

 詳しくは、以下のScienceの論文か、その論文の内容を紹介した共同通信の記事をご覧いただきたいんですが、簡単に紹介しておくと、イギリスのロンドン大学インペリアルカレッジなどの研究者によって構成された研究グループが、スコットランド北西沖に浮かぶセントキルダ群島において1986年から実施しているヒツジの調査結果から、地球温暖化の影響で、体重や足の長さが平均で約5%も小さくなっていたことが明らかになったというのです。

 ヒツジの体が小さくなったという事実は、2007年に報告済みだったですが、その時点では、なぜ小さくなってしまったのかまでは明らかになっていたかったようで、その後、個々のヒツジの成育歴やセントキルダ群島の自然環境を詳しく分析したところ、温暖化により、冬が短くなり、寒さも和らいだので、以前なら生後1年までに死んでしまう成長の遅いヤギも生き残れるようになったのです。その結果、1頭1頭の大きさは小さくなったと報告しているのです。

 限られた環境の中で、個体数が増えると、個体の大きさが小さくなってしまうという事例は、これまでに報告されたことがあったわけですが、それが地球温暖化の影響というのは、これまでにない研究結果なんじゃないでしょうか。それだけに、なかなか興味深いでしょう。

 だけど、体の大きさが小さくなるというのは、島という閉じ込められた環境だからこそ起こったことともいえるわけですよね。もし、これがイギリスの本島(って言っていいのかな?)だったら、増えた個体によって、分布域が拡大するだけで(人間活動による制限がなければの話ですが・・・)、小さくなるってことはなかったんじゃないでしょうか。

http://www.scienceonline.org/cgi/content/abstract/1173668

 この論文の内容を紹介した共同通信の記事です。

http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070301000184.html

 セントキルダ島については、以下をご参照ください。

http://www.kilda.org.uk/

 ではでは・・・。

2009年7月 7日 (火)

ヒレがついたカプセル内視鏡は胃の中を泳ぎ回れるのか?

 今から十年前ほど前でしたか、カプセル内視鏡の開発は公表された際、けっこう大きなインパクトがあって、私自身、いろいろと取材して、記事も書いてきたんですが、今度はヒレが付けられて、胃の中を自由に動き回れるカプセル内視鏡が開発されたようですね。

 このニュースは、7月2日の朝日新聞が紹介しているんですが、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に開発内容をご紹介しておくと、龍谷大学と大阪医科大学の研究グループが、市販のカプセル型内視鏡にヒレと磁石を取り付け、磁力を利用して遠隔操作しながら、内視鏡を動かすというもののようです。イヌを用いた実験で、胃の中の撮影には成功しているようで、1年以内の臨床試験を目指しているようですが、実際、どの程度の操作性があるでしょうか?

 ヒレが付けられているといっても、内視鏡検査をする時って、胃の内容物がなくなっている時でしょう。そういう状態で、ヒレを動かすことによる駆動力を得られても、朝日新聞の記事タイトルにあるような「胃の中、自在にスーイスイ」といけるのかどうかには、素朴に疑問を感じてしまうんですが・・・。

 イヌでの実験な胃の中に止血クリップを4個置て、ヒレ付き内視鏡で探し当てるというものだったようで、これについてはうまくいったようですので、人間にも利用できると考えられたってことでしょうか。

 まぁ、アイデアとしては興味深いので、今後の研究開発の進展には期待しつつも、私自身が検査される立場になったら、ご遠慮申し上げたい。過去、取材でカプセル内視鏡の実物(オリンパスとアールエフのもの両方とも)を見せてもらったことがったんですが、「意外とでかいな」というのが率直な感想でした。今回のヒレ付きは、「市販のカプセル内視鏡」だってことは、オリンパスのものだと思うんですが、そこにヒレがつくんでしょう。こりゃ、飲み込みにくいんじゃないかなぁ。

 カプセル内視鏡って、チューブ式の内視鏡の検査が大きな苦痛を伴うものだったから開発されたわけだから、ヒレをつけて苦痛が増すようなら本末転倒な気もしないでもないけれど・・・。この点はどうなんだろうなぁ。

http://www.asahi.com/science/update/0703/OSK200907020145.html

 ではでは・・・。

2009年7月 6日 (月)

タミフル耐性のウイルスの出現って、一大事だと思うんですが・・・

 ここのところ、テレビのニュース番組では、その扱いがぐっと小さくなってしまいましたが、新型インフルエンザに関して、気になるニュースが入ってきましたね。そう、タミフル耐性のウイルスの出現です。

 タミフル耐性のウイルスの出現は、まず、6月29日に世界保健機関(WHO)と世界的な製薬メーカーのロシュがデンマークでの感染患者から確認されたと公表したのですが、7月2日になって日本の大阪でもタミフル耐性のウイルスが見つかったと厚生労働省が発表しました。

 まぁ、変異速度が速いインフルエンザウイルスですから、多くの感染患者にタミフルを使用していれば、早晩、耐性を獲得したウイルスが出現するだろうとは、以前からも指摘されていましたが、問題は、タミフル耐性のウイルスが確認されたことを迅速に報告したかどうかってことでしょうね。

 デンマークの事例については、最初にタミフル耐性ウイルスを確認した医療関係者が、すぐに関係当局(or ロシュ?)に報告したかどうかはわからないんですが、大阪の事例の場合は、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異が確認されていながら、厚生労働省に報告しなかったというんですよ。約2週間、報告されないままだったというのです。。

 感染患者に相対している医師が、タミフルを投与しても、「効かないなぁ」と感じているぐらいだったら、報告が遅れることもありうるのかもしれませんが、タミフル耐性を示す遺伝子の変異まで確認されていて、厚生労働省に報告しないってのは、まずいんでしょう。

 先日、外岡立人さんが書かれた『豚インフルエンザの真実』(幻冬舎新書)を読んだんですが、ここでは厚生労働省が正確な情報提供を怠ってきたために、地方自治体の公衆衛生担当者は、どう動けばいいのか分からないといったことも書かれてあったが、今回のケースは、それ以前の問題じゃないかなって思うんですが・・・。

 MRSAやVREなどの、抗生剤耐性の細菌が出現したことだって、けっこうマスコミをにぎわせているわけじゃないですか。だったら、当然、新型インフルエンザウイルスでも、現時点では最も多用されている特効薬(タミフルの使用量は、吸入薬のリレンザよりもずっと多い)なんだから、そのタミフルに対して耐性のウイルスが出現すれば、現在、政府によって新型インフルエンザ対策として進められるタミフルの備蓄を再考も迫られるわけでしょう。厚生労働省に報告するのは当然のことでしょう。

 今のところタミフル耐性のウイルスの出現は孤発的なものなので、デンマーク、大阪での事例だけをもって、公衆衛生に対する危機なんて騒ぐつもりはないけれど、公表しないままっていうのはねぇ。

 まっ、起こってしまったことはしょうがないので、これを教訓に、今後の新型インフルエンザ対策に役立ててもらいたいものです。

http://www.sankei-kansai.com/2009/07/03/20090703-011897.php

 ではでは・・・。

2009年7月 5日 (日)

JSTニュース7月号に記憶のメカニズムに関する記事を書きました。

 科学技術振興機構(JST)が発行している広報誌「JSTニュース」の2009年7月号に、記憶のメカニズムに関する記事を書きました。

 三菱化学生命科学研究所の井ノ口馨博士の取材させていただき、長期記憶の形成にかかわる“シナプスタグ仮説”を実証した研究について紹介しています。

 JSTニュースは全国の博物館、科学館で配布していますが、以下のサイトでもご覧にら抱きますので、ご一読いただければ幸甚です。

 また、もう少し詳しく研究内容が知りたい方は、併せて、以下のプレスリリースもご覧ください。

JSTニュース http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2009-07/page07.html

プレスリリース http://www.jst.go.jp/pr/announce/20090515/index.html

 ではでは・・・。

2009年7月 4日 (土)

ポスドクの企業への就職 持参金制度の公募が始まったようです

 以前、このブログでも批判した、ポスドクが企業に就職する場合に、公的資金から“持参金”を拠出するって話ですが、公募が始まったようですね。

 詳しくは公募の窓口となる、科学技術振興機構(JST)のサイトをご覧いただきたいのですが、「高度研究人材活用促進事業」と銘打っていることがわかるように、優れた人材を生かすために必要な制度であることを強調しているんだけど、やっぱり釈然としないんですよ。

 この事業を紹介したプレスリリースでも、JSTが運営する情報サイト「サイエンスポータル」のニュースページでも、民間人(ポスドク)が、民間企業に就職させるのに、公的資金を拠出することに対する言及はまったくないんです。公的資金を拠出することの説明責任は果たしていないんじゃないかなぁ。ポスドクは優秀な人材なので、民間企業が採用すれば、企業の研究開発等の活性化・高度化を図れるってことなんだろうけど、釈然としないのは私だけでしょうか・・・。

 それに、この制度で、元々、ポスドクを採用しようとしていた企業が応募してくることを避けることができるのかも気になります。

 この制度の趣旨としては、ポスドクの採用を敬遠していた企業にも、ポスドクを採用してもらえるようにするためのものでしょう。でも、こういう制度ができたら、これまでもポスドクを採用してきた企業も応募できるわけですよね。だったら、こういう制度を新設しても、応募してくるのは、ポスドク採用の実績のある企業ばかりで、ポスドクの就職の門戸は広がらないままってことも考えられるんじゃないかって危惧もあるんですが・・・。

 平成21年度の募集概要をチェックしてみたら、「主な申請条件」に「JST企業化開発に関連する事業の課題を実施していること」という条件が挙げられているだけでした。ポスドクが企業に就職する機会を増やそうというなら、「過去、ポスドクを採用してこなかった企業に限る」ぐらいの条件を設定してもよかったように思うんですが・・・。

 だから、今後、この制度の成果っていうのも、ちゃんと評価していってもらいたいですね。この制度で、ポスドクを採用する企業は、どれぐらい増えたのか、また、ポスドクを採用するようになった企業が何年後かに、“持参金制度”がなくても、ポスドクを採用するようになったのかどうか・・・などについて、しっかり調べて、この制度が機能したのか、機能しなかったのかをはっきりと評価してもらわないといけないでしょう。

 まぁ、こうして制度は始まったんですから、今後の行く末を見守りましょう。でも、公的資金の拠出にはうるさい一般マスコミは、ぜんぜん騒ぎませんねぇ。なんでだろ?

http://www.jst.go.jp/pr/info/info645/

http://scienceportal.jp/news/daily/0907/0907011.html

 ではでは・・・。

2009年7月 3日 (金)

次世代スペースシャトルは使い捨て?

 スペースシャトルは、アポロ計画で使われたサターン・ロケットなどの、それまでのロボットと違って再利用できるということが“売り”になっていると思っいたのですが、次世代のシャトルは使い捨て型にするという計画をNASAが発表したと、Technobahnが報じています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、次世代ロケットの開発のためのコンステレーション計画に関する外部評価委員会の公聴会の席上で、NASAが使い捨て型のスペースシャトルを開発するという新しい構想を発表したというのですよ。

 「Shuttle-Derived Heavy Lift Vehicle」と名付けられた、この次世代シャトルのイラストは、Technobahnのサイトでも紹介されているので、チェックしてもらいたいんですが、外部燃料タンクやロケットブースターなどは、現行のスペースシャトルのものを流用するようです。つまり、現行のスペースシャトルを翼のない使い捨て型シャトルに据えかえるという構想のようですが、はっきり言って、あんまりかっこいい代物じゃないですねぇ。

 使い捨て型なので、帰還用には、現在開発をが進められているオリオン有人宇宙船が必要となると言っているんですが、だったら、そこはソユーズに任せちゃっていいんじゃないかなぁって思うんですが・・・。

 まぁ、ここのところNASAの予算は削減に向かっているという報道があるので、現行のスペースシャトルで流用できるところ流用して、開発費を抑えようという戦法なのかもしれないけれど、外部燃料タンク、ロケットブースターなどを流用するんなら、様々な欠点が指摘されていても、現行のスペースシャトル自体を退役させないっていう選択もあっていいんじゃないかな。

 このTechnobahnのサイトには、YoutubeにアップされたShuttle-Derived Heavy Lift Vehicleのコンセプトを紹介するビデオ(広報用なんでしょうね)が埋め込まれているんだけど、これがまた立派なCGムービーなんですよ。けっこうお金がかかっていると思います。予算を削減するっていうなら、「こんなビデオ作らなきゃいいのに」とも思ってしまったのは、私だけでしょうか・・・。

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200907011844&lang=

 念のため、Shuttle-Derived Heavy Lift Vehicleのコンセプトを紹介するビデオのYoutubeでのアドレスも紹介しておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=xOnlAUpYWoc

 ではでは・・・。

2009年7月 2日 (木)

猫の「毛の色」と「性格」って関係あるのか?

 体の姿形だけでなく、性格も遺伝的な特徴であることは、多くの研究によって明らかにされているわけだけど、ちょっと気になる記事が、オリコンに紹介されていました。

 いつもながらに詳しくは、以下のサイトをご覧いただきたいんだけど、オリコンの記事とはいえ、元々はベネッセコーポレーションの『ねこのきもち』という雑誌が実施した、飼い猫1000匹を対象としたアンケート結果がネタ元になっているんですが、毛の色と性格は関係がると紹介しているんですよ。

 例えば、黒と茶が混ざった縞模様の猫(「キジトラ」って呼ぶんですね。初めてしりました)は、慎重で警戒心が強い性格だそうで、これは猫の祖先といわれる野生のリビアヤマネコに近い毛色を受け継いでいるからだというんですね。また、黒一色の黒猫だと友好的な性格なんだそうです。

 1000匹ものネコを対象としたアンケート結果なので、一つの傾向を示しているのかもしれないけれど、ネコの飼い主がアンケート調査に答えているわけで、ネコの性格の判定基準はかなりいい加減なものでしょう。

 ある人でも「温和」と思われる性格のネコでも、別の人から見れば「攻撃的」なんて思えるケースもあったかもしれないし、円グラフで示されている、個々のネコの回答分布をみると、結構分散していて、毛色に関係する特徴といってしまうのは無理があるんじゃないかと思えるんですが・・・。

 例えば、慎重で警戒心が強いとされるキジトラでも、最も多い回答は「甘えん坊」の34%で、以下、「怖がり」23%、「おっとり」10%、「フレンドリー」と「活発」9%、「暴れん坊」と「クール」4%となっています(以下略)。一方、有効的だとされる黒猫も、「甘えん坊」の回答が最多で35%で、以下、、「怖がり」18%、「フレンドリー」10%、「クール」10%、「活発」9%、「暴れん坊」9%、「おっとり」7%となっています(以下略)。率直に言って、このデータじゃ、毛色と性格が関係あるとは言えないと思うんですよ。

 ネコと違って、イヌの場合、様々な使役に活用される関係から、東京大学、北海道大学、岐阜大学などで、遺伝子と性格の関係の研究が進められており、例えば、盲導犬に適したイヌの遺伝子は何かってことも言えるようになってきているようですから、そうした研究者に、このアンケート結果について取材して論評を聞いてこればよかったのに・・・と思ってしまいました。

 アンケートを実施した『ねこのきもち』編集部としては、科学的な根拠を導き出そうとしていたわけじゃないのかもしれないわけで、重箱の隅をつつくようなことをしなくてもいいと思われるかもしれないけれど、実はYahooのニュースサイト(科学ニュースのところ)で、タイトルを見て、飛びついちゃっただけに、余計にがっかりさせられたんですよ。

 それにオリコンの記事だと、メンデルの遺伝の法則を持ち出して、ネコの毛色と性格は遺伝子の影響を受けると紹介しているんだけど、だからといって、ネコの毛色と性格が関係しているとは言えないでしょう。

 まぁ、ネコの毛色と性格の関係の科学的根拠については、血液型性格判断程度と考えておいたほうがいいのかもしれませんね。

http://life.oricon.co.jp/67338/full/

 ではでは・・・。

政府は宇宙太陽光発電の開発に乗り出してくれるのか?

 このブログでも紹介してきた宇宙太陽光発電の開発に、政府が乗りだろうとしているというニュースを日経ネットが報じています。

 詳しくは、以下のサイトをご覧いただきたいのですが、宇宙空間に設置した太陽発電施設で発電した電力を、電磁波の一種であるマイクロ波に変換して、地上に送信するという宇宙太陽光発電の実験を着手するというのです。実験に参加する企業を公募し、来月にも選定するというのですが、この実験というのは地上での模擬的な実験を意味しているのか、小規模でも宇宙太陽光発電の実証試験衛星を打ち上げ、宇宙と地上との間での送電実験を意味しているのかがわからないんですが、率直に言って、実証試験衛星を打ち上げるぐらいしないといけないだろうって思ってしまいます。

 というのも、宇宙太陽光発電については、過去、2回ほど原稿を書いたことがあって、早くから宇宙太陽光発電の研究を進めてきた京都大学の松本紘教授(現京都大学総長)や、JAXAの研究者を取材させてもらってきたのですが、10年ほど前の時点で、松本教授は「基本的な技術は開発済み」というようなことを話されていました。すでに電気をマイクロ波に変換して送信する地上実験は成功しているわけだから、今後、実用化をにらみ、本格的な実験を開始するというなら、やはり実証試験衛星を打ち上げての実験でないと、実用化の途はなかなか進まないんじゃないでしょうか。

 まぁ、地上実験が実施されたといっても、マイクロ波を飛ばした距離は数百メートル程度だろうから、実用化した場合を想定して、数十km、数百kmを飛ばす実験なら地上で行う価値は十分にあると思いますが、NASA出身の研究者が、昨年、太陽電池パネルを設置したマウイ島から、約150km離れたハワイ島にマイクロ波を飛ばして電気を送信する実験に成功しているので、これから長距離の実験を行おうとするのではあれば、ちょっと遅れているなぁ~って思ってしまうのですが・・・。

 とはいえ、科学技術の研究開発は着実に進めることがなによりです。政府が本気で宇宙太陽光発電を実用化させようとしているなら、大いに期待したいと思います。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090628AT3S1903C27062009.html

http://www.nss.org/news/releases/pr20080909.html(※)

 ではでは・・・。

2009年7月 1日 (水)

自民党の「研究開発成果実用化促進法案」の骨子が発表されたようだけど・・・

 以前、このブログでも紹介させてもらった、自民党が進める「研究開発成果実用化促進法案」(以前は「イノベーション促進法案」と称していたと思うんですが・・・)の骨子が発表されたと、47ニュース(共同通信)が報じています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、共同通信が報じる骨子を紹介しておくと、政府の総合科学技術会議の機能強化が柱となっており、現在、文部科学省が所轄する科学技術政策研究所を内閣府に移す案も挙げているといいます。つまり、科学技術政策を決定機能の枠組みを規定するばかりで、具体的にどのようにして研究者を支援するかっていうことは挙げられていないようだ(共同通信が記事に盛り込まなかっただけかもしれないが・・・)。

 総合科学技術会議の機能強化や、科学技術政策研究所の所轄をどうするかっていうを「どうでもいい・・・」とまでは言わないけれど、政策決定機能の枠組みがどうなるかっていうよりも、大切なのは、どのように研究者を支援しようとするかってことなんじゃないでしょうか?

 ここのところ、景気刺激策の一環から、研究費が増額されているようだけど、資金的な支援だけでなく、もっとやるべきことはあるわけで、本気で研究成果の実用化を促進しようとするなら、法案に盛り込むべきことはもっとあったんじゃないのかと思うのですが・・・。

 最近も、遺伝子治療の研究を進めている研究者を取材したのですが、細胞や実験動物を使った研究はできても、臨床研究となると、その実現には大きな障壁が存在すると話されていました。

 その研究者は、文科省の役人か、厚労省の役人かは明言しなかったのですが、臨床研究の実施を相談したところ、海外での先例の有無を尋ねられたというのです。科学研究では1番になってこそ、意味があるといわれているのに、先例があるかどうかを聞くなんて、どういう神経をしているんだって思えてしまうが、人を対象とした臨床研究となると、その実施のハードルは非常に高くなってしまい、研究者によっては断念してしまうようなのです。

 もちろん、人間を相手に臨床研究をしようとするんだから、安全性や有効性について、慎重にならないといけないとは思うが、細胞や実験動物を用いた研究でやれるだけのことをやって、臨床研究に進んでも大丈夫だと思えるものであれば、スムースに臨床研究を実施されるべきでしょう。しかし、現実はそこに大きなデスバレーが存在するのです。

 ならば、「研究開発成果実用化促進法案」では、真っ先にこうした問題を解決する施策を盛り込むべきだと思うんですが、そうした観点は自民党のプロジェクトチームにはないんですかねぇ。

 例えば、科学技術政策研究所内に「トランスレーショナル・リサーチ推進委員会」(名称は何だっていいんですが、とりあえず付けてみました)を設置し、臨床研究を目指している研究者をバックアップするぐらいのことがあってもいいわけでしょう。いや、研究者が基礎的な研究しかやっていないなら、その成果を元にトランスレーショナル・リサーチを進める研究を公募して、そこに予算も付けて、実施されるぐらいのこともやっていいはずです。それぐらいやらないと、「研究開発成果実用化促進法」にはならないでしょう。

 政策、行政担当者としては、不確実性の高い先端医療技術の臨床研究を進めて、後から問題が出てきたら大変だっていう保身の気持ちが働くのかもしれないけれど、それじゃ、従来とはかわらないと思えるんですが・・・。

http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062701000602.html

 ではでは・・・。

尺取り虫のように動くゲルロボットを開発!

 世界に先駆けて二足歩行ロボットを開発するなど、日本は世界のロボット研究をリードしていることはご存じのとおりなんですが、現在、動力源として主流のモーターでは、さらなる高機能化は難しいんじゃないかって声もあります。

 私自身、過去、ロボット研究者への取材でも、「モーターでは限界があり、人工筋肉などの新しいアクチュエーターの開発が必要だ」なんて話を何度となく伺った経験があるんですが、そうした次世代ロボットの動力源になるんじゃないかと思われる、これまでにない動力源が開発されたというニュースを日刊工業新聞が報じていました。

 詳しくは、以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、早稲田大学の橋本周司教授の研究室が、溶液中を尺取り虫のような動きで移動する自律移動するゲルを開発したというのです。

 このゲルは高分子物質だけで構成されており、物質内で起こる化学反応をエネルギーについって動くようで、将来的には既存のロボットとはまったく異なる動力源をもった「化学ロボット」を開発したいとといいます。

 残念ながら、日刊工業新聞の記事は文字情報だけなので、どの程度、動けるものなのかはわからないので、橋本教授の研究室のウェブサイトを覗いてみると、ありました、ありました! 自律移動ゲルの動画が! ロボットは動いているところを見てこそ、その実力を実感できると思いますので、ぜひぜひご覧ください(※のサイトで見られます)。

 尺取り虫のように弓なりになったロボットが、ゆっくりと動いている様子が紹介されています。10秒足らずの動画中で、移動できる距離はごくわずかなんですが、着実に歩を進めている様子には微笑ましささえ感じてしまいました。

 この自律移動ゲルを動力源としてきびきび動くロボットを開発するのは、まだまだ先の話になると思われますが、モーターに代わる新たなアクチュエーターの一つとして、今後の開発の進捗を見守りたいと思います。

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0620090629eaag.html

http://chemical.ninja-x.jp/kenkyunaiyou.html(※)

 ではでは・・・。

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