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2010年2月

2010年2月26日 (金)

メディカルバイオ2010年3月号に記事を書きました。

 皆様、いつも当ブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

 さて、今回はちょっと宣伝をば・・・。

 22日に発売になりました、メディカルバイオ誌(オーム社発行)に掲載されている2件の記事の原稿をかかせていただきました。

 1件は、このブログでもしばしば触れている科学技術政策に関連しまして、事業仕分け、最先端研究開発プログラム、ポスドク問題などについて、中川正春・文部科学副大臣に取材したインタビュー記事です。

 もう1件は、先駆的なライフサイエンスの研究をしている研究者を紹介する連載記事でして、理化学研究所の大野博司先生にご協力いただき、腸管免疫のメカニズムの一端が解明され、それを活用することにより、経口ワクチンを開発できることができるのではないか・・・という話です。

 機会がありましたら、ご一読いただければと思います。

http://www.ohmsha.co.jp/medicalbio/

 ではでは・・・。

2010年2月25日 (木)

Yahooニュースのリンクの波及効果はすごい!

 昨日は取材のために、終日、外出しておったのですが、帰宅してブログのアクセス数をチェックしてみると、普段の20倍以上・・・。

 多い日でも250300件ぐらいのアクセスしかない地味なブログなのに、ピーク時は1時間で4021ものアクセス。最終的に7216ものアクセスがあって、どうしたことかと思い、調べてみると、Yahooニュースに、このブログのリンクが張られているじゃないですか。昨日、報道された恐竜のニュースに、私が10カ月以上も前に書いた別の恐竜のニュースのレビュー(感想)のページにリンクが張られていたんですよ。

 このYahooニュースがアップされたタイミングをチェックしていないのでわからないんですが、うちのブログへのアクセス推移をみると、10時帯は13件のアクセスしかないのに、11時帯は1237件、ピーク時の12時帯は4021件もアクセスいただいているので、11時帯にニュースがアップされたのでしょう。それで、この地味なブログ(しつこい?)に、これだけの多くの方々がアクセスしていただけるんですから、Yahooニュースのリンクによる波及効果ってすごいですねぇ。

 以前にも、宇宙開発戦略本部が月探査のために二足歩行ロボットの開発を目指すことを発表したことに関して、ブログで批判したら、このニュースを紹介したYahooニュースでリンクが張られて、その時もアクセス数が急増したってことがありました。

 でも、その後、アクセス数は元の数に戻っているわけですから、今回も同様の推移をたどるのかな? ちなみに1347時点で、420件のアクセスがありますから、機能ほどではないにしても、うちのブログとしては多いほうですね。

 まぁ、人数に限らず、覗いてくださっている方がいらっしゃるだけでありがたい限りです。

 ではでは・・・。

2010年2月22日 (月)

朝日新聞の記事「狂牛病の原因はプリオンではない?」の意味がよくわからない

 BSE(狂牛病)はプリオンというタンパク質の構造が異常になっている場合に発症するというプリオン仮説が提唱されています。生物ではないタンパク質が感染するっていうことには疑問はあるものの、私自身、BSEをはじめとするプリオン病の原因がプリオンであるという、この仮説は妥当だと思っているんですが、朝日新聞に、この仮説に対する疑義を唱える記事が掲載されています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいんですが、率直に言ってよくわからないんです。記事は、Science(※)に掲載された「Generating a Prion with Bacterially Expressed Recombinant Prion Protein」という論文を紹介した、中国の科技日報の記事を和訳しただけのようなんですが、タイトルで「狂牛病の原因はプリオンではない?」と謳っているものの、記事中の文章に狂牛病の言葉は見つからないんですねぇ。

 この論文は、タイトルが示す通り、大腸菌にプリオンタンパク質の遺伝子を導入することにより、プリオンを発言させたってことを指し示しており、Scienceのアブストラクトにはプリオン仮説への言及もあるようですが、朝日の記事ではまったくわからないんですよ。

 せめて日本のプリオン研究者に取材して、この論文の意義をわかりやすく紹介してもらって、それを補足情報として加えるぐらいのことはやってもいいんですが、そういうことってできなかったんですかねぇ。

 タイトル的に興味深い研究成果なので、今回の研究成果をもって、プリオン病の原因がプリオンでない可能性が示されたのかわかるように記事にしてもらいたいものですよ。

http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY201002220197.html

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;science.1183748v1?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&title=prion&andorexacttitleabs=and&andorexactfulltext=and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT (※)

 ではでは・・・。

思春期の脳は外部の刺激を受けて劇的に変化するっていうお話

 思春期の頃って何事にも多感で、気持ちが揺れ動くわけですが、それは脳の構造にも大きく影響するってことが明らかになったという研究成果がNatureに掲載されるようです。

 といっても、今回の研究は人間相手じゃなくて、野鳥(ゼブラフィンチ)を対象にしたもので、思春期(juvenile sensitive period)の出来事が、シナプスの接続を劇的に変化させ、それを安定させるっていうんですよ。要は、思春期の頃って他の年代よりはずっと劇的に脳を変化させることができるので、いろんなことを身につけるのに向いているってことが言えるんでしょうね。

 思春期なんて、はるか昔に卒業しちゃっている身としては、この研究成果を自身の学習に活かせないのが、忸怩たる思いではありますが、気になるのは思春期の脳が劇的に変化できる分子メカニズムですよ。

 思春期の脳が外部刺激を受けて劇的に変えられる(「学習できる」と言い換えてもいいかな?)分子メカニズムが明らかになって、それを思春期以外の年代にも人為的に応用できれば、学習したことを身につけやすい脳を作ることだってできるんじゃないかなぁって・・・。そんな期待も抱いてしまうんですが・・・。

 ちなみに、この研究成果を紹介したAFPの記事(※)は、「脳卒中などの脳障害後にシナプスの可塑性を回復させる研究が進む可能性がある」との一文で文章を締めくくっており、医療行為への応用にも言及しています。

 といっても、私がより積極的に脳力を高める“スマートドラッグ”的な応用を期待しているのに対して、AFPの記者は、あくまでも脳卒中などの脳障害の治療に役立てられないか・・・っていう期待なので、ずいぶん期待の方向性が違うようですね。欲張りすぎかなぁ~。

http://www.nature.com/nature/journal/v463/n7283/abs/nature08759.html

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2697200/5351620(※)

 ではでは・・・。

2010年2月21日 (日)

文科省が次世代スパコン開発に関するフォーラムを開催するようです

 事業仕分けでは「限りなく見送りに近い縮減」と評決された次世代スパコンの開発ですが、実際の予算計上では40億円の縮減だけにとどまった一方、予算の使い方については大幅に変更になったことは、このブログでお伝えしたとおりです。

 単一のスパコンで世界最高の演算能力(10ペタFlopsでしたか・・・?)を目指すのではなくて、既存のスパコンとも連携して、スパコンの演算能力を必要とする多くの研究者に使ってもらえる「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)」を構築していくことになったわけですね。

 で、そのHPCIに関して、文科省がフォーラムを開催するようです。といっても、今回のフォーラムは一般向けのようで、スパコン研究の必要性を広く紹介しようってことなんでしょうか・・・。

 前述のとおり、事業仕分けでは「限りなく見送りに近い縮減」と評決されたにもかかわらず、40億円の縮減だけにとどまったことに対して、国民の理解を求めよってことなのかもしれませんね。

 というわけで、このHPCIにご興味のあるかはお出掛けになってはいかがでしょうか。どこかの雑誌で書かせてもらえるんなら、話を聞きにいこうかなぁ・・・。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/02/1290260.htm

 ではでは・・・。

2010年2月20日 (土)

次の事業仕分けに向けて、内部告発を募るようです

 昨年11月に開催された事業仕分けに関しては、科学技術関連予算が俎上に上がったこともあって、このブログでも何度となく取り上げ、私なりの意見を述べさせてもらいましたが、4月から新たな事業仕分けが行われるようですね。

 今回は公益法人、独立行政法人について論議されることになっており、科学関連でいれば、理研や産総研などの国立研究法人のあり方が議論されるものと思われますが、これに際して関係者(内部の人たちのことですね)からの「内部告発」を募集という話が、以下の毎日新聞などで報じられています。

 前回の事業仕分けでは、天下り役人が多数在籍している団体に資金が流れていることがはっきりしているような“問題”の事業については、各WGの統括を務める議員を筆頭に、仕分け人の人達も、舌鋒鋭く、各事業を担当する役人に質問していたんですが、なかには「建設的・・・」とは言い難い論議も多かったのも否めぬ事実でした。例えば、国際熱核融合実験炉(ITER)の関連予算の論議なんて、あまりの稚拙さに、仕分け人たちの勉強不足が露呈しましたからね。

 結果的に国際熱核融合実験炉(ITER)の関連予算は「仕分け断念」という結果に落ち着いたわけで、これを反省材料にしたのかどうかわかりませんが、今回は事前に内部告発を受けて、仕分けに臨もうってことなんでしょうね。

 でもねぇ、過去の仕分けの評価もせずに先に進まれてもなぁ~って思いもあるんですが・・・。

 仕分け断念になった国際熱核融合実験炉(ITER)の関連予算についてはともかく、仕分けの評決が出された事業についても、その後、予算計上でどうなったのかについてのアナウンスってぜんぜんされていませんよね。

 中には仕分け対象となった事業を担当する各省庁がアナウンスしているものもありまして、このブログで紹介したスパコンについては、「見送りに近い縮減」との仕分けの評価に反し、概算要求から40億円の縮減にとどまったことは紹介されていいますよ。でも、ほとんどのものは仕分けの評決だけが紹介されるだけで、実際の予算計上がどうなったのかはほとんど紹介されないままでしょう。これって問題があるんじゃないかなぁ?

 議員や役人だけじゃなく、民間の観点も加えて国の事業を評価するという事業仕分けは肯定的に評価するけれど、事業仕分けもまた、意義あるものなのかどうかは評価されてしかるべきだといえるでしょう。だったら事業仕分けの結果を受けて、実際の予算計上はどうなったのかも、行政刷新会議自らが自己評価しないといけないんじゃないでしょうか。

 というわけで、行政刷新会議のウェブサイトを覗いてみたけど、それらしいアナウンスはないようですねぇ(私が見つけられないからだけかもしれませんが・・・・)。

 事業仕分けを先に進ませるのはいいけど、過去の評価(時には反省も!)がないと、次の仕分けもトンチンカンなことになってしまいかねないですよ。

 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100217ddm002010038000c.html 

 それから、内部告発がある方はこちらまで・・・。

 http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/youkou.html

 追記

 事業仕分けも含め、ライフサイエンス関連の施策の懸念事項について、中川正春文部科学副大臣に取材したインタビュー記事が、22日発売のメディカルバイオ誌(オーム社)に掲載されます。良かったらご一読を!

 ではでは・・・。

2010年2月19日 (金)

保護策としてスマトラトラのペット飼育の容認が検討されているんだけど・・・

 野生動物を保護していく上で、最も大きな課題としているのが生息地の保全といえるでしょう。

 野生動物を野生のままに保護するとなれば、健全な生息地を維持していくことが求められるわけですが、限られた土地を人間も利用するわけですから、十分な面積の生息地を確保することは決して簡単なことではありませんね。

 そこで、動物園での飼育個体を継代繁殖させることで種の絶滅を回避していこうという取組みも実施されているわけですが、動物の限られたスペースで遺伝的な多様性を維持できるだけの個体数を飼育し続けることもまた簡単なことではないわけです。

 1つの動物園で飼育できる個体だけで継代繁殖を続ければ、いつかは近親交配させてしまうため、動物園どうしで個体を貸し借りするブリーディング・ローンも行われていますが、決して十分とは言い切れないでしょうね。

 そうした課題への対策の一環なのか、インドネシアで、絶滅が心配されているスマトラトラの保護策としてペットとして飼育することを検討しているとCNNが伝えています。

 スマトラトラは、現在の野生の個体数が400頭程度と推定されており、絶滅の危機に瀕しているわけですが、森林の不法伐採やプランテーションの拡大で生息地を失って、非常に危うい状況にあるようです。そこで、10万ドルの補償金を払い、十分な広さの庭を確保できる人物に限って、スマトラトラをペットとして飼育すること容認するということなのですが、どうなんでしょうか。

 前述のとおり、動物園で飼育される個体で種の保存を図っていこうと言う取組みが行われ、「ズーストック計画」と言われているので、個人的には「ペットストック」による種の保存もあってもいいと思うんですよ。本気で・・・。でも、今回の記事ではペットとして飼育を容認する条件について、保証金と飼育スペースしか書かれていないのでちょっと気になるんですよね。

 ペットとして飼育される野生動物を種の保存に生かそうとする場合、計画的に繁殖の機会も与えていかないといけないといけないですよね。ただ「ペットとして飼育していいですよ」ということになれば、その個体の繁殖の機会を失わせることになるわけですから、種の保存のためとはいえなくなってしまいます。

 多頭飼いすればペットとして飼われている個体にも繁殖の機会を与えられるかもしれないけれど、そのためには厳密な血統管理も求められ、必要に応じて個体の貸し借り(ブリーディング・ローン)も必要となると思うんだけど、今回のペット容認に、そうした制度が組み込まれるのかどうか・・・。記事では伝えていないだけに気になりますねぇ。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN201002160035.html

 ではでは・・・。

2010年2月18日 (木)

iPad発表以降、書籍の電子化の話が盛んに語られていますね

 iPad発表以降、書籍の電子化の話が盛んに語られていますね。私自身、出版業界の末席で仕事をさせてもらっているので、編集者との打ち合わせなどの際に、雑談程度に「電子書籍化の対応やってます?」って聞いたりしています。でも、私の付き合いの範囲では、会社として特別なことはやっていないとのことでした。それにけっこう楽観視している編集者が多いですね。

 もちろん、これまで紙媒体での出版が主流だったのが電子化すれば、出版社、そして、そこで働く編集者にとって、産業革命的な激変になるんでしょうが、書籍が電子化してもコンテンツを制作することにはかわらないから、出版社はコンテンツ制作業として生き残れるだろうとことらしいんですな。

 ただし、そうなってくると出版社は、機能的に編集プロダクションと変わらなくなってしまうから、従来の「出版社=発注者」、「編集プロダクション=受注者」というヒエラルキーは変わってしまうかもしれないって話にもなりました。

 紙媒体の場合、一冊の本を出版するのに一定のイニシャルコストが必要だけど、電子書籍の場合、印刷、製本、流通のコストはかなり圧縮できるだろうから、編集プロダクションが出版社的に現在の版元機能を担うようになってくるに違いないと・・・。そうなるとコンテンツ制作能力いかんにより、新興の編集プロダクションの中には急成長するところも出てくるかもしれませんね。

 それに、街中の書店とAmazonを比べていると、やっぱりまだネット書店は本を探しにくく感じます。昨年、秋に千葉の田舎に引っ越してから、Amazonを利用する機会は増えており、過去の購入歴からのレコメンドもちゃんとチェックしているものの、Amazonのレコメンドで「こんな本が出たのか? 買わなくちゃ!」ってなることはほとんどない・・・というか、そんなこと一回もないんじゃないかな。

 まぁ、こうなるのは今でも取材や打ち合わせで都心に出かけた折には、必ずといっていいほど大型書店を巡っているからなんだろうけど、書店で見つけて「いい本だ」と思って購入した本の多くを、Amazonが勧めてくれていないのも否めぬ事実ですね。要はAmazonだけでは見つけられない本も多いってことです(もちろん書店だけでも見つけられないままの書籍はおおいんだろうけど、紀伊国屋、ジュンク堂あたりの書店巡りとAmazonを比べると、書店のほうが圧倒的に未知の本との出会いが多い)。

 著者やタイトルがわかっていれば、Amazonでも探せるわけだけど、まったく未知の著者の未知の作品ではほとんど探せないわけだから、今後はネット書店の中でいかに目立てるかっていう宣伝戦略が、電子書籍時代のコンテンツ制作業者に求められるのかもね・・・。

 それから書籍の電子化についてもう一点。

 今の電子書籍のハードって、書き込み(マーカーライン引き)、ページの角折り(ドッグイヤー)、付箋貼りってできないんでしょ? これって自分の本読みスタイルからすると致命的なんですよね。この点は今後の製品開発次第なんだろうけど、この機能がないと「電子書籍はダメ!」って人は多いんじゃないかなぁ。

 というわけで、今回は科学ニュースのご紹介ではなく、電子書籍に関してつぶやいてみました(←最近、始めたTwitterの影響ですね)。

 ではでは・・・。

2010年2月17日 (水)

神経細胞を生み出すスイッチの仕組みが解明されたようです

 先日、骨髄細胞にNotch遺伝子の一部を導入して、様々な神経に分化できる神経前駆細胞を作製し、これを脳梗塞患者の脳に移植するという新しい脳梗塞の治療法の話をしたけれど、そのNotch遺伝子について、興味深い研究成果を名古屋大学が発表しました。

 詳しくは以下のPDFファイルをご覧いただきたいのですが、神経細胞のもとである神経幹細胞(前述の神経前駆細胞よりもさらに未分化の細胞ってことですね)から、神経細胞が生み出される際に働くスイッチの仕組みを明らかにしたっていうんですよ。

 Notchによりシグナルは、以前から神経幹細胞から神経細胞が生み出されるスイッチの一つとして働いていると考えられていたものの、その仕組みの詳細は明らかになっていなかったんだそうです。ただ、リリースを読む限り、Notchのシグナルが活発になると、神経幹細胞を維持され、シグナルが抑えられると神経細胞が増えることわかっていたようです。

 そこで、名古屋大学高等研究院の伊藤素行特任准教授の研究グループは、Nemo like kinaseNLK)というリン酸化酵素に注目し、この酵素がNotchタンパク質をリン酸化することを新たに発見しました。

 Notchタンパク質は、NLKによりリン酸化されることで、その働きを発揮する際に重要な他のタンパク質との複合体系性能が抑えられるとのことでして、実際、ゼブラフィッシュを使った実験で、NLKの働きを抑えたところ、Notchタンパク質の働きが活発になり、神経幹細胞が増加したそうです。

 今回、明らかになったNotchシグナルを調節する仕組みは、ヒトでも共通に備わっていると考えられているようで、この成果を元に、神経幹細胞の増殖を人為的に促す薬を開発できるんじゃないかっていう期待も言及されているんですが、ここにちょっと疑問を感じてしまうんですよね。

 というのも、このNotchってタンパク質は、神経幹細胞が神経細胞に分化するのを抑える働きがあるんでしょう。ということは、NLKの働きを抑えることで神経幹細胞が増えたっていうのは、神経幹細胞の絶対数を増えたっていうわけじゃなく、本来、神経細胞に分化するところを抑えたことで、見掛け上、神経幹細胞が増えたように見えるだけのようにも理解できるんじゃないかなって・・・。この点が気になるなぁ。

 脳梗塞、外傷性障害、神経変性障害などの病気に対する応用が期待されると書かれているんだけど、例えば、脳梗塞の患者の場合、死んでしまった神経細胞に代わる神経細胞の新生が必要なわけだから、神経幹細胞を増やすための薬では、直接的な治療に結びつかないようにも感じてしまったんですよ。この疑問は、今回の研究成果を私がちゃんと理解できていないからなのかなぁ~。

 ちなみに、このリリースは、A4用紙1枚分にまとめられた文書でして、今回発見された調節機構を説明するイラストはありません。だから、私の理解が及ばなかったのかもしれないんだと思うけれど、リリースとして発表するなら、もうちょっとわかりやすくしてほしかなぁ。

http://www.nagoya-u.ac.jp/pdf/research/news/20100201_iar.pdf?20100201

 ではでは・・・。

2010年2月16日 (火)

再生医療ベンチャーのセルシードが株式上場するようですね

 再生医療ベンチャーのセルシードが3月に株式上場するようですね。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、セルシードは東京女子医科大学の岡野光夫教授が開発した細胞シート工学の技術を移転されたベンチャー企業で、岡野教授自身も取締役であり、主要株主に名を連ねているようです。

 岡野教授には、過去、2度ほどインタビュー取材を受けていただきましたし、セルシードにも8年ほど前(だったかな?)にも取材したことがあって、その頃から期待はしていましたが、ようやくここまできたってところですね。

 その細胞シード工学を活用して、最も研究が進んでいる「角膜再生上皮シート」についても、現在、フランスで治験中のようで、まだ実用化にはいたっていません。まぁ、薬じゃないので予期せぬ重篤な副作用があらわれて開発中止なんてことにはならないと思うけれど、虎の子の技術が実用化できるかどうかが、企業の行く末に大きく影響を及ぼすので、今後の研究開発の推移を見守りたいところです。

 とはいえ、日本証券新聞の記事によると、再生医療に用いる角膜再生上皮シートを実用化させる以前に、細胞培養用のシャーレがしっかりビジネスになっているようですね。

http://ow.ly/16CgA

 ではでは・・・。

2010年2月15日 (月)

母乳に含まれるmiRNAで乳児の免疫を制御している可能性が示されたらしいんだけど・・・

 日経BPのバイオテクノロジージャパンに、国立がんセンター研究所がん転移研究室の小坂展慶リサーチレジデントらの研究成果として、母乳中に免疫制御に関係するマイクロRNAmiRNA)が含まれていることが明らかになっていう記事がありました。

 母乳には分泌型免疫グロブリンAが含まれていて、乳児の免疫に関係していることは明らかになっているらしいんですが、母乳に含まれているmiRNAによっても免疫を制御している可能性が指摘されたんだって・・・。

 しかも、機能性RNAを母から子へ受け渡すことによって、個体間で遺伝情報の伝達が行われている可能性も示しているっていうんだけど、これ以上の詳しい購読してないと読めない。う~ん、気になるなぁ。

 「母乳」、「miRNA」、「免疫グロブリン」、「小坂展慶(リサーチレジデント)」をキーワードに検索しまくたってけど、行きつく先は、以下の日経の記事。「機能性RNAの受け渡しで、個体間で遺伝情報の伝達が行われている可能性」ってのに気になって仕方がないんだけどなぁ~。ぐっとそそられる一文なんだけど、疑問がいっぱい浮かんでしまうので、研究成果の細かいところを知りたいなぁ。

 無料で読める文面だけでは、どこかのジャーナルに発表されたっていうことは示されていないし・・・。できれば国立がんセンターにリリースを出してもらいたいんだけどなぁ。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010021471290

 ではでは・・・。

研究者自ら研究費を点検 無駄はけっこうあったようです

 昨年11月に実施された事業仕分けは、科学技術関連予算が俎上に上ったため、多くの研究者にインパクトを与えたようですが、朝日新聞の報道によると、研究者自らが、研究費が効率よく運用されているかっどうかを調査し、多くの無駄があったと報告したようです。

 この調査を行ったのは、神経科学者組織の有志で、約170人が回答したアンケートで、9割が研究費の仕組みや使い方に無駄があると指摘したっていうんですよ。9割ですか・・・。すごい割合ですねぇ。

 で、その内容はというと、「(年度末に)研究費を使いきるように事務から指導が来る」、「不要な物品、高額機器を購入することも多々ある」、「輸入機器は中間マージンで現地価格の2~3倍、場合によっては4倍近い値段」などということなんですが、たしかに無駄があるようですねぇ。

 ただし、これって研究者が個人的にお大尽したくてやっているっていうことなんじゃないと思うけれど・・・。研究費を使いきるように指導されるなんてのは、研究機関内での研究費運用の制度上の問題でしょう。また、輸入機器の価格が高いっていう原因はよくわからないけれど、欧米のメーカーの製品を国内の代理店が販売しているから、どうしても中間マージンが発生して高額になってしまうってことなんじゃないかなぁ。

 なんか構造的な無駄といった感じで、これを研究者だけの責任にすることはできないように思うんですが・・・(中には研究費で自分のパソコンを購入していたなんて話はあるけど、こういう悪質な事例はアンケート調査ではあぶりだされないでしょうね)。

 そこで、記事では(というか、有志らの報告では・・・かな?)、研究機器の中古品のオークションなどを開催する研究者組織を作り、無駄をなくしていこうということまで提言されているんだけど、これって先の事業仕分けでなされた論議よりもずっと有意義な提言じゃないですか!

 もちろん、事業仕分けのような場で個別の研究室が購入した研究機器が有効に使われているかどうかなんてことまで指摘できるなんて思わないけれど、「購入した研究機器の有効活用はできていますか?」ぐらいのことは指摘できたんじゃないかなぁ(何かの研究施設の稼働率については指摘されていたけどね)。

 今年も4月から事業仕分けが行われ、理研や産総研のような研究開発法人のあり方も論議されるっていうじゃないですか。だったら、漠然と「無駄をなくせ」ではなく、研究現場で何が行っているのかをしっかり見据えた具体的な提言、そして論議を期待したいところですよ。

 いっそのこと、今回の調査で世話人をされた、藤田保健衛生大学の宮川剛教授に、仕分け人として参加してもらってもいいかもしれませんね。

http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY201002140292.html

 ではでは・・・。

動画共有サイトのVeohが倒産するようですね

 動画共有サイトのVeohが倒産するようですね。一時期、利用していましたが、使い勝手が悪いので、最近は使っていなかったんですが・・・。IT業界の過当競争も厳しいですなぁ。

 以下のAll Things Digtalの報道によると、VeohYoutubeスタイルのサイトとしてスタートして、ビジネスモデルを模索していたものの、ゴールドマン・サックス、タイム・ワーナー、インテル(のベンチャーキャピタル?)などから投資された7000万ドルが底をついたとのこと。7000万ドルですか・・・。すごいなぁ。

 日本のニコニコ動画はどうなんだろう? こちらも最近は使っていないけど、細々とやっていくって感じなのかな。

http://mediamemo.allthingsd.com/20100211/veoh-finally-calls-it-quits-layoffs-yesterday-bankruptcy-filing-soon/

 ではでは・・・。

2010年2月14日 (日)

昨日に続き、もう一件、脳梗塞の治療法のお話を・・・

 昨日、骨髄細胞から神経前駆細胞を作った脳梗塞の治療に活用するという報告大学の研究成果を紹介しましたが、その後もいろいろと情報を漁っていたら、似ている研究が札幌医科大学により進められ、すでに臨床応用されているようです。

 少し古い新聞記事なのですが、200816日の北海道新聞によると、札幌医科大学脳神経外科の宝金清博教授らの研究グループが、骨髄幹細胞を移植して脳梗塞を治す治療法の研究を進めていると報じています。

 骨髄幹細胞には、傷ついた脳の神経細胞に活力を与える物質や、血管を新たに生み出す物質を放出し、神経細胞が再生するのを助ける働きがあり、さらには時間がたつと幹細胞自身が神経細胞になることもあるとのこと(※この「物質」という表現は、北海道新聞の表現に倣ったので、ある種のサイトカインが出るってことをいっているのでしょう)。

 そこで、骨髄幹細胞の働きに注目した宝金教授らは、動物実験で、その効果を確かめた後、大学内の倫理委員会の承認を得て、20071月から、脳梗塞治療としての骨髄幹細胞移植を患者相手に実施。この新聞が発行された20081月までで12人の患者に実施し、中程度の脳梗塞患者に対しては、手が使えるようになったり、一人で歩けるようになるなどの高い効果が認められたというんですよ。

 ただし、組織が壊死した部分の神経細胞まで再生させることができないようで、梗塞が広範囲に広がっている場合は効果が低く、まったく治療効果が認められない患者もいたそうです。

 となると、昨日、紹介した骨髄細胞にNotch遺伝子の一部を導入して神経前駆細胞まで作って移植する東北大学の新治療法が、重症の脳梗塞患者にも有効かどうかが気になるところですね。

 宝金教授らの方法は、骨髄幹細胞を移植するといっても、神経細胞を新生させるというより、残った神経細胞によるネットワークの再構築を促すことが主眼となっているようにも見受けられますが、北大学の新治療法は神経細胞の新生を促そうと言うものとも理解できますから、こちらの治療法への期待は大きいですね。もちろん、その期待が現実のものとなるかどうかは、今年中に始められる予定だという臨床試験の結果次第なんですが・・・。

 それから、この北海道新聞の記事なんですが、残念ながら、現時点ではネット上で公開されていないようですから、ここで全文を公開することはいたしません。ご興味部ある方は縮刷版ででもご覧ください。

 また、この研究はJSTの支援を受けていたようで、以下のURLで閲覧できるPDFファイルで、治療法の概要が紹介されていますので、こちらも併せてご覧ください。

http://www.sapporo.jst-plaza.jp/list/071114honmou.pdf

 ではでは・・・。

2010年2月13日 (土)

骨髄細胞から作った神経前駆細胞で脳梗塞を治す新治療法

 脳の神経細胞に栄養や酸素を運ぶ動脈の血流が何らかの原因で滞ると、その先の神経組織は死ぬ脳梗塞になってしまいます。一度、神経組織が壊死すると、たとえ命を取り留めたとしても、重篤な後遺症が残ることがあるだけに、壊死した神経細胞をよみがえらせる再生医療の開発が待たれるところですが、その脳高速の新しい治療法が開発されるかもしれないっていうニュースを朝日新聞が報じていますので紹介しておきましょう。

 この新治療法の開発を進めているのは、東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野の出沢真理教授らの研究グループでして、骨髄の細胞に「ノッチ」と呼ばれる遺伝子の一部を導入し、様々なタイプの神経細胞に分化する能力をもった神経前駆細胞を作製することに成功したとのことです。しかも、脳の血流を止めて人為的に脳梗塞状態にしたネズミ(朝日新聞の記事ではネズミとなっていますが、マウスのことでしょうね? それともラット?)の脳に、この神経前駆細胞を移植し、運動機能をある程度、回復させられているとのこと。なかなかすごいですね。

 朝日新聞の記事では、導入されたノッチについての詳細は紹介されていないので、何とも言えないんですが、私の認識では、ノッチって細胞間の情報伝達に関わるタンパク質の遺伝子ですよね。その一部を導入して、骨髄細胞を神経前駆細胞にすることができたっていうんだけど、どういう研究により、こうした方法にたどりついたんでしょうね。気になります。取材したいなぁ。

 また、この記事では、この新しい治療法の実用化を目指して、アメリカのピッツバーグ大学と共同で臨床試験を実施するよう、FDAにその計画を申請していると伝えているんですが、う~ん、どうしてアメリカでの治験なんでしょうねぇ。日本では実施できないんでしょうか。気になります。

 新薬の開発でも、日本で臨床試験を実施する前に、アメリカや中国で実施して、その国の監督官庁に承認してもらってから、日本で治験を実施するという例はありますが、日本の厚労省に承認してもらうのは難しいと判断してのことなんでしょうかねぇ。

 今回の件で、アメリカで治験を行う背景にまで触れられていないので、その理由についてはなんともいえんのだけど、こうして日本発の研究成果が、まず海外で臨床応用されるっていうのには、やっぱり忸怩たる思いをもってしまいます(元々、ピッツバーグ大学との共同研究で、アメリカでの治験の実施が自然な流れだったのかもしれませんが・・・)。

 最近もドラッグ・ラグの問題を改善するため、迅速な承認を実現する仕組みの構築が求められているようですが、将来の臨床応用が期待される基礎医学の研究成果の臨床につなげる“橋渡し研究”への支援も期待したいものです。

http://www.asahi.com/science/update/0209/TKY201002090272.html

 ではでは・・・。

2010年2月12日 (金)

脳科学で本当に集中力は高められるのか?

 112日に、このブログで、日本神経科学会が発表した『「ヒト脳機能の非侵襲的研究」の倫理問題に関する指針』を紹介し、脳科学とはいえないような事柄を、メディアがさも脳科学的に正しいとして紹介していることに問題意識をもっていることを示していました。

 このこと自体、肯定的に評価していますが、一方で、脳科学者自身の自助努力がない限り、メディアだけに責任転嫁されてもしかたがないと考えていたわけですが、この指針が出て、1カ月たった今日、Yahooニュースのトップ項目に気になるニュースが挙げられていたので、紹介しておきましょう。

 その記事というのは、ビジネス雑誌として知られる「プレジデント」の記事を引用、転載したもので、『勝負脳の鍛え方』などの著書で知られる林成之・日本大学総合科学研究科教授への取材をもとに構成した、タイトルは、そのものズバリ、『脳科学理論が解説。「集中力」が増す3つの仕かけ』という記事です。

 けっこう長い記事で、その内容は引用しないので、詳しくは、以下のサイトをご覧いただくとして、気になった表現を紹介しておくと、まず、記事の冒頭、競泳平泳ぎの金メダリストの北島康介選手がゴール直前で減速してしまうことに対して、「脳の機能は「ゴール間近だ」と思った瞬間に低下し、それに伴って運動機能も低下するのだ。脳の自己報酬神経群という部位の仕業である」と説明しているんですが、う~ん、どうなんでしょうか・・・。

 まぁ、過去に行われた何らかの脳科学の研究事例から、こうしたことも言えるのかもしれないし、実際、北島選手には当てはまったのかもしれないけれど、完全に定説として「脳の機能は「ゴール間近だ」と思った瞬間に低下」すると論じられているのには、ひっかかってしまうんですよ。

 現在の脳科学では、fMRIPETなどの脳の働きを画像化する技術を活用して、一定の条件下で脳がどのような働きを行っているかを調べるわけでしょう。だったら、当然のことながら、実際に競泳のレースに出ている選手の脳の活動を調べられているわけじゃないですよね。

 fMRIPETで脳の働きを調べる際、被験者は検査装置の中に横たわっているわけだから、「ゴール間近」という状況を設定することすら難しいはず。もちろん、横たわった状態でもできる何らかの作業、例えば、「できだけ早く100問の単純計算をする」なんてことをさせてみて、100問の計算を終える「ゴール間近」を作り出すことはできるだろうけど、この記事で紹介されているように、脳の働きって定型的に起こるものだと言えるものなのか・・・。

 せめて、過去にどういう研究が行われていて、その研究の結果から照らせば、ゴール直前で減速してしまった北島選手の脳の働きは、これこれこういうふうに解釈できますよ・・・っていう論調であれば気にならなかったのかもしれないけれど、そうした前提がないまま、断定的に言われると疑問が残ってしまうんです。

 まぁ、取材時に、林教授がそういう説明をしていたのかもしれませんし、ビジネス雑誌故に科学的な根拠はすべて割愛されたとも考えられますが、少なくともこの記事の断定的な論調って、冒頭で紹介した指針の精神には反するんじゃないのかなぁ。

 指針では、「一般社会に不正確あるいは拡大解釈的な情報が広」がることを問題視していたのですが、今回の記事などは、まさに「不正確あるいは拡大解釈的な情報」を拡大させる一助になっているとも思えます。

 ならば、脳科学者自身が、こうした記事に対してももっと積極的に批判していかないといけないんじゃないでしょうか。例えば、「●●先生が取材を受けている、あの記事は、科学的におかしいんじゃないか・・・」などという感じで、脳科学者が批判しあわないと、指針が指摘した問題は解決しないと思うのですが・・・。指針を発表した日本神経科学会自身は、どう考えているのか、聞いてみたいですね。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100212-00000001-president-bus_all

 ではでは・・・。

今回も生態学のお話 フナの稚魚放流で水田の生物多様性が高まった

 先日、オオカミの再導入に関する報道をご紹介したら、普段よりも多くの方々にアクセスしていただけたようで、ありがたい限りです。研究分野としては、オオカミの再導入に関連するような生態学、野生動物学って、研究予算的にも憂き目を見ているところがあるのですが、世間的には耳目を集めるようですね。

 というわけで、今回も生態学のお話をば・・・。

 琵琶湖の固有種のニゴロブナの稚魚を水田に放流すると、そこに生息する動物プランクトンの種類が2倍に増えることを明らかにしたっていう、琵琶湖博物館による研究成果を中日新聞が伝えています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、ブラックバスなどの外来種が増加したことで、ニゴロブナが減少してるため、湖に比べ外来種が少ない水田を活用し、ニゴロブナを増やす活動を滋賀県が進めているのですが、人為的に稚魚を放流するとなれば、水田の生態系への影響も調べておく必要があります。

 そこで、琵琶湖博物館と茨城県中央農業総合研究センターが共同で稚魚の放流調査を実施しました。一つの水田に1600匹の稚魚を放流したところ、1カ月ほどで稚魚の餌となるミジンコがほぼ全滅。その代わりに、小さな動物プランクトンが、それまでの5種類から10種類前後にまで増えたというんですよ。

 この研究成果に対して、琵琶湖博物館の研究者は、「ミジンコの量は減ったが、結果的に生物の多様化は進んだ」と肯定的に受け止めています。まぁ、種類数が増えたってことは紛れもなく生物多様性が高まったわけで、肯定的に捉えることには異論はないんだけど、ミジンコが全滅してしまったっていうのはいいのかわるいのか、ちょっと判断しかねますね。たしかに種類数の面でいれば、水田の生物多様性は高まったとはいえ、稚魚を放流したことによる直接的な影響としてミジンコが全滅したとなれば、放流した個体数が多すぎたという評価でもできるんじゃないかなとも思うのですが・・・。

 前述のとおり、今回の調査では一つの水田に1600匹の稚魚を放流したわけだけど、もし、800匹だったらどうだったのか、400匹だったらどうだったのか・・・といった放流個体数を変えて評価していけば、ミジンコの捕食対象となっていた、より小さな動物プランクトンの種類数も増やしつつ、ミジンコも絶滅させない放流数を見出して、より多様性の高い水田を作ることができるようにも思うんだけど、どうでしょうか。

 今後の研究成果に期待しましょうか・・・・。

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100211/CK2010021102000015.html

 そうそう余談ですが、今回の研究成果についてもっと詳しく知りたいと思って、琵琶湖博物館のウェブサイトを覗いてみました。サイト内をさまよって、なんとか研究成果を発表するページに行きつきましたが(※)、博物館にとって研究活動も、展示室の運営、管理と並ぶ重要な活動なので、もっとわかりやすいところに紹介してもらえないかなって思ったのですが・・・。

http://www.lbm.go.jp/researcher/press/2009/100210.pdf (※)

 ではでは・・・。

2010年2月10日 (水)

オオカミ再導入を推奨する論文が発表されたようですが・・・

 今年は10月に名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開催されるのをご存知でしょうか。

 この条約自体、あまり知られていないから、今のところ新聞なんかの扱いも地味ですが、いちおう国際条約の締約国会議ですからね。1997年に京都で開催された気候変動枠組条約の第3回締約国会議(COP10 通称“京都会議”)ぐらいに盛り上がってくれてもいいんですが、今のところ私の仕事にはほとんど影響ないままです。

 生物多様性とか、生態系関連の原稿執筆の仕事がくるんじゃないかなぁ~って期待したいたんだけど・・・。と、愚痴ばかりいってもしかたがありません。CNN.co.jpに生物多様性というか、生態系に関わる話題が紹介されていたので、ここでも触れておきましょう。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいんですが、ここで紹介しているのはオオカミの再導入ですよ。日本でも東京農工大学の丸山直樹名誉教授がオオカミの再導入を提唱されていますが、この記事では生物多様化と生態系の維持にオオカミを再導入しましょうって言っているんですが、なんかちょっとひっかかるんですよね。

 といっても、オオカミの再導入自体に引っかかっているんじゃなくて、この記事の内容にですよ。

 全体的な記事の論調は、「食物連鎖の頂点であるオオカミがいないため、エルクやシカといった草食動物が増加する一方だと指摘」として、オオカミの再導入を好意的に紹介しているんです。細かいことを言えば、エルクもシカの一種だから、「エルクやシカといった・・・」という表現もおかしいんだけど、これはさておき、最も気になったのが、その後に紹介されている、1960年代に行われたアラスカでの再導入の評価ですよ(※エルク、シカ問題についてですが、英語版のサイト(※)でも、“elks and deer”ってなっていますから、日本語版の誤訳ではないようです)。

 記事では、1960年にアラスカ州コロネーション島で、シカの個体数を管理するためにオオカミを導入したことを例に挙げ、オオカミの個体数が増加し管理できなくなったと、この取り組み自体を否定的に紹介しているんです。だけどね、本来、生態系を維持するためのオオカミの再導入だったら、管理なんてしなくていいんじゃないのかなぁ。

 コロネーション島での再導入計画自体、あまり詳しくは知らないんだけど、島という限りは、他の地域から閉鎖された環境だってことなんでしょう。そこでシカが増加しすぎているっていうので、オオカミが導入すれば、最初こそ豊富なエサ(シカ)資源を背景にオオカミは増えていくわけですよね。でも、オオカミが増えて、捕食圧が高まれば、シカの個体数が減り、さらにはオオカミもエサ不足に陥っても、島という閉鎖環境であるために他の地域には行けないのだから、オオカミの個体数も減少しますよね。つまり、ほっておけばシカ、オオカミともに適正な数に落ち着くはずなんですよ(シカが増えて、オオカミが増えて、シカが減って、オオカミが減る・・・という経年変化は続くんでしょうが・・・)。

 だから、管理なんて必要はないはずなんだけど、どうもこの記事の前提は人間の管理が前提になっているんですよ。もちろん、再導入したオオカミが家畜を襲った場合の補償や、それをさせないための事前の対策(再導入地域と牧場を隔てる柵の設置など)は必要かもしれないけれど、再導入したオオカミが増えたら間引きしましょうっていう発想はいらないんじゃあいかなって・・・。

 まぁ、記事ではアメリカ国立公園局(National Park Serviceのことでしょうね)の職員が、バイオサイエンス誌に発表した論文を元にしているので、CNNの誤報というより、元々、この論文自体が個体数管理を徹底するという論調だったのかもしれないけれど、なんかひっかかっちゃうんですよねぇ。

 ちなみに閉鎖環境における捕食・被捕食の関係の研究では、アメリカのロイヤル島国立公園の研究事例が有名です。この件についてご興味の方は、以下の(※※)をぜひご覧ください。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN201002040023.html

http://www.cnn.com/2010/WORLD/americas/02/02/wolves.ecosystem.control.climate/index.html (※)

http://www.wolfmoose.mtu.edu/ (※※)

 ではでは・・・

2010年2月 9日 (火)

アメリカのベンチャー企業がiPS細胞の特許を取得したっていうんだけど、なんだかなぁ~

 いやぁ~、このニュースだけはよくわかんないですねぇ。アメリカのバイオベンチャーがiPS細胞の特許を取得したなんて言っているんだけど、アイデアだけで特許取得が認められるなんて、本当に信じられないですよ。

 詳しくは以下の報道をご覧いただきたいのですが、幹細胞研究では世界的に有名なルドルフ・イエニッシュ・MIT教授が設立に加わったフェイト・セラピューティックス社が、「体細胞を初期化する方法」についての特許を取得したっていうんです。

 ただね、これら記事をよくよく読んでみると、認められた特許っていうのは、あくまでも体細胞を初期化するアイデアだけで、具体的にどんな遺伝子を導入して初期化するかっていうことまでは特許として認められていないわけ。つまり、アイデアレベルで特許になってしまったってことなんですねぇ。

 実際、Business Week(※)の記事では、イエニッシュ教授の「was the first one to do it, we had the idea first」っていうコメントを紹介しているんだけど、これを和訳すると「実際にやったのは(山中教授)だが、最初に考えたのは我々だ」ってことでしょう。まさしくアイデアだけで特許が取れてしまったことを示す格好の証拠だと思うんですが、本当に、こんなことあっていいんでしょうか?

 世界で最初に人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功したのは、論文発表の順番からして、山中教授なわけでしょう。だったら、当然、山中教授、というか、京都大学がパテント・ホルダーになるべきなんだけど、ややこしい状況になっちゃっていますね。

 今回のアメリカの一件だけでなく、アメリカのバイオベンチャーのアイピアーイエン社がイギリスでiPS細胞の特許を取得したって発表しちゃっていますよね。こちらの事例については、アイピアーイエン社の前身がアイズミバイオだってことを考えれば、ある程度、予測のつく自体だとはいえますが、フェイト・セラピューティックス社が体細胞の初期化技術の特許を持つっていうのは納得できないですよぉ!

 アイデアレベルで特許が認められるんだったら、何でもありじゃないの? 「何かわからないけれど、何かの遺伝子を導入すれば、体細胞を肝臓に変えられるので、肝硬変の治療に応用できます」なんてことだって特許になっちゃうってことなのか? あほらしい・・・。

 毎日新聞の記事によると、京都大学のiPS細胞研究センターは「特許の記載データをみる限りiPS細胞を作成したものではないと考える」とコメントしているようで、自身の特許に対して影響はないと判断しているようですが、こういうことが後々裁判沙汰になって、不合理な審判を下されてしまう原因にならないことを願うばかりなんですが・・・。

http://www.asahi.com/science/update/0208/TKY201002080385.html

http://mainichi.jp/select/science/news/20100209k0000m030080000c.html

http://news.braina.com/2010/0209/enter_20100209_001____.html

http://www.businessweek.com/news/2010-02-04/fate-therapeutics-mit-scientist-get-stem-cell-patent-update1-.html (※)

 ではでは・・・。

「子供の科学」2010年3月号にカブトムシの周年羽化の記事を書きました

 成虫で越冬するクワガタと違い、カブトムシは夏の終わりに繁殖を終えると死んでしまうため、通常、秋から春までは生きた成虫のカブトムシを見ることはできません。

 ところが、群馬県桐生市にあるぐんま昆虫の森では、カブトムシを一年中羽化させる周年羽化を可能にし、常に生きた成虫のカブトムシを展示しています。

 そこで、ぐんま昆虫の森が行っている周年羽化を取材させていただき、その記事が明日(21日)発売の「子供の科学」(誠文堂新光社発行)に掲載されます。

 機会がありましたら、ご一読を・・・。

http://www.seibundo-shinkosha.net/

http://www.giw.pref.gunma.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000000

 ではでは・・・。

事業仕分けで予算縮減となったはずのスパコンの開発なのですが・・・・

 昨年の事業仕分けでは、蓮舫議員の「2位じゃだめなんですか?」発言が、新聞やテレビのようなメジャーメディアでも取り上げられたことで、次世代スパコン研究が世間の耳目を集めたことが記憶に新しいことと思います。

 事業仕分けでは、「来年度の予算計上の見送りに限りなく近い縮減」との表決結果が出されたわけですが(※)、このブログでも紹介したとおり、概算要求額から縮減されたのは40億円にとどまりました。

 このこと自体、事業仕分けが、いかに茶番劇、とまでは言いたかないけど、あんまり実のあるものじゃなかったことを示しているわけですが、研究現場は次々世代スパコンにまで話が進んでいるようです。

 詳しくは以下の神戸新聞の記事を読んでいただきたいのですが、理化学研究所が、現在、神戸のポートアイランドに建設中の次世代スパコンの約100倍の演算能力を持つ次々世代スパコンの開発を始める計画を明らかにしたっていうんですよ。

 研究計画は、理化学研究所基幹研究所の平尾公彦特任顧問(※※)が神戸市内で行った講演で明らかにされたもので、次世代スパコンを使って2010年度にスタートさせ、最終的には約100人の研究者が関わるとのこと。これだけの規模の研究ですから、当然、研究予算もそれなりでして総事業費は1120億円なんですって・・・。

 事業仕分けでは予算計上の見送りに近い縮減とまで表決されたものの、結果的に40億円の縮減にとどまったので、次々世代スパコンの研究予算についても目処がたっているんでしょうが、予算の縮減枠が40億円にとどまった背景には、単に世界1位のパフォーマンスを目指すだけでなく、既存のスパコンとも連携して、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ」を構築するってことに研究の方向性を転換したんじゃなかったかなぁ(※※※)。

 以下に示した(※※※)、中川正春・文部科学副大臣の記者会見でも、これまで1000人程度の研究しかアクセスできなかったスパコンに20000人の研究者がアクセスできるような体制を整え、そのコンピューティング・インフラを稼働させるためのソフトウェア開発も進めるって紹介しているわけでしょう。今回の理研の次々世代スパコンの研究計画ってちょっと違うような気がするんですよ。政府による予算の使途説明と、実際の使われ方が違うように思うのは私だけでしょうか・・・。

 まぁ、研究の方向性が違っても、日本のコンピュータ・サイエンスの進展につながればいいんだけど、世界1位のスパコンを開発することが自己目的化するのは望まれることじゃないわけですから、次々世代スパコンの開発とともに、より多くの研究者がスパコンの演算能力を活用して研究ができる体制の確立はきちっと進めていただきたいものです。

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0002694450.shtml

http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13kekka/3-17.pdf (※)

http://www.riken.jp/qcl/members/hirao/hirao.html (※※)

http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1288227.html (※※※)

 ではでは・・・。

2010年2月 8日 (月)

世界初!マラリアワクチンが開発されるかもしていないっていうニュース

 昨秋からインフルエンザのワクチンが話題になっておりますが、インフルエンザのようなメジャーな感染症ならワクチンが開発されているものだと思われるかもしれません。ところが、マラリアのワクチンはいまだ開発されていないのです。

 マラリアはマラリア原虫という単細胞生物の感染によって発症する感染症で、世界保健機関(WHO)の推計では、世界のマラリア患者数は3~5億人で、マラリア感染による死者は100150万人にも上ると推計されています。そのためマラリア原虫に対するワクチンの開発は進められているものの、未だ実用化に至ったものはありません。

 そのマラリアワクチンに関して興味深い研究成果を読売新聞が報じていましたので、このブログでも触れておきましょう。

 詳しくはいつもどおりに以下のサイトをご覧いただきたいのですが、マラリアワクチンの研究開発を進めているのは、大阪大学微生物研究所の堀井俊宏教授の研究グループでして、2005年から日本国内で行ってきた接取実験で、マラリア原虫を撃退する抗体が得られることを確認しており、この3月からアメリカのウガンダで臨床試験を開始するとのことです。

 ただし、記事中では詳しく紹介してくれていないのですが、これまでの研究ではマラリアワクチンが開発できなかったのに、堀井教授の研究グループが開発に成功しつつあるという理由が気になりますねぇ。いちおう記事中では、「マラリア原虫のたんぱく質は変異しやすく、成功例はない」と紹介しているんだけど、だったら堀井教授らがワクチンに活用しようとしている分子は変異しにくいってことなんでしょうか。

 記事では堀井教授らがワクチンを開発する上で着目したのは、SERAという、マラリア原虫の体を包むようにあらわれるタンパク質だとも紹介しているんですが、このSERAが変異しにくいものなのかどうかまでは紹介していません。ここが気になるなぁ。

 とはいえ、これまでの研究ではSERAの抗体を持っていると、マラリア原虫に感染されても発熱、原虫の増殖ともに抑えられるので、ワクチンとしての効果は期待できそうなので、このままうまくいけば日本発の研究成果がマラリアを撲滅するっていう快挙をもたらすことになるかもしれません。

 ぜひ、今後の研究の推移を見守りたいところですね。

http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100201-OYO8T00374.htm

 ではでは・・・。

2010年2月 6日 (土)

牛肉の美味しさを測定するカメラが開発されました

 食い物の良し悪しを食べなくても言い当てられる目を持っているっていうのは、なかなかかっこいいものですね。いわゆる“目利き”ってやつなんでしょうが、食べることは好きだけど、そんな食道楽じゃない自分はとうてい目利きにはなれそうにありません。

 ところが、写真1枚とるだけで、牛肉の美味しさを測定できるカメラが開発されたようです。

 開発したのは高級ブランド牛「飛騨牛」の産地として知られる岐阜県の情報技術研究所でして、ここの研究者が注目したのが牛肉に含まれるうま味成分のオレイン酸。牛肉のうまさは脂の食感に加え、オレイン酸の量が決めてになるそうで、近赤外光(波長が赤外光に近い光のことですね)で撮影し、成分ごとに異なる光の波長からオレイン酸の量を判定するとのこと。以下のリリースを読む限り、この程度の説明しかできないんですが、この技術で撮影した牛肉に良質な脂肪が含まれているかが色で識別されようです。

 そこで、129日に、この技術の性能を確かめる試験を実施。24人が参加し、カメラでより美味しいと判定された牛肉と、それよりも劣ると判定された牛肉を比較したところ、美味だと判定されたお肉を14名(約60%)が食べたいと選択したとのことなんだけど、う~ん、微妙な結果だなぁ。

 美味しい、美味しくないっていうのは、個人の好みもあるから、カメラが美味しいと判定した牛肉を、100%すべての人が美味しいと感じるなんてことは望めないんだろうけど、約60%っていうのは、カメラが正確に美味しいほうを言い当てていると評価していいものかどうか、ちょっと判断しかねる結果ですねぇ。

 それに、リリースでは、カメラが撮影した画像(良質の脂肪を含むかどうかが色分けされて示された画像)以外に、普通のカラー写真も示されているんですが、そちらを見ただけで、カメラが美味しいと判定した牛肉には細かい脂肪(さし)が入っていて、もう一方の牛肉よりも美味しそうなんですよ。これではカメラがなくたって、美味しさは見た目でわかるんじゃないでしょうか。

 食味官能試験を実施するなら、見た目にはほとんど区別つかないほどさしの入り方に違いがない牛肉を用意して、それでもカメラで撮影したらオレイン酸の含有量に違いがあって、実際に食べてみると、カメラが美味しいと判断した者のほうが多くの人に支持されたっていうなら、カメラの実力を評価できるんだけど・・・。

 とはいえ、これまでオレイン酸の含有量を調べようとすると肉をミンチにしなければならず、売り物の精肉で調べることが難しかっただけに(調べること自体のコストも問題だろうし・・・)、このカメラへの期待は大きいんでしょうね。実際、リリースには、このカメラで飛騨牛の脂肪の質を検査することで、他銘柄との差別化もできると紹介されています。

「ほら、見た目でも美味しそうですが、このカメラで撮影することで、ちゃんとうま味成分のオレイン酸を含む脂肪が多いってことがわかるでしょ」って説明できれば、消費者への説得力は違ってくるでしょうね。

http://www.cc.rd.pref.gifu.jp/imit/pdf/release20100130.pdf

 ではでは・・・。

2010年2月 5日 (金)

アメリカの有人宇宙探査計画が中止になりました

 新聞ではそれなりの扱いで紹介されたから、ご存知かと思いますが、NASAが進めていた有人月探査計画が中止になったようですね。

 日本でも科学技術関連予算が事業仕分けの対象となって、無駄だと判断されたGXロケットの開発が中止になっちゃいました(次世代スパコンや理研3事業は、事業仕分けの結論ほど削減されなかったようですが・・・)。いちおうエンジンの開発だけは進めるようですが、科学技術の研究開発は公的資金頼りなだけに、国の財政が逼迫した状態にあっては、夢やロマンだけでは研究は続けられないってことなんでしょう。

 となれば、アメリカ政府が「有人月探査は中止!」と判断するのも致し方ないのかもしれません。

 その代わり、国際宇宙ステーション(ISS)のほうが5年間の延長が決まったも報じられています。

 有人月探査では、夢やロマンを掻き立てられたとしても、実利的な研究成果が得られるのかどうか見えませんが、ISSなら、そこで実施された研究の成果は、医薬品開発などの実利的な研究にもいかせますからね。

 夢やロマンよりも、身入りを重視した科学技術政策ってことなんでしょうが、う~ん、せちがらいですなぁ。

http://www.asahi.com/international/update/0128/TKY201001280119.html

 ではでは・・・

2010年2月 4日 (木)

スポーツシューズより裸足で走ったほうが衝撃を吸収できるそうです

 先日、ある公園に裸足で歩くとマッサージになるっていうものがあったので、試しに歩いてみると、これが痛いのなのって・・・。その施設の説明を読むと、痛いってことは、それだけ内臓の調子が悪いってことらしいんですが、ちょっとした凹凸なのに、こんなに痛むものかと不思議に感じられたほどでした。

 こんな経験をしていたものだから、AFPが報じている、スポーツシューズを履いて走るより裸足で走るほうがいいというニュースはにわかに信じられませんでした。

 といっても、この記事は足つぼマッサージの話じゃなくて、どれだけ吸収できるのかってことのようで、その成果はNatureに発表されたもの(※)でして、眉唾ものの研究成果ってわけではなさそうですね。

 で、その内容なんですが、ハーバード大学のダニエル・リーバーマンらの研究グループによる研究でして、アメリカとケニアのランナーを対象に、「裸足で走る」、「靴を履いて走る」、「以前は靴を履いていたが裸足で走ることに転向した」3つのグループで、それぞれ足の重心の掛かり方を調査。すると靴を履いたランナーの4分の2が、着地時にかかとが地面に接しており、その回数は1マイル(1.6km)ごとに約1000回だということが明らかになったっていうんです。

 一方、裸足のランナーのほとんどは着地時にかかとが接地しておらず、このおかげで痛みや損傷につながる衝撃を回避できているというんですが、う~ん、なんか納得できないなぁ。

 まぁ、言わんとしていることは、靴を履いて走るとかかとで接地させて走る分、衝撃が加わり、かつ、いくら高い衝撃吸収性能をもったスポーツシューズでも完全に衝撃を吸収しきれるわけじゃないから、足に衝撃が加わるが、裸足だと足の側や母指球が接地するので、くるぶしの間接で衝撃を吸収できるってことなんでしょうか・・・。

 だから、「はだしで痛みも不快感も感じずに走ることができる」とまで言っているそうなんですが、う~ん・・・。どう思います。いちおう、記事の最後には、これまでずっと靴を履いて走ってきた人は、裸足で走るための筋肉ができていないそうなので、まずはふくらはぎなどの筋肉を徐々に作りながら裸足走行に転向したほうがいいと紹介しているんだけど、私からすればふくらはぎの筋肉以前に、足の裏の皮膚を分厚くしないと痛くてしょうがないように思うんだけど・・・。

 そうそう、裸足で走ることが習慣になっているランナーは足つぼマッサージのところを歩いても痛くないのかなぁ・・・と、そんな疑問を思い浮かべてしまった研究成果でありました。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2687999/5246331

http://www.nature.com/nature/journal/v463/n7280/abs/nature08723.html (※)

 ではでは・・・。

2010年2月 3日 (水)

飛べない鳥の祖先は飛んでいたって新説が発表されました

 ダチョウやエミューなどの飛べない鳥に関して、National Geographic Newsで興味深い学説を紹介しています。

 詳しくはいつも通りに以下のウェブサイトをご覧いただきたいのですが、ダチョウやエミューなどの飛べない鳥は、その祖先から飛べなかったとうのが長らく定説となっていたところに、オーストラリア国立大学のマシュー・フィリップスがまったく異なる新説を唱えているとのこと。今から6500万年前以前は、ダチョウやエミューの祖先も空を飛んでいたものの、白亜紀末に恐竜が絶滅したことで、地上で生活しても捕食されない新しいニッチ(生態的地位)が生まれ、飛ばなくてもよくなったので、飛ばなくなったんだそうです。

 まぁ、恐竜が絶滅していなくなれば、その空いたニッチに収まるように別の生物が進化するのは当たり前と言えば当たり前なんですが、だからといって飛べない鳥の祖先が飛んでいたとするのは、状況証拠としても弱すぎますよね。もちろん、こんな状況証拠だけで新説を唱えているわけではないようで、系統進化に基づいて新説を唱えているようです。

 まず、かつてニュージーランドに生息しており、すでに絶滅しているモアの化石からDNAを採取し、これを詳細に分析。現生の鳥類と比較したところ、南米に生息している、ほとんど飛ぶことができないシギダチョウと最も近縁であることがわかったそうです。

 では、モアが生息していたニュージーランドは、かつて南米大陸、オーストラリア、南極大陸が一緒になった巨大な大陸ゴンドワナの一部だったものの、8000万年前に分離しました。ニュージーランドがゴンドワナから分離する以前にはモアはいなかったわけだから、ニュージーランドの分離後に、南米大陸にいたモアとシギダチョウの祖先が、海を越えてニュージーランドに渡ったと考えるのが妥当だってことのようです。

 さらに、フィリップスは、共通の飛べない祖先から、ダチョウ、エミューなどの原生の飛べない鳥に分岐していったと考えられている旧説に対して、今回の研究で、個々の飛べない鳥が個別に進化してきたとも唱えているようで、なかなか興味深い仮説になっています。

 National Geographic Newsの記事では、Systematic Biology誌に原著論文を発表していると紹介しています。さっそくSystematic Biology誌のウェブサイトを覗いてみたところ、購読者ではなくても、Full Textを読めるようになっていますので、ご興味のある方はチェックしてみてください(※)。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100202002&expand

http://sysbio.oxfordjournals.org/cgi/content/full/59/1/90 (※)

 ではでは・・・。

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