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カテゴリー「ライフサイエンス」の記事

2010年3月12日 (金)

厚労省がiPS細胞の再生医療応用で安全指針案をまとめたっていうんだけど・・・

 昨日、ご紹介したiPS細胞から腸を再生する研究成果のように、iPS細胞を用いた再生医療は、実用化に向けて着実に研究が進められていますが、実用化に向けて必要不可欠なのが安全指針(ガイドライン)です。

 ガイドラインも何もなく、現場の医師などの医療関係者の判断だけに委ね、何か問題が起こった時に、行政は一切のリスクをとらないというのでは、iPS細胞を用いた再生医療を実用化させようっていう機運は決して高まらないでしょうね。

 そこで、以下の日経の記事によると、厚生労働省がiPS細胞などの再生医療に応用する際の安全指針案をまとめたようです。さっそく厚生労働省のウェブサイトを覗いて、その案とやらが公開されていないか調べてみたんですが、生憎、見つけられませんでした(私の探し方が悪かっただけかもしれませんが・・・。ご存知の方がいらっしゃいましたら、どちらで閲覧できるのかご教示ください)。

 というわけで、現時点では日経の記事だけで、その内容を推察するしかないのですが、日経の記事では「企業や研究機関が薬事法に基づく臨床試験(治験)をする時に使う細胞の作製法や管理法、確認事項などを定めた。副作用や発がんなどのリスクを最小限に抑えるのが狙いだ」って紹介されていますから、けっこう踏み込んだ内容になっているようですね。

 ただし、ここでちょっと疑問を感じるのが、現時点までの研究で、本当に安全を確保する指針ができるのかってことですよ。

 私の認識では、iPS細胞の研究では、がん化させないための方法の模索が全世界で行われているわけですよね。例えば、ウィルスベクターによる遺伝子導入する方法から、化合物で脱分化を促す方法が研究されたり、iPS細胞にまで戻さないで、体細胞から望みの別の体細胞に変えるっていう手法も開発されてきています。でも、「これで決まりだ!」と言えるほどの決定的な方法が開発されていないのも否めぬ事実で、まだまだ群雄割拠といったところでしょうか。

 それに、昨日の読売新聞の記事()によると、東京大学の小川誠司特任准教授らの研究グループが、iPS細胞は培養を続けると、徐々に遺伝子が変異してしまうことを明らかにし、日本再生医療学会で発表するとのこと。

 まだ発表前ということで、あまり詳しい内容は報じられていないのですが、以前、私が理研BRCを取材した際も、iPS細胞のように未分化の細胞を培養し続けたら、遺伝子に変異が起こるということは話されていたので、培養を続けることで遺伝子変異が起こることは十分にあり得ることでしょうね。ただ、「最短5回の植え継ぎをした12株で、一部の遺伝子の重複や欠落などの異常が起きていた」っていうのには驚かされました。

 こういう成果が得られたってことは、iPS細胞を用いた再生医療でも、患者自身の細胞を使わないレディメイドの再生医療の場合、元となる細胞をどの程度まで増やしていいのかっていうことも決めていかないといけないわけで、現時点でどこまで具体的な安全指針案ができるのか、疑問を感じてしまいます。

 とはいえ、前述のとおり、iPS細胞を用いた再生医療を実用化させていく上で、安全指針は必要不可欠なものですから、2010年度中に正式決定される安全指針案を叩き台にして、論議を尽くしていただきたいものです。期待していますよ。

http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2010030904011h1

http://osaka.yomiuri.co.jp/university/research/20100311-OYO8T00240.htm?from=ichioshi (

 ではでは・・・。

2010年3月11日 (木)

iPS細胞から蠕動運動が可能な立体構造をもった腸が作られました

 以前にもこのブログで書いたと思いますが、病気や怪我によって機能を損なわれた臓器をよみがえらせる再生医療を実現しようとすると、患者の体外で一定の大きさの組織を培養できなければならないと考えています。

 もちろん、赤血球、白血球など単離した状態で働く細胞なら組織を作るひつようないでしょうし、未分化の細胞を播種した担体に患者に埋め込み、体内で組織を形成するっていうアプローチでの技術革新もありえるのかもしれませんが、臓器の機能が徐々に回復していくのを待つ時間的な余裕がない患者にとっては、臓器の機能を十分に発揮できるほどの大きさをもった臓器を体外で培養し、これを移植するという方法が求められるのでしょう。

 ならば、未分化の細胞から成熟した体細胞へ分化誘導させるだけでなく、立体構造をもった臓器を形成する技術も必要なわけですが、以下の毎日新聞の記事をはじめ、複数の報道機関が、奈良県立医科大学の中島祥介教授の研究グループが、マウスを用いてiPS細胞から腸を作り出すことに成功したと報じています。

 詳しくは以下の記事をご覧いただきたいのですが、大まかな内容を紹介しておきますと、これまでにも平面のシート状の組織は作られていたのですが、今回の成果では、管状の組織を作り出すことに世界で初めて成功したというんですよ。

 大きさは直径約2mm、長さ約5mmと小さなものですが、腸特有の蠕動運動もできるようになっていて、内容物を押し出す動きも観察できたというので、この点については腸の機能を持っていると言えるようですね。

 ただ、現在、書店に並んでいるMedical Bio誌(オーム社発行)にも書かせていただきましたが、腸管組織には数多くの免疫細胞が存在するなど、実に複雑な構造を持っています。その点で、今回、発表された腸が、iPS細胞からどのような細胞に分化させて、立体的な組織を作り出したのか気になるところです。

 腸管を形成する細胞の機能についてはあまり詳しくはないので、推測に頼らないといけないのですが、蠕動運動を再現するだけなら、筋層の細胞だけでも大丈夫なのかなぁ~って考えたりもしています。ならば、患者の体内に移植できるだけの腸を作ろうと思えば、筋層だけでなく、粘膜層や漿膜も形成できないといけないわけですから、腸の完全培養まではまだまだ多くの研究を積み重ねていかないといけないと言ったところでしょうか(う~ん、毎日新聞の記事だけでは情報が足らないなぁ)。

 ちなみに中島教授のお名前で、Pubmedを検索したところ、Biochemical and biophysical research communications20101月号に「Generation of functional gut-like organ from mouse induced pluripotent stem cells」という論文が掲載されているようです(※)。ご興味のある方はご参照ください。

 それから、Pubmedで読める、この論文のアブストラクトによると、今回、新たに作られた腸は“iGut”と名付けられたようです。先日、スタンフォードの研究グループが、マウスの尾の細胞から、iPS細胞を経ずに神経細胞を作った際、作られた細胞を、“iN細胞”と名付けていましたが、再生医療の研究で新たに作られた細胞、組織は「i●●」って名付けられるのが慣例になっているんでしょうか。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100310k0000e040041000c.html

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19895786?itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum&ordinalpos=5 (※)

 ではでは・・・。

2010年3月 4日 (木)

人身売買を防ぐべく、ハイチで行方不明の子供のDNAサンプルを収集

 このところ、目先の仕事の追われ、ブログの更新が滞ってしまい申し訳ありません。まだ、切羽詰まった状態が続いておりますので、今回の更新は手短に・・・。

 日本ではあまり報道される機会は少ないようですが、世界的にみると、人身売買(Human Trafficking)ってけっこう大きな問題になっています。

 2003年にユニセフが発表したプレスリリース(※)によると、人身売買によって犯罪組織が得る収益は120億円にも達するというのですから、日本にいて普通に実感できる以上に、人身売買の問題は根深いようです。

 最近でも、大地震後の混乱の中にあるハイチで、多くの子供たちが行方不明にあり、そのうちの相当数の子供たちが人身売買の対象になっているというんです(※※)。

 そこで、The Life Technologies FoundationLife Technologies Corporationが運営する非営利団体)が、PROKIDS(子供の人身売買撲滅に取り組む非営利団体)と共同で、ハイチの子供たちを狙った人身売買や不法な養子縁組を防ぐべく、行方不明になった子供の親のDNAサンプルを集めると発表したようです(※※※)。

 今回の取り組みは、親のDNAサンプルを集め始めたってことなので、行方不明になった子供のDNAサンプルも入手できれければ、照らし合わせることはできないのですが、こうした取り組みだけでも人身売買を行おうとする犯罪組織に対しては、一定の抑止効果をもたらすのかもしれませんね。

 こうした取り組みが一助となり、子供の人身売買が少しでも食い止められることを願うばかりです。

http://www.unicef.or.jp/library/pres_bn2003/pres_03_17.html (※)

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-13522220100126 (※※)

http://www.lifetechnologies.com/life-technologies-foundation-and-dna-prokids-team-prevent-child-trafficking-haiti.html (※※※)

 ではでは・・・。

2010年2月22日 (月)

朝日新聞の記事「狂牛病の原因はプリオンではない?」の意味がよくわからない

 BSE(狂牛病)はプリオンというタンパク質の構造が異常になっている場合に発症するというプリオン仮説が提唱されています。生物ではないタンパク質が感染するっていうことには疑問はあるものの、私自身、BSEをはじめとするプリオン病の原因がプリオンであるという、この仮説は妥当だと思っているんですが、朝日新聞に、この仮説に対する疑義を唱える記事が掲載されています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいんですが、率直に言ってよくわからないんです。記事は、Science(※)に掲載された「Generating a Prion with Bacterially Expressed Recombinant Prion Protein」という論文を紹介した、中国の科技日報の記事を和訳しただけのようなんですが、タイトルで「狂牛病の原因はプリオンではない?」と謳っているものの、記事中の文章に狂牛病の言葉は見つからないんですねぇ。

 この論文は、タイトルが示す通り、大腸菌にプリオンタンパク質の遺伝子を導入することにより、プリオンを発言させたってことを指し示しており、Scienceのアブストラクトにはプリオン仮説への言及もあるようですが、朝日の記事ではまったくわからないんですよ。

 せめて日本のプリオン研究者に取材して、この論文の意義をわかりやすく紹介してもらって、それを補足情報として加えるぐらいのことはやってもいいんですが、そういうことってできなかったんですかねぇ。

 タイトル的に興味深い研究成果なので、今回の研究成果をもって、プリオン病の原因がプリオンでない可能性が示されたのかわかるように記事にしてもらいたいものですよ。

http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY201002220197.html

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;science.1183748v1?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&title=prion&andorexacttitleabs=and&andorexactfulltext=and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT (※)

 ではでは・・・。

思春期の脳は外部の刺激を受けて劇的に変化するっていうお話

 思春期の頃って何事にも多感で、気持ちが揺れ動くわけですが、それは脳の構造にも大きく影響するってことが明らかになったという研究成果がNatureに掲載されるようです。

 といっても、今回の研究は人間相手じゃなくて、野鳥(ゼブラフィンチ)を対象にしたもので、思春期(juvenile sensitive period)の出来事が、シナプスの接続を劇的に変化させ、それを安定させるっていうんですよ。要は、思春期の頃って他の年代よりはずっと劇的に脳を変化させることができるので、いろんなことを身につけるのに向いているってことが言えるんでしょうね。

 思春期なんて、はるか昔に卒業しちゃっている身としては、この研究成果を自身の学習に活かせないのが、忸怩たる思いではありますが、気になるのは思春期の脳が劇的に変化できる分子メカニズムですよ。

 思春期の脳が外部刺激を受けて劇的に変えられる(「学習できる」と言い換えてもいいかな?)分子メカニズムが明らかになって、それを思春期以外の年代にも人為的に応用できれば、学習したことを身につけやすい脳を作ることだってできるんじゃないかなぁって・・・。そんな期待も抱いてしまうんですが・・・。

 ちなみに、この研究成果を紹介したAFPの記事(※)は、「脳卒中などの脳障害後にシナプスの可塑性を回復させる研究が進む可能性がある」との一文で文章を締めくくっており、医療行為への応用にも言及しています。

 といっても、私がより積極的に脳力を高める“スマートドラッグ”的な応用を期待しているのに対して、AFPの記者は、あくまでも脳卒中などの脳障害の治療に役立てられないか・・・っていう期待なので、ずいぶん期待の方向性が違うようですね。欲張りすぎかなぁ~。

http://www.nature.com/nature/journal/v463/n7283/abs/nature08759.html

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2697200/5351620(※)

 ではでは・・・。

2010年2月17日 (水)

神経細胞を生み出すスイッチの仕組みが解明されたようです

 先日、骨髄細胞にNotch遺伝子の一部を導入して、様々な神経に分化できる神経前駆細胞を作製し、これを脳梗塞患者の脳に移植するという新しい脳梗塞の治療法の話をしたけれど、そのNotch遺伝子について、興味深い研究成果を名古屋大学が発表しました。

 詳しくは以下のPDFファイルをご覧いただきたいのですが、神経細胞のもとである神経幹細胞(前述の神経前駆細胞よりもさらに未分化の細胞ってことですね)から、神経細胞が生み出される際に働くスイッチの仕組みを明らかにしたっていうんですよ。

 Notchによりシグナルは、以前から神経幹細胞から神経細胞が生み出されるスイッチの一つとして働いていると考えられていたものの、その仕組みの詳細は明らかになっていなかったんだそうです。ただ、リリースを読む限り、Notchのシグナルが活発になると、神経幹細胞を維持され、シグナルが抑えられると神経細胞が増えることわかっていたようです。

 そこで、名古屋大学高等研究院の伊藤素行特任准教授の研究グループは、Nemo like kinaseNLK)というリン酸化酵素に注目し、この酵素がNotchタンパク質をリン酸化することを新たに発見しました。

 Notchタンパク質は、NLKによりリン酸化されることで、その働きを発揮する際に重要な他のタンパク質との複合体系性能が抑えられるとのことでして、実際、ゼブラフィッシュを使った実験で、NLKの働きを抑えたところ、Notchタンパク質の働きが活発になり、神経幹細胞が増加したそうです。

 今回、明らかになったNotchシグナルを調節する仕組みは、ヒトでも共通に備わっていると考えられているようで、この成果を元に、神経幹細胞の増殖を人為的に促す薬を開発できるんじゃないかっていう期待も言及されているんですが、ここにちょっと疑問を感じてしまうんですよね。

 というのも、このNotchってタンパク質は、神経幹細胞が神経細胞に分化するのを抑える働きがあるんでしょう。ということは、NLKの働きを抑えることで神経幹細胞が増えたっていうのは、神経幹細胞の絶対数を増えたっていうわけじゃなく、本来、神経細胞に分化するところを抑えたことで、見掛け上、神経幹細胞が増えたように見えるだけのようにも理解できるんじゃないかなって・・・。この点が気になるなぁ。

 脳梗塞、外傷性障害、神経変性障害などの病気に対する応用が期待されると書かれているんだけど、例えば、脳梗塞の患者の場合、死んでしまった神経細胞に代わる神経細胞の新生が必要なわけだから、神経幹細胞を増やすための薬では、直接的な治療に結びつかないようにも感じてしまったんですよ。この疑問は、今回の研究成果を私がちゃんと理解できていないからなのかなぁ~。

 ちなみに、このリリースは、A4用紙1枚分にまとめられた文書でして、今回発見された調節機構を説明するイラストはありません。だから、私の理解が及ばなかったのかもしれないんだと思うけれど、リリースとして発表するなら、もうちょっとわかりやすくしてほしかなぁ。

http://www.nagoya-u.ac.jp/pdf/research/news/20100201_iar.pdf?20100201

 ではでは・・・。

2010年2月16日 (火)

再生医療ベンチャーのセルシードが株式上場するようですね

 再生医療ベンチャーのセルシードが3月に株式上場するようですね。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、セルシードは東京女子医科大学の岡野光夫教授が開発した細胞シート工学の技術を移転されたベンチャー企業で、岡野教授自身も取締役であり、主要株主に名を連ねているようです。

 岡野教授には、過去、2度ほどインタビュー取材を受けていただきましたし、セルシードにも8年ほど前(だったかな?)にも取材したことがあって、その頃から期待はしていましたが、ようやくここまできたってところですね。

 その細胞シード工学を活用して、最も研究が進んでいる「角膜再生上皮シート」についても、現在、フランスで治験中のようで、まだ実用化にはいたっていません。まぁ、薬じゃないので予期せぬ重篤な副作用があらわれて開発中止なんてことにはならないと思うけれど、虎の子の技術が実用化できるかどうかが、企業の行く末に大きく影響を及ぼすので、今後の研究開発の推移を見守りたいところです。

 とはいえ、日本証券新聞の記事によると、再生医療に用いる角膜再生上皮シートを実用化させる以前に、細胞培養用のシャーレがしっかりビジネスになっているようですね。

http://ow.ly/16CgA

 ではでは・・・。

2010年2月15日 (月)

母乳に含まれるmiRNAで乳児の免疫を制御している可能性が示されたらしいんだけど・・・

 日経BPのバイオテクノロジージャパンに、国立がんセンター研究所がん転移研究室の小坂展慶リサーチレジデントらの研究成果として、母乳中に免疫制御に関係するマイクロRNAmiRNA)が含まれていることが明らかになっていう記事がありました。

 母乳には分泌型免疫グロブリンAが含まれていて、乳児の免疫に関係していることは明らかになっているらしいんですが、母乳に含まれているmiRNAによっても免疫を制御している可能性が指摘されたんだって・・・。

 しかも、機能性RNAを母から子へ受け渡すことによって、個体間で遺伝情報の伝達が行われている可能性も示しているっていうんだけど、これ以上の詳しい購読してないと読めない。う~ん、気になるなぁ。

 「母乳」、「miRNA」、「免疫グロブリン」、「小坂展慶(リサーチレジデント)」をキーワードに検索しまくたってけど、行きつく先は、以下の日経の記事。「機能性RNAの受け渡しで、個体間で遺伝情報の伝達が行われている可能性」ってのに気になって仕方がないんだけどなぁ~。ぐっとそそられる一文なんだけど、疑問がいっぱい浮かんでしまうので、研究成果の細かいところを知りたいなぁ。

 無料で読める文面だけでは、どこかのジャーナルに発表されたっていうことは示されていないし・・・。できれば国立がんセンターにリリースを出してもらいたいんだけどなぁ。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2010021471290

 ではでは・・・。

2010年2月14日 (日)

昨日に続き、もう一件、脳梗塞の治療法のお話を・・・

 昨日、骨髄細胞から神経前駆細胞を作った脳梗塞の治療に活用するという報告大学の研究成果を紹介しましたが、その後もいろいろと情報を漁っていたら、似ている研究が札幌医科大学により進められ、すでに臨床応用されているようです。

 少し古い新聞記事なのですが、200816日の北海道新聞によると、札幌医科大学脳神経外科の宝金清博教授らの研究グループが、骨髄幹細胞を移植して脳梗塞を治す治療法の研究を進めていると報じています。

 骨髄幹細胞には、傷ついた脳の神経細胞に活力を与える物質や、血管を新たに生み出す物質を放出し、神経細胞が再生するのを助ける働きがあり、さらには時間がたつと幹細胞自身が神経細胞になることもあるとのこと(※この「物質」という表現は、北海道新聞の表現に倣ったので、ある種のサイトカインが出るってことをいっているのでしょう)。

 そこで、骨髄幹細胞の働きに注目した宝金教授らは、動物実験で、その効果を確かめた後、大学内の倫理委員会の承認を得て、20071月から、脳梗塞治療としての骨髄幹細胞移植を患者相手に実施。この新聞が発行された20081月までで12人の患者に実施し、中程度の脳梗塞患者に対しては、手が使えるようになったり、一人で歩けるようになるなどの高い効果が認められたというんですよ。

 ただし、組織が壊死した部分の神経細胞まで再生させることができないようで、梗塞が広範囲に広がっている場合は効果が低く、まったく治療効果が認められない患者もいたそうです。

 となると、昨日、紹介した骨髄細胞にNotch遺伝子の一部を導入して神経前駆細胞まで作って移植する東北大学の新治療法が、重症の脳梗塞患者にも有効かどうかが気になるところですね。

 宝金教授らの方法は、骨髄幹細胞を移植するといっても、神経細胞を新生させるというより、残った神経細胞によるネットワークの再構築を促すことが主眼となっているようにも見受けられますが、北大学の新治療法は神経細胞の新生を促そうと言うものとも理解できますから、こちらの治療法への期待は大きいですね。もちろん、その期待が現実のものとなるかどうかは、今年中に始められる予定だという臨床試験の結果次第なんですが・・・。

 それから、この北海道新聞の記事なんですが、残念ながら、現時点ではネット上で公開されていないようですから、ここで全文を公開することはいたしません。ご興味部ある方は縮刷版ででもご覧ください。

 また、この研究はJSTの支援を受けていたようで、以下のURLで閲覧できるPDFファイルで、治療法の概要が紹介されていますので、こちらも併せてご覧ください。

http://www.sapporo.jst-plaza.jp/list/071114honmou.pdf

 ではでは・・・。

2010年2月13日 (土)

骨髄細胞から作った神経前駆細胞で脳梗塞を治す新治療法

 脳の神経細胞に栄養や酸素を運ぶ動脈の血流が何らかの原因で滞ると、その先の神経組織は死ぬ脳梗塞になってしまいます。一度、神経組織が壊死すると、たとえ命を取り留めたとしても、重篤な後遺症が残ることがあるだけに、壊死した神経細胞をよみがえらせる再生医療の開発が待たれるところですが、その脳高速の新しい治療法が開発されるかもしれないっていうニュースを朝日新聞が報じていますので紹介しておきましょう。

 この新治療法の開発を進めているのは、東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野の出沢真理教授らの研究グループでして、骨髄の細胞に「ノッチ」と呼ばれる遺伝子の一部を導入し、様々なタイプの神経細胞に分化する能力をもった神経前駆細胞を作製することに成功したとのことです。しかも、脳の血流を止めて人為的に脳梗塞状態にしたネズミ(朝日新聞の記事ではネズミとなっていますが、マウスのことでしょうね? それともラット?)の脳に、この神経前駆細胞を移植し、運動機能をある程度、回復させられているとのこと。なかなかすごいですね。

 朝日新聞の記事では、導入されたノッチについての詳細は紹介されていないので、何とも言えないんですが、私の認識では、ノッチって細胞間の情報伝達に関わるタンパク質の遺伝子ですよね。その一部を導入して、骨髄細胞を神経前駆細胞にすることができたっていうんだけど、どういう研究により、こうした方法にたどりついたんでしょうね。気になります。取材したいなぁ。

 また、この記事では、この新しい治療法の実用化を目指して、アメリカのピッツバーグ大学と共同で臨床試験を実施するよう、FDAにその計画を申請していると伝えているんですが、う~ん、どうしてアメリカでの治験なんでしょうねぇ。日本では実施できないんでしょうか。気になります。

 新薬の開発でも、日本で臨床試験を実施する前に、アメリカや中国で実施して、その国の監督官庁に承認してもらってから、日本で治験を実施するという例はありますが、日本の厚労省に承認してもらうのは難しいと判断してのことなんでしょうかねぇ。

 今回の件で、アメリカで治験を行う背景にまで触れられていないので、その理由についてはなんともいえんのだけど、こうして日本発の研究成果が、まず海外で臨床応用されるっていうのには、やっぱり忸怩たる思いをもってしまいます(元々、ピッツバーグ大学との共同研究で、アメリカでの治験の実施が自然な流れだったのかもしれませんが・・・)。

 最近もドラッグ・ラグの問題を改善するため、迅速な承認を実現する仕組みの構築が求められているようですが、将来の臨床応用が期待される基礎医学の研究成果の臨床につなげる“橋渡し研究”への支援も期待したいものです。

http://www.asahi.com/science/update/0209/TKY201002090272.html

 ではでは・・・。

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