2016年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

カテゴリー「環境科学」の記事

2010年2月12日 (金)

今回も生態学のお話 フナの稚魚放流で水田の生物多様性が高まった

 先日、オオカミの再導入に関する報道をご紹介したら、普段よりも多くの方々にアクセスしていただけたようで、ありがたい限りです。研究分野としては、オオカミの再導入に関連するような生態学、野生動物学って、研究予算的にも憂き目を見ているところがあるのですが、世間的には耳目を集めるようですね。

 というわけで、今回も生態学のお話をば・・・。

 琵琶湖の固有種のニゴロブナの稚魚を水田に放流すると、そこに生息する動物プランクトンの種類が2倍に増えることを明らかにしたっていう、琵琶湖博物館による研究成果を中日新聞が伝えています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、ブラックバスなどの外来種が増加したことで、ニゴロブナが減少してるため、湖に比べ外来種が少ない水田を活用し、ニゴロブナを増やす活動を滋賀県が進めているのですが、人為的に稚魚を放流するとなれば、水田の生態系への影響も調べておく必要があります。

 そこで、琵琶湖博物館と茨城県中央農業総合研究センターが共同で稚魚の放流調査を実施しました。一つの水田に1600匹の稚魚を放流したところ、1カ月ほどで稚魚の餌となるミジンコがほぼ全滅。その代わりに、小さな動物プランクトンが、それまでの5種類から10種類前後にまで増えたというんですよ。

 この研究成果に対して、琵琶湖博物館の研究者は、「ミジンコの量は減ったが、結果的に生物の多様化は進んだ」と肯定的に受け止めています。まぁ、種類数が増えたってことは紛れもなく生物多様性が高まったわけで、肯定的に捉えることには異論はないんだけど、ミジンコが全滅してしまったっていうのはいいのかわるいのか、ちょっと判断しかねますね。たしかに種類数の面でいれば、水田の生物多様性は高まったとはいえ、稚魚を放流したことによる直接的な影響としてミジンコが全滅したとなれば、放流した個体数が多すぎたという評価でもできるんじゃないかなとも思うのですが・・・。

 前述のとおり、今回の調査では一つの水田に1600匹の稚魚を放流したわけだけど、もし、800匹だったらどうだったのか、400匹だったらどうだったのか・・・といった放流個体数を変えて評価していけば、ミジンコの捕食対象となっていた、より小さな動物プランクトンの種類数も増やしつつ、ミジンコも絶滅させない放流数を見出して、より多様性の高い水田を作ることができるようにも思うんだけど、どうでしょうか。

 今後の研究成果に期待しましょうか・・・・。

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100211/CK2010021102000015.html

 そうそう余談ですが、今回の研究成果についてもっと詳しく知りたいと思って、琵琶湖博物館のウェブサイトを覗いてみました。サイト内をさまよって、なんとか研究成果を発表するページに行きつきましたが(※)、博物館にとって研究活動も、展示室の運営、管理と並ぶ重要な活動なので、もっとわかりやすいところに紹介してもらえないかなって思ったのですが・・・。

http://www.lbm.go.jp/researcher/press/2009/100210.pdf (※)

 ではでは・・・。

2010年2月10日 (水)

オオカミ再導入を推奨する論文が発表されたようですが・・・

 今年は10月に名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開催されるのをご存知でしょうか。

 この条約自体、あまり知られていないから、今のところ新聞なんかの扱いも地味ですが、いちおう国際条約の締約国会議ですからね。1997年に京都で開催された気候変動枠組条約の第3回締約国会議(COP10 通称“京都会議”)ぐらいに盛り上がってくれてもいいんですが、今のところ私の仕事にはほとんど影響ないままです。

 生物多様性とか、生態系関連の原稿執筆の仕事がくるんじゃないかなぁ~って期待したいたんだけど・・・。と、愚痴ばかりいってもしかたがありません。CNN.co.jpに生物多様性というか、生態系に関わる話題が紹介されていたので、ここでも触れておきましょう。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいんですが、ここで紹介しているのはオオカミの再導入ですよ。日本でも東京農工大学の丸山直樹名誉教授がオオカミの再導入を提唱されていますが、この記事では生物多様化と生態系の維持にオオカミを再導入しましょうって言っているんですが、なんかちょっとひっかかるんですよね。

 といっても、オオカミの再導入自体に引っかかっているんじゃなくて、この記事の内容にですよ。

 全体的な記事の論調は、「食物連鎖の頂点であるオオカミがいないため、エルクやシカといった草食動物が増加する一方だと指摘」として、オオカミの再導入を好意的に紹介しているんです。細かいことを言えば、エルクもシカの一種だから、「エルクやシカといった・・・」という表現もおかしいんだけど、これはさておき、最も気になったのが、その後に紹介されている、1960年代に行われたアラスカでの再導入の評価ですよ(※エルク、シカ問題についてですが、英語版のサイト(※)でも、“elks and deer”ってなっていますから、日本語版の誤訳ではないようです)。

 記事では、1960年にアラスカ州コロネーション島で、シカの個体数を管理するためにオオカミを導入したことを例に挙げ、オオカミの個体数が増加し管理できなくなったと、この取り組み自体を否定的に紹介しているんです。だけどね、本来、生態系を維持するためのオオカミの再導入だったら、管理なんてしなくていいんじゃないのかなぁ。

 コロネーション島での再導入計画自体、あまり詳しくは知らないんだけど、島という限りは、他の地域から閉鎖された環境だってことなんでしょう。そこでシカが増加しすぎているっていうので、オオカミが導入すれば、最初こそ豊富なエサ(シカ)資源を背景にオオカミは増えていくわけですよね。でも、オオカミが増えて、捕食圧が高まれば、シカの個体数が減り、さらにはオオカミもエサ不足に陥っても、島という閉鎖環境であるために他の地域には行けないのだから、オオカミの個体数も減少しますよね。つまり、ほっておけばシカ、オオカミともに適正な数に落ち着くはずなんですよ(シカが増えて、オオカミが増えて、シカが減って、オオカミが減る・・・という経年変化は続くんでしょうが・・・)。

 だから、管理なんて必要はないはずなんだけど、どうもこの記事の前提は人間の管理が前提になっているんですよ。もちろん、再導入したオオカミが家畜を襲った場合の補償や、それをさせないための事前の対策(再導入地域と牧場を隔てる柵の設置など)は必要かもしれないけれど、再導入したオオカミが増えたら間引きしましょうっていう発想はいらないんじゃあいかなって・・・。

 まぁ、記事ではアメリカ国立公園局(National Park Serviceのことでしょうね)の職員が、バイオサイエンス誌に発表した論文を元にしているので、CNNの誤報というより、元々、この論文自体が個体数管理を徹底するという論調だったのかもしれないけれど、なんかひっかかっちゃうんですよねぇ。

 ちなみに閉鎖環境における捕食・被捕食の関係の研究では、アメリカのロイヤル島国立公園の研究事例が有名です。この件についてご興味の方は、以下の(※※)をぜひご覧ください。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN201002040023.html

http://www.cnn.com/2010/WORLD/americas/02/02/wolves.ecosystem.control.climate/index.html (※)

http://www.wolfmoose.mtu.edu/ (※※)

 ではでは・・・

2010年1月21日 (木)

地球温暖化の影響 「ヒマラヤ氷河の消失」は根拠なし?

 地球温暖化の予測に関連して、「●●年度に北極の氷がなくなる」とか、「●●年後の海面水位は▲▲メートル上昇する」などといった、わかりやすい影響で紹介されることがあるけれど、こういう予測ってなんか信用できなかったんですよね。

 地球全体での平均気温の推移については、ある程度、コンピュータ・シミュレーションによって予測できるんでしょう。それでも地球の気温に影響を与える個々の要因を、どの程度重要視するかによって得られる結果は変わってくるわけですから、コンピュータによるシミュレーションだといっても、研究者の思惑も排除しきれないんじゃないかなぁ~って疑問を感じていました。

 ですから、個別の地域にあらわれてくる影響となると、どこまで予測できるものなのか・・・、けっこう心もとないんじゃないですかね。

 例えば、先日、このブログでも紹介させてもらったけれど、地球温暖化が進んでいるにも関わらず、2008年の北米は寒冷化していたわけでしょう。これはラニーニャが影響したためで、地球温暖化とは矛盾しないと判断されているらしいけれど、だったら今後も全地球的には温暖化していても局所的に寒冷化する可能性は否定できないわけで、個別地域での予測なんて信用できるものではないって思っていました。

 かといって、そうした個別地域での予測が根拠のないものだとまでは考えていませんでした。しかし、現実はもっとひどいものだったようです。イギリスのサンデータイムズ紙が、「25年後にヒマラヤ氷河消失」は根拠がなかったと報じていると朝日新聞が紹介しています。

 毎度のことですが、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に紹介しておくと、IPCCの報告書に記載されたヒマラヤ氷河の消失に関する記述の元になった文献は、1999年にイギリスの科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載された、インドの科学者への電話インタビューを元に書かれた記事だったのですが、その科学者によるヒマラヤ氷河の消失するという発言は、憶測によるものだったと認めたんだということです。

 この事実だけをもって、「地球温暖化なんて嘘っぱちだ!」と上げ足をとるつもりはないけれど、そもそもIPCCの報告書ってどの程度の文献を引用しているのかってことが心配になってしまいますよね。

 これまでIPCCの報告書って、世界中の1000人以上の研究者が「学術雑誌」に掲載された論文やデータを元に作成したってことになっているわけですよね(以下の朝日新聞の記事でもそう紹介されている)。

 じゃ、ここでいう「学術雑誌」って何なのかっていうと、最低限、科学者の査読者がいて、科学者によって投稿された論文が掲載される雑誌だと思っていたわけです。でも、ニュー・サイエンティストって、基本的に投稿論文も掲載されてはいるんだろうけど、科学者による厳密な査読を受けた論文だけが掲載されるたぐいの雑誌じゃないでしょう。科学雑誌ではあっても、学術雑誌だとはいえないんじゃないかぁ。

 しかし、現実にIPCCの報告書の引用文献に、ニュー・サイエンティストのような雑誌も含まれていたわけですから、IPCCの報告書の信用性自体、危ぶまれても仕方がないと思いますよ(※ニュー・サイエンティストの記事がでたらめばかりと言うつもりはありませんが、科学者が公的な報告書を執筆するに当たって引用する文献としては不適切でしょう)。

 それに、前述のとおり、IPCCの報告書には1000人以上の科学者が加わっていたわけですよね。しかし、その科学者たちは、今回のような憶測を元に書かれた文献が混在していることを見抜けなかったわけですね。

 私自身、IPCCの報告書は、第3次、第4次ぐらいは、眺める程度に読んだことがありますし、リファレンスも一部をチェックしたことがあったけれど、「Journal of ●●」なんていう、学術文献らしい雑誌の名前が羅列されているので、それほど問題視することはありませんでした。でも、そこに「New Scientist」なんて雑誌名を見つければ、「大丈夫?」って感じると思うんですが、IPCCの報告書の執筆に加わった科学者たちは、そうは思わなかったでしょうね。う~ん、これってまずいんじゃないの?

http://www.asahi.com/science/update/0119/TKY201001190203.html

 ではでは・・・。

2010年1月14日 (木)

2008年に北米が寒冷化したのは、地球温暖化に矛盾しないそうです

 地球温暖化に懐疑的な見解を示す研究者の中には、特定の地域で気温が上昇していないことをもって、そもそも地球は温暖化していないんじゃないかと論じることがあるけれど、2008年の北米の気温も、温暖化とは逆行して、寒冷化していた例として論じられることがありますね。ところが、この北米の寒冷化について、地球温暖化とは矛盾しないという見解が発表されたとナショナル・ジオグラフィック・ニュースが報じています。

 けっこう長文の記事なので、詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、ごくごく簡単に要約すると、太平洋で発生したラニーニャにより、太平洋の水温が例年よりも長期間にわたって低下し、その影響で北米が寒冷化したとのこと。そのため、着実に地球は温暖化しているものの、ラニーニャによる寒冷化の影響が、北米に限っては温暖化を上回り、気温の低下としてあらわれたというんです。

 この結果はコンピュータ・シミュレーションによる研究によって示されたんだろうですけど、う~ん、どうなんだろうなぁ。

 私自身、過去、地球が温暖化しているぞっていう記事も、地球温暖化に懐疑的な話題も記事にしたことがあるので、いずれに研究者の言い分も、それなりには理解しているつもりだけど、実際に地球が温暖化していることを示す気温データと示されて、「ほら、こんなに温暖化しているでしょう」と言われる一方で、寒冷化しているデータについては、「この地域は、別の影響で温暖化を上回る寒冷化が起こってしまったんです。地球の温暖化傾向は変わらないんです」と言われても、ちょっと説得力がないなぁ~って思えてしまうんですが・・・。

 それが真実なんだったら、それ以上の説得力を求めるのはないものねだりなんだろうけど、地球温暖化が、気候学のワンマターにとどまらず、国民世論を動かし、国際政治に影響を与える話題になっている以上、一般への説得力を求められるっていうのはしかたがないのかもしれません。

 ちなみに、「2ちゃんねる」の科学ニュース板では、「もう何でもありだな・・言ったもん勝ち」、「地球気温が下がっても、温暖化! 温暖化! 温暖化!」、「何が本当で何が嘘なんだか分らなくなってきた・・・・」などの批判が噴出しておりますが、皆さん、どう思われます?

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=79339847&expand

 ではでは・・・。

2009年12月25日 (金)

ペットを飼うことは地球温暖化を促進する?

 地球温暖化の原因は、人間が石油や石炭などの化石燃料を燃やすことにより、大気中の二酸化炭素濃度を高めてしまったからというのが定説になっていますよね。そのために脱化石燃料を目指して、再生可能エネルギー(自然エネルギーと言い換えちゃってもいいですよね)への転換が図られているわけですが、まだまだ化石燃料への依存度は高いわけでして、我々が何らかの活動をすれば、地球温暖化を加速させているといっても過言ではありません。

 だからこそ、地球の温暖化を少しでも抑えるため、日常生活におけるいろんなことに注意しましょうって、環境省あたりが呼びかけているのは、皆さんもご存じの通りなんですが、以下のAFPの報道によると、ペットを飼うことも地球温暖化を推し進めることになるんだそうですよ。

 ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントン校で、持続可能な生活環境について研究しているというロバート・ベイル、ブレンダ・ベイル夫妻の研究によると、ペットとして中型犬を飼うことの、地球温暖化への寄与は、2台のSUV車を乗り回すことに相当するとのこと。

 で、どういう研究をしたのかっていうと、まず主要ブランドのペットフードを調べることにより、中型犬1匹が1年間に消費する餌の量を、約164kgの肉と95kgのシリアルだと推定。次ぐに、これだけの餌を生産するのに生じた環境への負荷を算出したところ、それは1年間の走行距離が1万kmに達するSUV車2台分に相当することが明らかになったってことのようです。

 我が家では中型犬が1匹を飼っているので、そのために消費されるエネルギーが、SUV車2台分に相当するというのには、実感としてちょっと納得できないんですが、まぁ、計算上、そうなってしまうっていうんだから、こちらには否定する材料はありません。でも、やっぱり、納得はいかんなぁ~。

 しかも、このベイル夫妻は、中型犬での環境負荷を推定するだけにとどまらず、ほかのペットについても推定していまして、ネコ1匹の環境負荷はフォルクスワーゲン・ゴルフ1台に相当。ハムスター2匹はプラズマテレビ1台の、金魚1匹は携帯電話2台の環境負荷と同じなんだってさ・・・。

 我が家の場合、前述の中型犬以外にも、金魚4匹とドジョウ15匹ぐらい(大小取り混ぜて)を飼っているので、ペット飼育によってもたらす環境負荷ってけっこう大きなものになってしまうようです。さっきも書きましたが、やっぱり実感はないんですが・・・。

 さらにさらに、このベイル夫妻の主張によると、ネコは野生生物を捕食するため、イギリス国内で飼われている770万匹のネコにより、年間1億8800万以上の野生生物は補殺されているとも指摘。犬についても、散歩する地域の生物多様性を撹乱し、排泄物は河川のバクテリア数を増やすため、安全な飲み水を得られにくくするっていうんです。いやぁ~、ここまで言われると、ペットを飼うことは本当に罪深きことなんだと思えてしまいますよ(とは思っていないけど・・・)。

 じゃ、そんなに環境に悪いペットたちをどうすればいいのかってことなんだけど、ベイル夫妻が勧めるのは「食料にする」なんだそうです。いやぁ~、なかなか過激ですねぇ。

 もちろん、その前段階として、市販のペットフードなんてものを与えずに、生ごみを餌として与えることにより、環境への負荷を減らすことも推奨しているんだけど、こんなことは限界があるし、イヌの散歩をやめるわけにはいかない以上、究極の選択として食べるしかないっていう話になっちゃっています。

 でもさぁ~、そんなこと言い出したら、ペットを飼う意味自体、なくなっちゃうんじゃないかなぁ。ペットを食べることに利点の例として、ベイル夫妻は、ニワトリを飼うことによって生じる環境への負荷は、ニワトリに卵を産ませることで相殺できるといっていう話を持ち出しているんですが、そもそもペットを飼う目的って、最終的に食べることを目的にしないからこそ、成立しうるものなんじゃないかって疑問も感じてしまいますよ。

 我が家のドジョウに関しては、個人的に唐揚げにしたら旨そうだなとも思うけれど、冗談半分で、「そろそろ揚げてみようか」って言ったら、子供から怒られちゃったもの・・・。ベイル夫妻のように割り切って、ペットを飼うことと、ペットを食することを両立することは難しいわけだから、究極的に環境負荷を抑えるっていうなら、ペットを飼うことも許されないってことになると理解したほうがいいかもいれないですね。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2677076/5071377

 ではでは・・・。

2009年12月24日 (木)

温暖化の影響でオーストラリアでは鳥類のサイズが小さくなってしまったっていうんだけど・・・

 地球温暖化が深刻化していけば、野生生物の生息に悪影響が及ぶという話はしばしば論じられてきましたが、オーストラリア国立大学の研究グループが発表した研究成果によると、地球温暖化の影響で野鳥が小型化しているんだそうですよ。

 詳しくは、以下の産経新聞をご覧いただきたいのですが、2000年までの約100年間に、同国の博物館に収蔵された鳥類8種類の標本約5000体を詳しく調べたところ、最近の野鳥は100年前に比べ、羽の長さが2~4%短くなっていたというんです。

 研究グループの解釈だと、恒温動物である鳥類は、体が小さいほうが熱を早く逃がすことができるため、同じ種でも温暖な地域に生息するもののほうが小型にになるとのこと。だから、今回の調査で野鳥の小型化が確認されたのは、温暖化の影響だとしているんです。実際、オーストラリアでは、過去100年間で0.7℃気温が上昇しているようですので、その影響を受けて、鳥類が小型化したっていうんだけど、本当にそうなのかなぁ~。

 同じ種であっても温暖な地域に生息する個体のほう小型化するというのは「ベルクマンの法則」のことを指していると思うんですが、一方で環境の温度に対する適応の法則としては、もう一つ、「アレンの法則」ってのがありまして、こちらは「寒冷な地域に生息するものほど、尾、耳、吻などの突起物が小さくなる」っていう法則なんですね。要は突起物を減らすことで、体の表面積を少なくして、熱の放散を防いで、寒冷な環境に適応しようとすることを示しているわけですが、鳥類にとって羽って胴体に対しては突起物なわけですよね。だったら、温暖化が進めば、羽は長くなってしかるべきだとも思うんだけど・・・。

 産経新聞の記事では、胴体のサイズに対する言及はないようなので何といえませんが、胴体に対して突起物とも見ることができる羽の長さが短くなったというだけで、温暖化の影響を受けたものと言えるのかどうか、ちょっとわからないんじゃないでしょうか。

 皆さん、どう思われます?

http://sankei.jp.msn.com/science/science/091215/scn0912151523002-n1.htm

 ではでは・・・。

2009年12月17日 (木)

COP15がもめてますね。この際、削減義務なんてやめちゃってもいいかも

 ここ数日、頻繁に報道されているので、皆さんもご存じかと思いますが、気候変動枠組条約(UNFCCC)の第15回締約国会議COP15がもめにもめてますね。

 何やら京都議定書の延長なんて話も論議されていますが、京都議定書を離脱したアメリカ、そして、新興国の中国、インドは排出削減義務を負わないままになっては、やはり異常な枠組みとしかいいようがないでしょう。

 どんなところに論議が落ち着くのか不透明なので、ここで何を書いてもあまり意味がないので、一言いわせていただければ、もう排出削減義務なんてやめちゃえば・・・って思うわけです。

 こんなことを書く背景には、京都議定書自体が、日本にとってかなり不平等な条約であることがあるんですが、オバマ政権になって環境政策を積極的に打ち出していると思いきや、今なおアメリカは削減義務を負うことは避けよう避けようとしているわけでしょ。それに、中国も、有人宇宙開発をするまでになっても、発展途上国でございって感じで、「削減義務は先進国だけに・・・」って姿勢ですからねぇ。

 2020年までに1990年比で25%を削減するという「鳩山イニシアチブ」にしても、主要国の同調を前提としているわけですから、COP15の現状を考えれば、あまり意味ある宣言にはならなさそうですね。

 だったら、この際、排出削減義務なんてものはやめて、自主的な排出削減に任せればいいんじゃないかって考えるのも、至極当然な帰結のようにも思えるんですよ。

 こんなことを書いてしまうと、環境意識の高い方から糾弾されそうですが、地球温暖化の問題を勘案しなくても、石油をはじめとする化石燃料の将来の枯渇を考えれば、確実に再生可能エネルギーに転換していかないといけないわけですよ。それができれば、結果的に地球温暖化対策になるわけですから、たとえ削減義務を全面的に撤廃したって、石油を使い放題ということにはならないでしょう(比較的、可採年数の長い石炭の利用は問題でしょうが・・・)。

 だから、結論がでないだったら(「アメリカ、中国が削減義務を負わないだったら」と言い換えてもいいですね)、日本も「やぁ~めた」でもいいんじゃないのかなぁ~って思うんだけど、現状認識が甘すぎますかねぇ。

 ではでは・・・。

 

2009年10月 6日 (火)

地球温暖化で栄養不足の子供が増えるっていうんだけど・・・

 地球温暖化の影響に関して、コンピュータを用いたシミュレーション結果がしばしば紹介されることがありますが、今度は国際食糧政策研究所が生産減と価格高で栄養不足の子供が増えるとの報告をまとめ、発表したようです。

 詳しくは以下の記事をご覧いただきたいのですが、簡単に紹介しておきますと、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの予測に基づき、2050年の地球の平均気温が2000年と比較して約1~2度上昇し、降水量が陸地の約2~10%で増えるとの想定の下、独自に開発したモデルを用いたコンピュータ・シミュレーションを行ったとのことです。

 シミュレーションの対象になったのは、32種類の穀物、畜産物に関する生産量や価格でして、穀物については高温障害などが発生し、途上国での生産量が、小麦で30%、コメで15%減るとの予測が得られたとおこと。さらに、人口増加に伴う需要増の影響もあって、食糧の価格は高騰。途上国を中心に栄養不足の子供が増えるとしているんですよ。

 ただね、ちょっと気になるのが、温暖化の影響のあらわれかたですよ。記事でも触れられているように高温障害が起こって、穀物生産量が減少することはありえるとは思うけれど、高温耐性の高い品種を選択することも可能なわけで、小麦、コメで予測されたような15~30%の生産量の減少って本当に起こるものなのかなぁ。

 そもそも、大気中の二酸化炭素濃度が増えるってことは植物の生育に好都合なわけでしょう。二酸化炭素の増加って施肥効果があるていわれちるぐらいだし・・・。それに、温暖化の影響で水不足が深刻化するっていうのならともかく、陸地での降水量は増えるっていう想定下でのシミュレーションで、15~30%も減収してしまうのか、大いに疑問を感じてしまいます。

 では、これまではどうだったのかというと、以下の(※)は、気候変動(この論文ではglobal climatic changesと表記されており、地球温暖化global warmingとは書かれていない)の影響で植物の生産量は増加したと報告しています。

 これは「Terrestrial Net Primary Production」の結果なので、農作物に限った話じゃないんだけど、1982年から1999年の間の地球温暖化では、植物の生産量は増加したのに、これからの数十年の地球温暖化では穀物の生産量は大きく落ち込むってのには、繰り返しになるけど、大いに疑問を感じてしまうわけです。

 詳しいシミュレーション結果については、新聞記事だけじゃなくて、ちゃんとレポート(※※)を読まないと論じられないだろうけど、う~ん、どうも読む気になれないなぁ。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091006dde041040029000c.html

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/300/5625/1560(※)

http://www.ifpri.org/pressrelease/new-report-climate-change-projects-25-million-more-malnourished-children-2050(※※)

 ではでは・・・。

2009年9月13日 (日)

藻類から炭化水素を簡単に回収する技術を開発

 地球温暖化の対策に関しては、CO2の排出量を減らすことばかりに注目が集まってますよね。まぁ、京都議定書があるからしかたがないんだろうけど、大気中のCO2を減らす技術の研究開発をもっと積極的に進めてもいいと思うんです。

 で、そんな研究成果を、少し前に日刊工業新聞が報じていましたので、このブログでも紹介したいと思います。

 石油や天然ガスの主成分は炭化水素なのですが、これを藻類から簡単に取り出す方法を、東京大学の横山伸也教授の研究グループが確立するのに成功したっていうんでしょ。

 炭化水素を取り出すのに利用されたのは、ボツリオコッカスという淡水性の藻類で、集めたボツリオコッカスを密閉容器に入れて、90℃で10分間加熱し、有機溶媒で処理すると、藻類が持つ炭化水素を98%回収できたとのこと。藻類を大量培養すれば、有機溶媒を入れる必要もなくなるようですが、その理由は示されていません。

 藻類は大気中のCO2を吸収して、これを材料に光合成を行い、炭化水素を作り出すわけですから、藻類から回収した炭化水素を化石燃料に代わる燃料として利用できれば、大気中のCO2の削減に貢献できるでしょうね。

 ただし、気になるのが藻類から炭化水素を回収するのに消費されるエネルギーです。

 いちおう記事では、簡単に回収でき、精製も不要とされているんですが、藻類を集め、90℃で10分間加熱することによって消費されるエネルギーについては触れられていません。燃料を作るのに、得られる燃料以上のエネルギーを使うようでは意味がありませんから、この点はちょっと気になります。

 そのあたりは研究者も十分わかって研究を進めているでしょうが、報じる新聞が、コストについてもしっかりフォローした記事を書いてもらいたいもんですよ。

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0620090819eaac.html

 ではでは・・・。

2009年8月20日 (木)

下水処理水に含まれる微量タミフルで耐性ウイルスになる?

 従来、ウイルスが薬剤耐性を獲得するのは、抗ウイルス剤を投与された患者の体内で生き残ったものが薬剤に対する耐性を獲得したからだと考えられてきたわけですよね。でも、そうした考えとはちょっと異なるメカニズムでウイルスが薬剤耐性を獲得するかもしれないという可能性を、京都大学の研究者が示唆しているとの話題を、読売新聞が報じています。

 詳しくは以下のサイトの記事をご覧いただきたいのですが、研究成果を発表したのは京都大学流域圏総合環境質研究センターの田中弘明教授と、博士課程3年のゴッシュ・ゴパールさんの研究グループは、インフルエンザの特効薬として使用されるタミフルが、服用した量の約80%がそのまま対外に排泄されていることに注目。下水処理水に含まれるタミフル濃度を測定したところ、最も高濃度であった時には下水処理水1リットル中に約300ナノグラムもあったことから、タミフルを含む下水処理水が河川に排出され、インフルエンザウイルスが感染した水禽がタミフルを含む水を飲みこむことにより、水禽の中でインフルエンザウイルスがタミフルに対する薬剤耐性を獲得するのではないかと指摘しているのです。

 実に興味深い指摘ではあるんだけど、こうした仕組みで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得し、それが流行株になるってことは本当にあり得るのかって疑問を感じてしまいました。

 というのも、環境中に放出されたタミフルに曝されることで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得する場となるのは水禽の体内なわけでしょう。だったら、そのウイルスも水禽に感染しやすいものなわけだから、それがすぐに人間に感染するってことはないわけですよね。

 水禽の体内でタミフル耐性を獲得したウイルスが、ブタに感染して、ブタの体内で人間に感染するウイルスとハイブリッドを起こして、人間に感染するウイルスがタミフル耐性を獲得する可能性は否定しきれないけれど、そのリスクってどれほどのものなんでしょうか。そんなふうに考えると、今回、提唱された仕組みで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得し、それが流行して社会がパニックになる確率はすごく低いように思うんですが・・・。だって、こんなことが起こるなら、人間の体内に感染しているウイルスがタミフル耐性になって脅威になるほうが確率的にずっと高いわけでしょう。

 それに、記事では、沈殿処理した下水を浄化する標準的な処理ではタミフルを40%以下しか除去できなかったものの、オゾン処理を行えば90%は処理できるとも紹介しています。だったら、オゾン処理を行えば、問題ではなくなるって考えてもいいのかもしれませんね。でも、河川水中の濃度が最大約200ナノグラム/リットルだとも紹介されていますが、けっこう高い数値ですね。この点はちょっと気になるのなぁ。

 ですから、タミフル耐性を獲得するかどうかはともかく、人工の化学物質が環境中に放出されることはいいことではないので、できればオゾン処理を導入してもらってタミフルを無害化処理(といっていいのかな?)してもらいたいものですよ。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090815-OYO1T00311.htm?from=main2

 ではでは・・・。