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カテゴリー「エネルギー」の記事

2009年8月31日 (月)

NEDOが食料と競合しないバイオ燃料の開発研究への支援を発表

 ここ最近、原油価格が落ち着いているせいか、石油に代わる代替燃料への社会的関心が薄れているようだけど、将来的には石油の枯渇は確実にやってくるわけで、再生可能な石油代替燃料の開発は進めとかなくちゃいかないわけですよね。ただし、現在のバイオエタノールは、食料と競合しちゃうわけでいろいろと問題がある。そこで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、食料と競合しないバイオ燃料を低コストで、効率よく製造できる技術の実用化研究を支援することを発表しました。

 詳しくは、以下のリリースをご覧いただきたいですが、北川鉄工所、三菱化学、住友林業、日東電工、三菱重工業の5社を選定し、今年度から3年間かけて6億円を投じるというんですよ。

 じゃ、どんな研究開発テーマになっているかというと、①稲わらなどの草本系バイオマス資源の輸送、貯蔵コストの低減を目指した乾燥技術、ペレット化装置の開発など(北川鉄工所、三菱化学、住友林業)、②膜技術を利用したバイオエタノール製造に関する要素技術の開発(日東電工)、③バイオ燃料合成のためのバイオマスガスの低コスト精製技術の開発(三菱重工業)となっています。以下のサイトから、さらに詳しい委託先一覧もダウンロードできますので、ご興味のある方は、ぜひチェックしてやってください。

 ただ、この研究開発テーマを見て、どれも重要なテーマだと感じつつも、なんか本質をずらしていないかなぁって思えるんですよ。

 結局、食料と競合しないバイオマス資源というと、木質系バイオマス、草本系バイオマスってことになるわけですよね。例えば、トウモロコシだって、実の部分ではなく、茎、葉、根(その筋では“コーン・ストーバ”と呼ぶそうですね)を原料に燃料にできればいいわけだし、材木を原料にできれば、間伐材の有効活用はもちろんのこと、建築廃材も燃料にできることになり、未利用資源の有効活用になる。

 ただし、木質系バイオマス、草本系バイオマスの主成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンでしょう。当然、セルロース、ヘミセルロース、リグニンをいかにして燃料として利用できるエタノールにするのかが、食料と競合しないバイオ燃料開発の本丸なんだと思うんだけど、今回、支援が決まった3テーマは、ちょっと違いますよね。

 貯蔵方法や集材技術の開発は重要だと思うけれど、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを燃料化できないことには、あんまり意味はないんじゃないでしょうか。そのままもやしねサーマル・リサイクルするっていうのも“あり”かもしれないけれど、それは、食料と競合するバイオ燃料に代わる存在を目指すものじゃなくなっちゃいますよね。

 それに、膜技術を利用したバイオエタノール製造に関する要素技術なんて、別に食料と競合する、現在のバイオエタノールにも使える話で、今回の助成枠の理念に必ずしも合致するものじゃないように思うんだけど・・・。

 とはいえ、セルロース、ヘミセルロースの燃料化は難しいのはわかっていますよ。研究室レベルでは可能であっても、採算性を考えると、なかなか実用ラインには乗ってこないわけだから、数年以内の実用化を目指すNEDOの助成枠では、そのあたりの研究を支援することは難しかったのかなぁ。ましてやリグニンなんて使い物にはならないって判断が働いているのかもしれませんね。

 というわけで、個人的には「食料と競合しない」と銘打つのであれば、リグニンはともかく、セルロース、ヘミセルロースを原料とした、低コスト、低エネルギーで採算性のあるバイオエタノールの製造法の開発に取り組んでもらいたいと思ってしまいました。

http://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/FF/nedopressplace.2009-06-08.5858382467/nedopress.2009-08-27.0692921450/

 ではでは・・・。

2009年8月 2日 (日)

東北大学 核兵器開発が疑われる機関出身の留学生を受け入れていた

 原子力工学は、平和利用されている限りはいいんですが、一度、悪意をもって利用されれば核兵器の開発につながるだけに、留学生の受け入れなどは慎重にならないといけないなってことを今一度、実感させられるニュースを読売新聞などが報じています。

 詳しくは以下の記事を参照いただきたいのですが、簡単に記事内容をご紹介しておきますと、核兵器開発への関与が疑われるとして経済産業省が作製した規制リストに載った研究所出身の留学生が、東北大学の原子力工学の研究室に留学していたことが明らかになったようです。

 問題の研究所は、イランのテヘランにある「ジャッベル・イブン・ヤハーン研究所」で、2004年にリストに載ったとのこと。ならば、原子力関連技術の研究開発をしている研究者には、このリストが周知されているはずなんですが、2006年7月に経産省は職員を東北大学に派遣し、説明したものの、留学生を受け入れた研究室の教授は、その説明会に欠席しており、昨年までリストの存在を知らず、留学生を受け入れてしまったようです。

 留学生が東北大学在籍時に学んだ内容は、核兵器開発につながるものではないとのことですが、やはり慎重にすべきことなんでしょう。ただし、こうしたリストに基づく、規制は誰がどのように実施するのかについては、しっかり体制作りをしないといけないんじゃないかなって思うんですが・・・。

 今回の一件の経緯について、新聞が報道している内容を見る限り、経産相も、リストは作るものの、留学生を受け入れるかどうかは、大学の判断に任せていたわけでしょう。そりゃ、原子力工学の研究者なら、イランなど、核兵器開発が疑われる国からの留学生の受け入れには慎重にならないといけないとは思いますが、これもあくまでも結果論でしかないわけで、規制をしっかりと運用しようとするなら、大学任せにしていた経産省にも歌詞があるってものなんじゃないかなぁ。

 だから、今回の一件を教訓に、規制をしっかり運用する体制をいかに作っていくか・・・。経産省、文科省、外務省が連携して、留学生を受け入れる審査体制を作ることが必要なんじゃないでしょうか。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090731-OYT1T00603.htm

 ではでは・・・。

 

2009年7月27日 (月)

三峡ダムって、再生可能エネルギープロジェクトだったのね

 最近では、地球温暖化対策のため少しでも二酸化炭素を排出しない発電システムは“エコ”だと認識されるのか、河川環境を破壊し、巨大なダムを建設する水力発電でも、エコフレンドリーな発電システムって考えられるようになってきているんでしょうか。

 朝日新聞が伝えるところによると、サイエンティフィック・アメリカン(その翻訳版が日経サイエンスですね)が、選んだ「世界10大再生可能エネルギープロジェクト」に、中国の三峡発電所が選ばれているんだそうです。

 三峡ダムが建設されていた頃、河川環境を破壊するといって問題になっていたんじゃなかったかなぁ。

 再生可能エネルギーなので、河川環境を破壊していないとは言っていないわけだけど、巨大なダム建設がエコフレンドリーなエネルギープロジェクトとして紹介されてしまうのには、釈然としないものを感じてしまうのですが・・・。

 というわけで、三峡ダムについて、今一度、再確認と思い、Newton2000年4月号を書棚から引っ張り出してきたんですが、ここでも周辺環境への懸念がいくつか紹介されています。

 三峡ダムが建設された長江流域には、ヨウスコウワニ、ヨウスコウチョウザメなど、絶滅の危機に瀕している野生動物種が数多くいるようで、Newtonの記事中でも「三峡ダムの建設により、各種の生物や生態系全体がどのような影響を受けるのか。三峡ダム建設後の監視・管理システムの確立が必要とされている」と紹介されている。

 その後、三峡ダム建設の影響がどうなっているのかの報道は、私は見たことがないんですが、建設時点からこうした懸念があった開発事業を、環境にいいものと認識するのには、どうなんでしょうか。三峡ダムの建設がどの程度影響したかはわかりませんが、ヨウスコウカワイルカの絶滅が発表されたのは、まだ記憶に新しいところですし・・・(※)。

 「水力発電は再生可能エネルギーだから、世界最大の水力発電所の三峡発電所を選びましょう」と、自動的に選ばれているのかもしれないけれど、なんか違和感を感じてしまうんですよ。

 それに、気になるのは朝日新聞の姿勢ですよ。まぁ、お隣の中国のビッグプロジェクトだから、読者の関心も高かろう・・・という判断が働いたのかもしれないけれど、選ばれた10大プロジェクトから、ことさら三峡発電所をフューチャーするんですかねぇ。

 三峡発電所のほかは、世界最大の風力発電施設(アメリカ、テキサス州)、世界最大の洋上風力発電施設(イギリス)、世界最大の波力発電所(フランス)などが選ばれているんだから、同列に扱えばいいのに・・・。

http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200907090246.html

http://www.afpbb.com/article/1171172 (※)

 ちなみに三峡発電所以外に、サイエンティフィック・アメリカンが選んだ10大再生可能エネルギープロジェクトは、以下のサイトでチェックできます。

http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=10-largest-renewable-energy-projects

 ではでは・・・。

2009年5月23日 (土)

マグネシウム・エネルギー社会は到来するか?

 地球温暖化問題や化石燃料の枯渇の問題などから、代替エネルギーの必要性はしばしば論じられている。現状では、太陽光発電や風力発電が、今後、エネルギー供給の主役になることが期待されているんだろうが、自然エネルギーに頼っている以上、不安定さを解消することは難しい以上、太陽光発電や風力発電が、現在の化石燃料や原子力に代わる主要エネルギー源になるというのは考えにくいだろう。

 個人的には燃料電池が普及するようになれば、太陽光発電、風力発電で生み出した電力で、水を分解して作った水素を備蓄しておき、安定供給できるのではないかとも考えているが、そのためには膨大な太陽電池や風力発電施設の導入が求められるわけで、これも問題は山積している。

 そこで、新たなエネルギーシステムとして注目に値する技術を、東京新聞が報じているので紹介したい。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に説明すると、マグネシウムをエネルギー貯蔵媒体に利用しようとするもので、マグネシウム(金属マグネシウム)を燃焼させることで取り出したエネルギーを利用し、燃やすことで酸化したマグネシウム(酸化マグネシウム)は回収して、太陽光励起レーザーで再び金属マグネシウムに再生することにより、自然エネルギーによる循環型のエネルギー供給システムを実現しようとしてのだ。

 記事では、次世代エネルギーとして期待される燃料電池との比較も紹介しており、取扱いに難がある水素を用いる燃料電池と比べ、金属マグネシウムは650℃以下では発火せず、長期保存も簡単にできるので、その扱いは水素と比べると格段に簡便だという。

 私自身、2年ほど前に、この研究を進めている東京工業大学の矢部孝教授を取材させていただいており、その際もマグネシウムを活用した次世代エネルギー技術の将来性を大いに感じたものだが、記事を読む限り、未だ実用化に向けての動きには発展していないようだ。

 こうしたエネルギー分野の技術は、技術そのものが確立されていても、実用化に向けた動きを進めないことには、絵に描いた餅でしかない。もちろん、学術研究としては価値のあるものなんだろうが、社会へのインパクトは皆無に等しい。

 実用化に向けた動きがない中、民間企業だけに実用化をゆだねていても、実用化はなかなか進むものではないだろう。何らかの行政のサポートにより、小規模でもいいかからまずは実証プラントを建設し、稼働させることで、次なるステップに進めるんじゃないだろうか。

 この記事でも、「百パーセントこれは実現する。すべて実験の裏付けがあり、何も失敗するところがない」との矢部教授のコメントを紹介しているし、私の取材でも同様のことを語っていた。

 ならば、今後はマグネシウムを活用した次世代エネルギーシステムを実用化させるための行政の働きかけにかかっているといっていいだろう。今後の行政の対応に期待したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2009051202000131.html

 ではでは・・・。

2009年4月 8日 (水)

日米で世界最大級のレーザー核融合施設が完成

 3月31日に、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所内に、世界最大のレーザー核融合施設「国立点火施設(National Ignition Facility=NIF)」(写真)が完成したことが、いくつかのメディアが報道している。

2008niflaserbay  レーザー核融合とは、レーザー光を一点に集中させて、水素(重水素)を核融合してヘリウムを作り出す技術をいう。太陽エネルギーも、この水素の核融合が源であるわけだから、NIFは太陽で起こっている核融合反応を、地上で起こそうとするための研究施設思ってもらえばわかりやすいのではないか。

 新しく完成したNIFは192本のレーザー光を集中させて、超高音を作り出し、水素を核融合させる。レーザー核融合施設は、日本の大阪大学のレーザーエネルギー学研究センターなどにあるが、NIFが最大と紹介されている。

 大阪大学レーザーエネルギー学研究センターも新しいレーザー装置“LFEX”を完成させたばかりで、3月13日付の朝日新聞では、「10ペタワット(1ペタは1000兆)の光を出す」という意味で世界最高だと紹介されている。

 どちらが世界最高かっていうような論議は、あまり建設的ではないので、細かいところはつっこまないが、既報道での研究の目的が、お国柄を表わしているので興味深い。

 大阪大学のLFEXは、朝日新聞の言葉を引用すれば、「低コストの核融合やブラックホール解明なのど研究に使う」のだそうだ。

 一方、NIFについて、時事通信の言葉を引用すると、「核融合炉の開発、恒星の研究」に加え、「水爆の性能確認に使う」そうだ。

 ローレンス・リバモア国立研究所といえば、1952年に核兵器を開発するために設立された研究所で、「水爆の父」と呼ばれたエドワード・テラーが所長を務めたこともあるだけに、核兵器の研究にも活用しようというのもわからないではないが、つい先日、オバマ大統領が核軍縮について言及したんだから、水爆の性能検証もないだろうに・・・。

 もちろん、オバマ大統領が核軍縮の宣言でもしたって、そう簡単にアメリカから核兵器がなくなるとは思えないが、ローレンス・リバモア国立研究所は国防総省の管轄ではなく、エネルギー省(DOE)の管轄にあるんだから、核融合炉の開発ってのを第一目的にして、核兵器の研究なんてやめときゃいいのに・・・。

 このあたりはやっぱりお国柄の違いってことなのかなぁ~。

NIFのことを紹介している報道

http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009040101000197.html

http://www.technobahn.com/news/200904031230

大阪大学のLFEXことを紹介している報道

http://www.asahi.com/science/update/0313/OSK200903130111.html

※上の写真は、以下のサイトより引用させていただきました。

http://www.sandia.gov/ASC/library/fullsize/predictive-science-nif-laser-bay.html

 ではでは・・・。

2009年4月 5日 (日)

ウイルスで作った電池をMITが開発

 今から10年ほど前、当時の通商産業省の工業技術院(※2001年にいくつかの研究所と統合され、現在は産業技術総合研究所)で、植物プランクトンのアオコを利用した生体電池(植物プランクトン電池)を取材させていただいたことがある。

 アオコが発する微弱な電流を回収することで、それを電池として利用しようという技術だったのだが、すぐにアオコの寿命が尽きてしまうことが、実用化の壁になっていると、取材に協力してくれた研究者は話されていた。

 その後、この植物プランクトン電池の続報は聞かないので、研究は頓挫してしまったのかもしれないが、他の研究機関で生物や、生物が持つ分子を活用した電池の開発は進められている。

 私が取材したものでは、ソニーが開発したバイオ電池は、生体そのものは利用しないが、ブドウ糖を代謝する酵素を活用し、電気を生み出すという仕組みになっている(※この記事は、日経エコロジーに書いたもので、現在、ネットで閲覧できます。以下のサイトをご参照ください)。

 http://eco.nikkeibp.co.jp/style/eco/report/080222_budoutou/

 こういったバイオ電池は、今後も開発が進められると思うが、ITメディアニュースや日経BP社のテクノロジー系ネットニュースのTech-on!が、ウイルスを使った電池(写真)のことを報じているので紹介したい。

Virus_battery  開発したのはマサチューセッツ工科大学(MIT)のアンジェラ・ベルチャー博士(Department of Materials Science and Engineeing)らの研究グループで、遺伝子組み換えることにより、細胞表面にリン酸鉄を付着されるとともに、カーボンナノチューブにも結合する性質をもったウイルスを作成。これを電極として利用することで、ウイルス電池を作ったという。ちなみに使われたウイルスは、人間には感染することのないバクテリオファージである。

 といっても、今回の成果は電極のうち陰極(カソード)をウイルスによって形作ることに成功したのであって、陽極(アノード)については、2006年にウイルスを活用したものを開発済み。調べてみると、MITのニュースサイトでも紹介されていた(※以下に、2006年のニュースに加え、2008年、2009年の関連ニュースのURLも紹介しておきますので、興味があれば、ご参照ください)

 というわけで、このウイルス電池は、先に紹介した工業技術院(当時)の植物プランクトン電池とは根本的に異なり、ウイルスが持つ生体電気を活用しようするものではなく、電極を構成する素材を接着する糊としてウイルスを使うという、ユニークな発想の下、開発されたもののようだ。

 記事によると、今のところ、リチウムイオン電池と比べると、このウイルス電池の寿命は短いようだが、今後の改良で、寿命の問題も解決でき、しかも、環境に負荷を与える有機溶剤を使わずに製造できる点もメリットがあるという。

 広い意味でバイオ電池と言えると思うが、電気の素に生態を活用するのではなく、素材として生体(ウイルス)を利用しようとするアイデアは興味深いで、今後の開発にも注目していきたい。

 IT Media news

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0904/03/news043.html

 日経BP社のTech on!

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090402/168288/

 以下、MITのニュースサイト

http://web.mit.edu/newsoffice/2006/virus-battery.html

http://web.mit.edu/newsoffice/2008/virus-battery-0820.html

http://web.mit.edu/newsoffice/2009/virus-battery-0402.html

※上の写真は、MITのニュースサイト(2009年のニュース)より引用させていただきました。

 ではでは・・・。

厄介者の外来水草でバイオエタノールを生産する?

 ここ数カ月、小麦の価格は落ち着いてきて、パンや麺類などの小麦製品の値下げが相次いでいるが、1年ほど前は小麦価格の高騰は世界的な問題になっていた。その背景には、原油価格の高騰と地球温暖化問題を受けての、バイオエタノールへの需要の高まりから、小麦からトウモロコシへの転作する農家が増加したことが関わっているため、どうもバイオエタノールに対するイメージは悪くなってしまったのではないだろうか。

 といっても、石油資源の枯渇の問題は、数十年後には確実に深刻化する以上、バイオエタノールの普及は、石油に代わる燃料の確保という意味では重要だ。

 もちろん、そのために食糧資源をバイオエタノール生産に回し、穀物需給のバランスが崩れ、飢餓が増大するようでは本末転倒だと言える。

 そこで、食糧需給に影響を与えないバイオマスを活用して燃料生産はできないものかと考えていた。例えば、すでに大成建設などが出資して設立された、バイオエタノール・ジャパン関西が、廃木材を原料としたバイオエタノール生産を事業化している。

 ただし、その効率は非常に悪いようで、ビジネスとして成立させるのはどこまでできるのか、ちょっと疑問を感じている。

 結局、木材を原料にバイオエタノールを生産するのは、木材に含まれるセルロース、ヘミセルロースを、酵母菌が利用できるグルコースに、安価で高効率に変換することが実現しないといけないわけだが、この点が難しいのだろう。

 だったら、木材以外に、食糧の需給に影響を与えない、未利用バイオマスを活用してバイオエタノール生産ができればいいわけだが、昨日の朝日新聞に興味深い記事が掲載されていたので紹介したい(朝日新聞の記事は以下をご参照ください)。

 この記事で、新たなバイオエタノールの原料として紹介されているのが、ウォーターレタスである(下写真)。

 あまり聞きなれない名前だと思うが、標準和名はボタンウキクサという、サトイモ科に属する浮草になる水草で、ウォーターレタスというのは英名だ。

Photo  日本には鑑賞用に持ち込まれた外来種なのだが、地域によっては湖沼の水面を覆い尽くし、水路を塞ぐといった問題を生じさせている。外来生物法でも「特定外来生物」にしていられており、琵琶湖などでは駆除の対象となっているという。

 ならば、このウォーターレタスを燃料の原料にしてやれってことで、滋賀県東北部工業技術センターと京都大学の研究グループにより、研究が進められ、このほど、バイオエタノールの原料にできるようになったようだ。

 朝日新聞の記事によると、ウォーターレタスには、トウモロコシなどの穀類にはない糖類が含まれているため、これがアルコール発酵を邪魔するという。研究グループは、遺伝子組み換えにより、ウォーターレタスに含まれる糖類を原料にアルコール発酵できる酵母を作り出し、エタノールを生産できるようになったようだ(ウォーターレタスに含まれる糖類が何なのかは触れられていない)。

 今後、商業ベースに乗せるために、3年後をめどに琵琶湖に実証プラントを建設するそうだが、ウォータープラントを原料とした場合のエタノール生産の効率が気になるところだ。この点について、記事は一切触れていないが、湖面に広がるウォータープラントを回収するのは、相当な労力になるであろうし、それをプラントに運ぶのにもけっこうエネルギーを消費しそうだ。

 実際、朝日新聞の記事でも、滋賀県は2007年度に、約7000万円を費やし、他の水草を含め、2800トンを除去したというが、ウォーターレタスを回収する費用が、この除去費用と同等と考えれば(湖面に浮かぶウォーターレタスを集める行為は同じだろう)、2800トンの水草から、7000万円分以上のエタノールを生産できなければ、絶対にビジネスにはならないわけだが、どうなんだろうなぁ。

 まぁ、エタノールを生産せずとも、公的資金を投入して、ウォーターレタスを除去しているんだから、採算性には目をつぶっても、事業化する意味はあるのかもしれない。

 今回の報道については、あくまでも研究室レベルでの研究成果を紹介しているのだろうから、事業性を云々するのは気が早すぎるのだろうが、こういう事業って、どうしても税金頼みになってしまうので、継続できるものなのかなぁ。

 まっ、今後の研究成果に期待いたしましょう。

http://www.asahi.com/national/update/0402/OSK200904020061.html

※記事中の写真は、以下のサイトから引用いたしました。

http://www.epcc.pref.osaka.jp/afr/fish/tenji/gairai/gairai/botan.html

 ではでは・・・。

2009年4月 3日 (金)

メタンハイドレートは使える資源になるのか?

 資源の乏しい日本にとって、国産のエネルギーを生産できるようになることは悲願と言えるが、その可能性を秘めているのがメタンハイドレートだ。

 メタンハイドレートとは、水分子の水素結合によってできた籠状の格子(ハイドレート構造)の中に、メタン分子が閉じ込められた固体結晶で、内部から可燃性のメタンが主が噴出することから、火を近づけると、激しく燃える。そのため、「燃える氷」と呼ばれることもある(写真)。Hydrate

 このメタンハイドレートが、日本近海には多く埋蔵されており、これまでに探査が進んでいる南海トラフのメタンハイドレート層だけでも、その埋蔵量は1兆1400億立法メートルもあるという。これを日本の天然ガスの年間消費量に換算すると13年分にも達するという。南海トラフ以外のメタンハイドレート層も含めると、その埋蔵量は年間消費量の数十年分にも相当すると見積もられている。

 そのため、メタンハイドレートの実用化に向けた研究開発が進められてきたが、このほど産業技術総合研究所(いか、産総研と略す)に「メタンハイドレート研究センター」が設立されたことになった(以下のリリースをご参照ください)。

 といっても、いきなり産総研がメタンハイドレートの研究開発を始めるようになったわけではない。これまでにも石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)や、エンジニアリング振興機構(ENAA)とともに、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21研究コンソーシアム)を設立し、資源開発のための研究を進めてきたが、さらに研究体制を強化するために、前述のセンターを設立することになったようだ。

 これまで産総研では、北海道センターが、メタンハイドレートの資源開発研究を担ってきたが、北海道を拠点としていては、他の研究機関との連携がスムースに進められないということもあるのか、今回の設立するセンターは茨城県つくば市に設置されることになった。

 まぁ、これでメタンハイドレートの資源開発を急ピッチで進めてもらい、速やかな実用化を期待したいところだが、埋蔵量そのものは多くとも、費用対効果に見合った資源かどうかっていうのはどこまで明らかになっているんだろうか?

 というのも、すでに我々が使っている天然ガスは、天然ガス層まで掘削すれば、自ら噴出してくれるので容易に採掘できるわけでが、メタンハイドレートの場合、ただく掘削しただけでは自噴しないため、独自の採掘技術が求められる。

 メタンハイドレートのハイドレート構造が維持されているのは、低温、高圧条件が必要なので、メタンハイドレート層の水を吸い出すことで圧力を下げてメタンガスを噴出させるか、温水を注入すりることにより、温度を上げてメタンガスを噴出させる方法がある。いずれにしても、採掘コストはかかるため、一定箇所に厚みをもったメタンハイドレート層があればいいが、数十cmから数m程度の厚さの層ばかりであれば、数多くの採掘ポイントで掘削をしなければならなくなり、どこまで効率的な採掘ができるかどうが疑問だという声も聞かれる。

 また、地下のメタンハイドレート層からメタンガスを採掘すれば、その地層は失われるため、斜面での採掘が行われると、大規模の地滑りが発生する恐れもあるという。

 地滑り自体、海底環境を大きく改変してしまうことが危惧されるが、もし、メタンガスの採取が進まぬ前に地すべりが起これば、残っているメタンガスが噴出し、大気中に放出されてしまうことも予想される。

 メタンガスは、二酸化炭素と比べ、20倍もの温室効果をもっているため、メタンハイドレート層の大規模な崩壊によって、メタンガスの大気中の濃度が高まるようなことがあれば、地球温暖化が急速に進んでしまうことも考えられる。

 こんなふうにネガティブなことを書き連ねると、メタンハイドレート開発に対して否定的な見解を持っているのではないかと思われるかもしれないが、先に書いたような懸案事項は、すべて織り込み済みで開発も進められるだろうから、基本的にメタンハイドレート開発は賛成だ。

 ただし、コストについては十分な情報開示が必要だと考えている。先にも書いたように、薄いメタンハイドレート層が広い範囲に広がっているようなら、採掘コストは高まってしまう。実用化の初期段階では、公的な予算により採掘ということになるだろうから、経済的に採算が合うものになるかどうかもきちんと情報公開すべきだろう。

 昨年までの原油価格が高騰した状態が続けば、採算性は目をつぶっても、「メタンハイドレートの実用化を急げ!」ってことになったかもしれないが、原油価格が落ち着いている現在、採算を無視してまで実用化を急ぐ必要はないのではないか。

 地球温暖化が深刻化して、人間が採掘せずとも勝手にメタンガスが噴出して、資源が失われるようになってしまえば元も子もないが、まずはじっくり採掘技術の開発を進め、将来の実用化に備えてもらいたいところだ。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090401/pr20090401.html

※本文中の写真は、以下のサイトより引用しました

http://www.giss.nasa.gov/research/features/methane/hydrate.jpg