2016年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

カテゴリー「大学発ベンチャー」の記事

2010年2月16日 (火)

再生医療ベンチャーのセルシードが株式上場するようですね

 再生医療ベンチャーのセルシードが3月に株式上場するようですね。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、セルシードは東京女子医科大学の岡野光夫教授が開発した細胞シート工学の技術を移転されたベンチャー企業で、岡野教授自身も取締役であり、主要株主に名を連ねているようです。

 岡野教授には、過去、2度ほどインタビュー取材を受けていただきましたし、セルシードにも8年ほど前(だったかな?)にも取材したことがあって、その頃から期待はしていましたが、ようやくここまできたってところですね。

 その細胞シード工学を活用して、最も研究が進んでいる「角膜再生上皮シート」についても、現在、フランスで治験中のようで、まだ実用化にはいたっていません。まぁ、薬じゃないので予期せぬ重篤な副作用があらわれて開発中止なんてことにはならないと思うけれど、虎の子の技術が実用化できるかどうかが、企業の行く末に大きく影響を及ぼすので、今後の研究開発の推移を見守りたいところです。

 とはいえ、日本証券新聞の記事によると、再生医療に用いる角膜再生上皮シートを実用化させる以前に、細胞培養用のシャーレがしっかりビジネスになっているようですね。

http://ow.ly/16CgA

 ではでは・・・。

2009年4月 8日 (水)

“クモの糸”の人工合成技術の開発に成功

 石油資源の枯渇が心配される中、燃料だけでなく、ポリエステルやナイロンなどの石油由来製品についても代替品の模索が行われている。そうした研究の一つとして注目したいのが、本日(4月8日)の河北新報に紹介されている、クモの糸の人工合成技術だ。

 クモの糸は、しなやかで高い強度をもった繊維として注目を集めている。3年ほど前には、奈良県立医科大学の大崎茂芳教授が、3か月かかって集めたコガネグモの糸を束ねてロープを作り、自らぶら下がるという実験(?)をやってみせたことは、マスコミ的にも話題になった。

 実験ならともかく、1本のロープのために3ヶ月間だけて集めて回るようでは、クモの糸を産業利用は不可能だ。そこで、慶応義塾大学先端生命科学研究所の大学院生、関山和秀さん(博士課程2年)と菅原潤一さん(修士課程2年)は、人工的に「クモの糸」を合成する技術を開発に取り組み、このほど成功したというのである。

 クモの糸の主成分である、フィブロインというタンパク質の合成法を開発したというわけだが、残念ながら、河北新報では、その合成法について詳しくは触れられていない。「培養したバクテリアにフィブロインと呼ばれるたんぱく質を合成させる」という一文から察するに、バクテリアにフィブロインの遺伝子を導入し、発現させることでフィブロインを合成させたのだろう。

 また、この記事で驚かされるのは、大学院生ながら、バイオベンチャーを設立した点にある。すでに関山さんと菅原さんは、この技術をビジネスシーズとして、バイオベンチャーの「スバイバー」を設立しているのだ。

 スパイバーのサイトを覗いてみると、単にフィブロインの遺伝子をバクテリアに導入して、合成させるだけでなく、バイオインフォマティクスを活用して、フィブロインのアミノ酸配列の最適化を図り、強度、伸縮性、耐熱性を高める、分子デザインもできるというようなことも書かれている。

 生物由来の製品となると、生分解性素材になるだろうから、耐久財への利用が難しいように思えるが、分子デザインによって天然フィブロインの改良を加え、耐久性を高められれば、さまざまな用途への応用が期待できるだろう。

 河北新報の記事も、「将来的には」と前置きはあるものの、「自動車や航空機、発電用風車の材料」といった耐久財への活用を目指していると紹介している。

 アメリカなどでは、大学の研究者が、自らの研究成果をビジネスシーズに、ベンチャー企業を興すことは決して珍しいことではないが、まだまだ保守的な日本の研究現場では、自らベンチャーを興す研究者は決して多くはない。ベンチャーを興す研究者に対して批判的な同業者も存在することも否めぬ事実である。

 そのため、10年ほど前に比べると、大学発ベンチャーも増えたとはいえ、そのすべてが研究者自らが設立した企業というわけではなく、外部の弁理士やベンチャー・キャピトルがの仕掛けで設立された企業も決して少なくはない。

 そういう意味で、大学院生でありながら、自身の研究成果をシーズにベンチャーを設立し、世に問うていこうという姿勢には大いに拍手を送りたい。

 河北新報の記事によると、2人の大学院生を指導したのは、生命科学研究所の冨田勝所長と紹介されているが、慶応義塾大学発のベンチャー企業となった「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ」の設立に参画した研究者だけに、研究面での指導に加え、新産業を興そうとするベンチャー・スピリットも受け継いでいるのかもしれない。

 いずれにしても、この新しい技術の実用化と、スパイバーのビジネスの成功に期待したい。

河北新報の記事

http://www.kahoku.co.jp/news/2009/04/20090408t52015.htm

スパイバー社のサイト

http://www.spiber.jp/jp/index.html

2009年4月 7日 (火)

岡山大学、前立腺がんの遺伝子治療を承認

 山陽新聞(以下のURL参照)の記事によると、岡山大学が前立腺がんに対する新しい遺伝子治療を承認したようです。

 この遺伝子治療は、「REIC」と呼ばれる遺伝子をがん細胞に導入して、がん細胞を殺す(アポトーシスさせる)というもの。REIC遺伝子は、もともと細胞の不死化の研究課程で見つかってきたこともので、がん細胞のように死ななくなった不死化細胞で、その発現が減少していることから、Reduced Expression in Mortalized Cellsの略称から、「REIC」と呼ばれるようになった。

 不死化細胞でREIC遺伝子の発現量(つまり、REICタンパク質の発現量)が減少しているということは、逆に不死化細胞にREIC遺伝子を導入して、共生的に発言させれば、不死化状態を壊す、つまり、細胞死(アポトーシス)させることができるのではないかと考えられる。

 そのため、2005年にはウイルスベクターを用いて、前立腺がん細胞にREIC遺伝子を導入し、共生発現したところ、目論見通りにアポトーシスさせることにできたという。

 この研究をす進めている岡山大学ナノバイオ標的医療イノベーション(ICONT)センターの公文裕己センター長は、このREIC遺伝子を用いた遺伝子治療を実用化させるための、バイオベンチャー「桃太郎源」の設立に参画しており、FDAとも臨床研究の実施に向けた折衝を進めているようだ。

 REIC遺伝子自体、岡山大学の研究によって発見されたもので(発見者は難波正義・岡山大学名誉教授)、この遺伝子治療は純国産技術と言える。それだけに、期待を持って今後の臨床研究の推移を見守りたいところだが、やはり気になるのは、遺伝子を導入させるのに用いるのはウイルスベクターだってことだ。

 アメリカのベイラー医科大学ベクターセンターにおいて、REIC遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター「Ad-REIC」の製造にも着手しているようで、今後、日本、アメリカで実施されるであろう、臨床研究も、このアデノウイルスベクターが用いられるんであろうが、ウイルスベクターの安全性は、どこかで論議されることになるだろう。

 ウイルスベクターを用いた遺伝子治療による副作用事故は、決して多くはないが(というか、遺伝子治療自体の実施例も多いわけではないけれど・・・)、現状では遺伝子導入と、共生発現はウイルスベクターに頼らないといけないとしても、将来的には高性能の非ウイルスベクターの開発を期待したい。今回、発表されたREIC遺伝子を用いた遺伝子治療のような有望な技術が知ると、さらに高性能の非ウイルスベクターの開発の必要性を感じるばかりだ。

※ネタ元にした山陽新聞の記事

http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2009/04/06/2009040622082644007.html

※バイオベンチャー「桃太郎源」のサイト

http://www.mt-gene.com/seeds/index.html

 REIC遺伝子を用いた遺伝子治療についての説明もあります。でも、この「桃太郎源」って企業名はどうなんだぁ? 岡山大学発のバイオベンチャーだけに、童話の「桃太郎」からきているんだろうけど・・・。

 ではでは・・・。