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カテゴリー「野生動物」の記事

2010年3月10日 (水)

『The Cove』のアカデミー受賞を受けて考えた

 一昨日のアカデミー賞を受賞した『The Cove』(※)への注目が高まっていますね。

 私は、いつだったか忘れてしまいましたが、TBSラジオの『キラ★キラ』で、映画評論家の町山智浩さんが紹介されているのを伺って以降、ネット上で予告編を見るぐらいでした。昨年の東京国際映画祭そうですが、このまま見る機会はないままになるのかなぁ~と思っていたら、アカデミー受賞だし、夏には日本で公開するっていうじゃないですか。機会があれば、どんなふうに描いているのかチェックしてみたいものです。

 だから、変な感じで上映ボイコットなんてことにならないほうがいいなぁって思っています。もちろん、この映画は日本の沿岸捕鯨(イルカ漁)を批判しているわけだから、日本人なら、いい気はしないのは間違いないけれど、上映ボイコットしたって、ただ論議を拒絶するだけですからね。上映してもらって、見た人がそれぞれに考えればいいんじゃないかなって・・・。ちょっと偉そうなことを言うようですが、本当にそう思います。できれば、映画で描かれる一方的な論調だけを鵜呑みにするだけじゃなく、いろんな情報も集めて、考える機会になればいいと思います。

 それから、昨日のアカデミー受賞以降の報道を見ていると、「盗撮した映画なんて・・・」って論調はあるけれど、告発系ドキュメンタリーだったら、ある程度は盗撮も致し方ないのかもしれない。というか、告発的な環境保護活動では、盗撮は活動の一環になっているんじゃないかなぁ。

 例えば、イギリスにEnvironmental Investigation AgencyEIA)(※※)という環境保護団体があるんですが、この団体はスタッフを環境破壊が行われている現場に潜入させ、隠し撮りして、得られた映像をメディアに提供して、問題を訴えていくという手法をとっています。以前、NHKEIAの活動を紹介した際は、こうした隠し撮りを活用した調査手法を“EIA Method”って呼んでいて、世界中の多くの環境保護団体が活用しているんだそうです(誤解がないように書いておきますと、太地のイルカ漁を環境破壊だなんて思っちゃいないですよ。正当な生業だと思います。このことは後でも書きますから・・・)。

 だから、『The Cove』の製作者(というか、出演していた活動家)も、当然のように取材を許可してもらえなければ、隠し撮りで・・・って考えたのでしょう。隠し撮りされること自体、決して気持ち良いことじゃないだろうけど、「盗撮によって作られた映画=悪い作品」とアピールするより、「絶滅の恐れのない野生生物なんだから、なぜ捕って食べてはいけないのか?」と正攻法で論じ合うほうがいいんじゃないかぁ~って・・・。そんなふうに思うけどなぁ。

 人間の手で個体数回復が難しい野生動物の場合、個体数を減らし、絶滅の危機に瀕しているなら、一定の捕獲規制が加えらなければならないだろうし、場合によっては全面禁漁も必要だと思います。でも、捕獲対象が絶滅の恐れがないというなら、相手が野生動物であっても、捕獲して何が悪いんでしょうか。それが生きるために必要なことなんだから・・・。

 だから、太地のイルカ漁は正当な生業であり、誰からも誹りを受けるようなことじゃないでしょう。

 今日は偉そうなことを書いてしまいましたが、昨日の受賞を受けて考えたことを思うままに綴ってみました。

http://thecove-2010.com/ (※)

http://eia-international.org/ (※※)

 ではでは・・・。

2010年2月19日 (金)

保護策としてスマトラトラのペット飼育の容認が検討されているんだけど・・・

 野生動物を保護していく上で、最も大きな課題としているのが生息地の保全といえるでしょう。

 野生動物を野生のままに保護するとなれば、健全な生息地を維持していくことが求められるわけですが、限られた土地を人間も利用するわけですから、十分な面積の生息地を確保することは決して簡単なことではありませんね。

 そこで、動物園での飼育個体を継代繁殖させることで種の絶滅を回避していこうという取組みも実施されているわけですが、動物の限られたスペースで遺伝的な多様性を維持できるだけの個体数を飼育し続けることもまた簡単なことではないわけです。

 1つの動物園で飼育できる個体だけで継代繁殖を続ければ、いつかは近親交配させてしまうため、動物園どうしで個体を貸し借りするブリーディング・ローンも行われていますが、決して十分とは言い切れないでしょうね。

 そうした課題への対策の一環なのか、インドネシアで、絶滅が心配されているスマトラトラの保護策としてペットとして飼育することを検討しているとCNNが伝えています。

 スマトラトラは、現在の野生の個体数が400頭程度と推定されており、絶滅の危機に瀕しているわけですが、森林の不法伐採やプランテーションの拡大で生息地を失って、非常に危うい状況にあるようです。そこで、10万ドルの補償金を払い、十分な広さの庭を確保できる人物に限って、スマトラトラをペットとして飼育すること容認するということなのですが、どうなんでしょうか。

 前述のとおり、動物園で飼育される個体で種の保存を図っていこうと言う取組みが行われ、「ズーストック計画」と言われているので、個人的には「ペットストック」による種の保存もあってもいいと思うんですよ。本気で・・・。でも、今回の記事ではペットとして飼育を容認する条件について、保証金と飼育スペースしか書かれていないのでちょっと気になるんですよね。

 ペットとして飼育される野生動物を種の保存に生かそうとする場合、計画的に繁殖の機会も与えていかないといけないといけないですよね。ただ「ペットとして飼育していいですよ」ということになれば、その個体の繁殖の機会を失わせることになるわけですから、種の保存のためとはいえなくなってしまいます。

 多頭飼いすればペットとして飼われている個体にも繁殖の機会を与えられるかもしれないけれど、そのためには厳密な血統管理も求められ、必要に応じて個体の貸し借り(ブリーディング・ローン)も必要となると思うんだけど、今回のペット容認に、そうした制度が組み込まれるのかどうか・・・。記事では伝えていないだけに気になりますねぇ。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN201002160035.html

 ではでは・・・。

2010年2月12日 (金)

今回も生態学のお話 フナの稚魚放流で水田の生物多様性が高まった

 先日、オオカミの再導入に関する報道をご紹介したら、普段よりも多くの方々にアクセスしていただけたようで、ありがたい限りです。研究分野としては、オオカミの再導入に関連するような生態学、野生動物学って、研究予算的にも憂き目を見ているところがあるのですが、世間的には耳目を集めるようですね。

 というわけで、今回も生態学のお話をば・・・。

 琵琶湖の固有種のニゴロブナの稚魚を水田に放流すると、そこに生息する動物プランクトンの種類が2倍に増えることを明らかにしたっていう、琵琶湖博物館による研究成果を中日新聞が伝えています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、ブラックバスなどの外来種が増加したことで、ニゴロブナが減少してるため、湖に比べ外来種が少ない水田を活用し、ニゴロブナを増やす活動を滋賀県が進めているのですが、人為的に稚魚を放流するとなれば、水田の生態系への影響も調べておく必要があります。

 そこで、琵琶湖博物館と茨城県中央農業総合研究センターが共同で稚魚の放流調査を実施しました。一つの水田に1600匹の稚魚を放流したところ、1カ月ほどで稚魚の餌となるミジンコがほぼ全滅。その代わりに、小さな動物プランクトンが、それまでの5種類から10種類前後にまで増えたというんですよ。

 この研究成果に対して、琵琶湖博物館の研究者は、「ミジンコの量は減ったが、結果的に生物の多様化は進んだ」と肯定的に受け止めています。まぁ、種類数が増えたってことは紛れもなく生物多様性が高まったわけで、肯定的に捉えることには異論はないんだけど、ミジンコが全滅してしまったっていうのはいいのかわるいのか、ちょっと判断しかねますね。たしかに種類数の面でいれば、水田の生物多様性は高まったとはいえ、稚魚を放流したことによる直接的な影響としてミジンコが全滅したとなれば、放流した個体数が多すぎたという評価でもできるんじゃないかなとも思うのですが・・・。

 前述のとおり、今回の調査では一つの水田に1600匹の稚魚を放流したわけだけど、もし、800匹だったらどうだったのか、400匹だったらどうだったのか・・・といった放流個体数を変えて評価していけば、ミジンコの捕食対象となっていた、より小さな動物プランクトンの種類数も増やしつつ、ミジンコも絶滅させない放流数を見出して、より多様性の高い水田を作ることができるようにも思うんだけど、どうでしょうか。

 今後の研究成果に期待しましょうか・・・・。

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100211/CK2010021102000015.html

 そうそう余談ですが、今回の研究成果についてもっと詳しく知りたいと思って、琵琶湖博物館のウェブサイトを覗いてみました。サイト内をさまよって、なんとか研究成果を発表するページに行きつきましたが(※)、博物館にとって研究活動も、展示室の運営、管理と並ぶ重要な活動なので、もっとわかりやすいところに紹介してもらえないかなって思ったのですが・・・。

http://www.lbm.go.jp/researcher/press/2009/100210.pdf (※)

 ではでは・・・。

2010年2月10日 (水)

オオカミ再導入を推奨する論文が発表されたようですが・・・

 今年は10月に名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開催されるのをご存知でしょうか。

 この条約自体、あまり知られていないから、今のところ新聞なんかの扱いも地味ですが、いちおう国際条約の締約国会議ですからね。1997年に京都で開催された気候変動枠組条約の第3回締約国会議(COP10 通称“京都会議”)ぐらいに盛り上がってくれてもいいんですが、今のところ私の仕事にはほとんど影響ないままです。

 生物多様性とか、生態系関連の原稿執筆の仕事がくるんじゃないかなぁ~って期待したいたんだけど・・・。と、愚痴ばかりいってもしかたがありません。CNN.co.jpに生物多様性というか、生態系に関わる話題が紹介されていたので、ここでも触れておきましょう。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいんですが、ここで紹介しているのはオオカミの再導入ですよ。日本でも東京農工大学の丸山直樹名誉教授がオオカミの再導入を提唱されていますが、この記事では生物多様化と生態系の維持にオオカミを再導入しましょうって言っているんですが、なんかちょっとひっかかるんですよね。

 といっても、オオカミの再導入自体に引っかかっているんじゃなくて、この記事の内容にですよ。

 全体的な記事の論調は、「食物連鎖の頂点であるオオカミがいないため、エルクやシカといった草食動物が増加する一方だと指摘」として、オオカミの再導入を好意的に紹介しているんです。細かいことを言えば、エルクもシカの一種だから、「エルクやシカといった・・・」という表現もおかしいんだけど、これはさておき、最も気になったのが、その後に紹介されている、1960年代に行われたアラスカでの再導入の評価ですよ(※エルク、シカ問題についてですが、英語版のサイト(※)でも、“elks and deer”ってなっていますから、日本語版の誤訳ではないようです)。

 記事では、1960年にアラスカ州コロネーション島で、シカの個体数を管理するためにオオカミを導入したことを例に挙げ、オオカミの個体数が増加し管理できなくなったと、この取り組み自体を否定的に紹介しているんです。だけどね、本来、生態系を維持するためのオオカミの再導入だったら、管理なんてしなくていいんじゃないのかなぁ。

 コロネーション島での再導入計画自体、あまり詳しくは知らないんだけど、島という限りは、他の地域から閉鎖された環境だってことなんでしょう。そこでシカが増加しすぎているっていうので、オオカミが導入すれば、最初こそ豊富なエサ(シカ)資源を背景にオオカミは増えていくわけですよね。でも、オオカミが増えて、捕食圧が高まれば、シカの個体数が減り、さらにはオオカミもエサ不足に陥っても、島という閉鎖環境であるために他の地域には行けないのだから、オオカミの個体数も減少しますよね。つまり、ほっておけばシカ、オオカミともに適正な数に落ち着くはずなんですよ(シカが増えて、オオカミが増えて、シカが減って、オオカミが減る・・・という経年変化は続くんでしょうが・・・)。

 だから、管理なんて必要はないはずなんだけど、どうもこの記事の前提は人間の管理が前提になっているんですよ。もちろん、再導入したオオカミが家畜を襲った場合の補償や、それをさせないための事前の対策(再導入地域と牧場を隔てる柵の設置など)は必要かもしれないけれど、再導入したオオカミが増えたら間引きしましょうっていう発想はいらないんじゃあいかなって・・・。

 まぁ、記事ではアメリカ国立公園局(National Park Serviceのことでしょうね)の職員が、バイオサイエンス誌に発表した論文を元にしているので、CNNの誤報というより、元々、この論文自体が個体数管理を徹底するという論調だったのかもしれないけれど、なんかひっかかっちゃうんですよねぇ。

 ちなみに閉鎖環境における捕食・被捕食の関係の研究では、アメリカのロイヤル島国立公園の研究事例が有名です。この件についてご興味の方は、以下の(※※)をぜひご覧ください。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN201002040023.html

http://www.cnn.com/2010/WORLD/americas/02/02/wolves.ecosystem.control.climate/index.html (※)

http://www.wolfmoose.mtu.edu/ (※※)

 ではでは・・・

2010年1月16日 (土)

象牙の違法取引が急増。押収量は過去2番目だったそうです

 絶滅の危機に瀕する野生動物の国際取引は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES 以下、通常「ワシントン条約」と表記します)で厳密に規制されているはずなんですが、今なお密輸は横行しているようで、近年、象牙の違法な取引が増加していると共同通信の47Newsが報道しています。

 詳しくは以下の記事をご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておきますと、野生生物の国際取引を関している環境NGOのトラフィックの調査によると、違法な象牙の取引は2004年以降、増加傾向にあり、特に2009年に急増。8月の時点で、押収された象牙の量は、1989年以降、2番目の多さで、トップに迫る勢いだったそうです。

 調査の報告書は、3月に開催され、象牙の国際取引について論議されることになっている、ワシントン条約の締約国会議に提出されるようですから、議論にも影響するでしょうね。

 でも、象牙の違法取引が増えているっていうのは、日本の責任も重大ですね。もちろん、世界中で象牙を輸入しているのは日本だけじゃないわけですが、大半は日本と中国が消費しているわけですから、日本も積極的に違法取引を撲滅する体制づくりを進めないことには、国際世論の反感を買うことになってしまうと思いますよ。

 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010701000149.html

 ではでは・・・。

2010年1月13日 (水)

子供の科学2010年2月号でアムールトラの記事を書きました

 現在、書店に並んでいる子供の科学(誠文堂新光社発行)20102月号で、絶滅の危機に瀕するアムールトラの記事を書いています。寅年最初の発行号ということでの記事ですので、機会がありましたら、ご一読いただければと思います。

 ではでは・・・。

2009年8月19日 (水)

海の外来生物 法規制ってどうやってやるの?

 陸上、淡水に定着してしまった外来生物については、外来生物法(正式名称は「特定外来生物による生態系等にかかわる被害防止に関する法律」)が施行されたことによって、販売、移動、飼育が禁じられています。これにより新たな生息域の拡大を抑える手立ては打たれたわけですが、海の外来生物については法規制は整っていないと、朝日新聞が紹介しています。

 海の外来生物については、これまで東邦大学の風呂田利夫さんが問題提起をされてきたので、イッカククモガニ、チチュウカイミドリガニ、アメリカフジツボ等の問題はしばしば耳にしてきました。ただし、「問題になっているんだなぁ~」ってぐらいにしか認識していなかったから、どれほどの種数の外来生物が侵入してきているのかわからなかったんですが、この朝日の記事では、100人を超える研究者が協力し、7年をかけてデータをまとめたところ、日本の沿岸海域に侵入した外来生物は76種にのぼり、このうち36種は完全に定着していると紹介しています。

 ブラックバスのように一種類が侵入しただけでも、侵入先の生態系が撹乱されてしまう可能性をもった生物がいる一方、侵入、定着の事実が確認されていても、外来生物法の指定種にならないような生物もいるので、76種類という数字を評価するのは難しいわけだけど、朝日新聞の記事を読む限り、データのとりまとめに加わった研究者は強い危機意識を持っているようですね。

 じゃ、外来生物法を海の生物にも拡大適用できるようにすればいいのかもしれないけれど、今回、問題視されている海の外来生物は、意図的に持ち込まれたものだけじゃないわけでしょう。

 養殖用に持ち込まれたもの(28種)、輸入されたものが逃げ出したもの(15種)については、外来生物法の指定種にして、人間の行為を規制すれば、新たな侵入は抑えられるのかもしれません。でも、船舶に付着したり、バラスト水に紛れ込んで侵入したもの(29種)に関しては、外来生物法によって人間の持ち込み行為を規制するだけでは対応できないんじゃないでしょうか。

 バラスト水については、未発効のままのようですが、バラスト水管理条約(International Convention for the control and management of Ships' Ballast Water and Sediments)があるので、これを発効させれば、ある程度、バラスト水によって運ばれる外来生物の侵入を抑えることも期待できのでしょう。ただ、以前、バラスト水問題については取材したことがあるんですが、技術的にはけっこう難しいそうですね。それに、船舶への付着ってことになると、規制しようがないんじゃないでしょうか。

 朝日新聞の記事では、「新しく入り込むのを防ぐ手立てが必要だ」との一文で締めくくられているのには、「ごもっとも!」としかいいようがないんだけど、具体的にどうすればいいのか・・・。どういう対策があるのか、具体的に提示してもらいたかったなぁ。

http://www.asahi.com/science/update/0812/TKY200908120140.html

http://www.asahi.com/science/update/0812/TKY200908120140_01.html

 ではでは・・・。

2009年8月15日 (土)

スズメバチを撃退するため、ミツバチは二酸化炭素を使っていた!

 ニホンミツバチはスズメバチに襲われると、集団でスズメバチを取り囲み、布団蒸しのようにして熱さで殺すことはよく知られていると思います。200匹から300匹ほどのニホンミツバチが、スズメバチを囲む「蜂球」をつくることで、内部の温度が44~46℃に達するため、スズメバチは蒸し殺されてしまうというわけです。

 ところが、ニホンミツバチは熱だけでなく、二酸化炭素も活用してスズメバチを殺していたということを、京都学園大学バイオ環境学の坂本文夫教授らの研究グループが明らかにしたと、京都新聞が伝えています。

 詳しくは以下のサイトの記事をご確認いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、まず坂本教授らは人工的な高温環境下でスズメバチが死ぬかどうかを調べたところ、蜂球の内部が46℃程度でも10分程度でスズメバチが死ぬのに対して、人工的な高温環境下でスズメバチを殺そうとすると48℃にまで熱くしなければらななかったというんです。

 わずか2℃の差でしかありませんが、坂本教授らは蜂球の中には熱以外にも何かスズメバチを殺す要因があると考えたようで、調べてみると蜂球内部の二酸化炭素濃度が、人間の呼気とほぼ同じ3%であありました。実際、二酸化炭素濃度を高めた環境なら、46℃でもスズメバチが死ぬことを確認したというんですよ。

 記事中の坂本教授のコメント指摘されていますが、スズメバチを殺す主要因は熱であることは間違いないんだけど、そこに二酸化炭素が加わることで、さらに殺しやすくなって、二酸化炭素濃度が高くない状況よりも低い温度でスズメバチを殺せるようになったんでしょう。

 ただ、こういう研究でいつも感心させられるのは、よく気づいたなぁ~ってことですよ。というか、そもそも最初に人工的な高温環境下でスズメバチを殺してみるっていう実験を行ったのには、どういうモチベーションがあったんでしょうね。最初から、熱以外に何の要因があって、ミツバチはスズメバチを殺しているに違いないっていう仮説があったんでしょうか。気になるところです。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009081300108&genre=G1&area=K00

 ではでは・・・。

2009年8月13日 (木)

不老不死のベニクラゲ 若返りに3度成功!

 皆さん、ベニクラゲというクラゲをご存じでしょうか?

 傘の直径は数mmほどの小さなクラゲなんですが、実は、このクラゲ、不老不死なんですよ。正確に言うと、「不老」ってのはちょっとおかしくて、老いる(というか成長する)んだけど、若返ることができるクラゲとして、クラゲ研究者、クラゲ愛好家の間ではけっこう有名なクラゲなんですよ。

 じゃ、どうやってベニクラゲは若返るかなんですが、これをご紹介する前に、クラゲの基本的な生活史を解説しておいたほうがいいですね。

 通常、クラゲは、受精卵から、プラヌラ、ポリプ、ストロビラと成長していき、親クラゲになります。図を見ればすぐにわかると思いますので、「クラゲ 生活史」をキーワードに、Googleで画像検索してください。きっといい解説図がヒットしてくると思いますよ。

 で、一般的なクラゲは、親クラゲになったところで、有性生殖して受精卵を作って、そこで死んでしまうのですが、ベニクラゲはポリプの状態に戻ることが知られているんです。だから「若返りする」、「不老不死する」と言われているのです。

 こうしたベニクラゲの若返りは、イタリア、レッチェ大学のボエロ博士によって世界で最初に報告されたのですが、日本では京都大学瀬戸臨海実験所(和歌山県白浜町)の久保田信准教授が、日本産のベニクラゲでも同様の若返りが起こることを報告しています。その久保田教授が、何度若返るのかを試すという実験を行ったという記事を、紀伊民報が報じています。

 詳しくは以下の記事を読んでいただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、5月に沖縄で採取したベニクラゲのうち、1個体がポリプに戻ったというので、それを和歌山の実験所に持ち帰って、飼育してみると、このポリプから成長したクラゲのうち、一部が再びポリプに戻ったんです。そても2回も・・・。つまり、沖縄での若返りと合わせて、合計3度もの若返り。すごいですねぇ~。

 記事では、「若返りの究明と応用の共同研究に活かしたい」との久保田准教授のコメントを紹介しています。だったら、若返りの分子メカニズムは明らかにされているのかなぁ。何度も若返りができるって聞くと、すぐに「テロメアはどうなっているんだ? テロメラーゼに伸長しているのか?」との疑問が頭に浮かんだんですが、気になるなぁ・・・。記事では、そのあたりまでは触れられていないんですが、分子メカニズムまで研究しているんでしょうねぇ。調べてみようかな。

http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=173353

 実験を行った久保田准教授のウェブサイトです。

http://www.benikurage.com/

 ではでは・・・。

2009年7月29日 (水)

鳥を餌にするスズメバチが発見されたっていうんだけど・・・

 スズメバチが狩りをすることは広く知られているわけだけど、ナショナルジオグラフィック・ニュースに「鳥をエサにするスズメバチ、ハワイで発見」とのタイトルの記事があったので、さっそく読んでみました。

 このタイトルから、当初、小さな野鳥を集団で襲って餌にしてしまうのか・・・って思ってしまったんですが、よくよく読んでみると、「より大きな鳥やトカゲなどは、殺すことはないが死体をエサにする」の一文が・・・。

 なぁ~んだ、鳥を狩りしているわけじゃないのか・・・。まぁ、当たり前ですね。

 でも、これだったらスカベンジャーとして鳥を餌にしているわけだから、そんなに驚くべきニュースじゃないですね。

 スズメバチの口器から、微量の餌を採取して、DNA解析を行った結果、何を食べていたのかが明らかになったという研究手法自体は興味深いんだけど、ハンティングをする昆虫の話題で、「●●が▲▲を餌にする」と表記してしまうと、「捕食」をイメージしてしまうだけに、ナショナルジオグラフィック・ニュースのタイトルってミスリードさせてしまうものなんじゃないかなぁ。まぁ、「ハンティングする」とは書いていないので間違いではないんですが・・・。

 ちなみに、英語版のタイトルを確認してみたら、“Alien-Wasp Swarms Devouring Birds, Bugs in Hawaii”となっておりました。直訳したら、「ハワイの移入スズメバチ、鳥や昆虫に貪り食うために群れる」ってところでしょうか。これだったらハンティングするというニュアンスはないように思うんですが、いかがでしょうか。

 というわけで、些細なことでいちゃもんをつけてしまいました。すみません。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=64003931&expand

http://news.nationalgeographic.com/news/2009/07/090723-wasps-nests-hawaii.html

 ではでは・・・。