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カテゴリー「医療」の記事

2009年12月26日 (土)

ビール大ビン1本以上飲み続けると、乳がんの発症リスクが1.75倍になるそうです

 ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、がんは遺伝子の異常によって発症する病気なわけですが、原因となる遺伝子の異常をもたらす要因は、私たちの身近にいろいろとあります。

 だから、「●●していると、▲▲がんの発症リスクが■倍になる」なんてことが紹介され、がんを予防するために身の回りの生活を改めることが推奨されるわけですが、以下の読売新聞の記事で、厚生労働省の研究班の調査により、ビールの大ビンを毎日1本以上飲んでいると、乳がんになるリスクが1.75倍になることが明らかになったようです。

 調査が行われたのは岩手、大阪、沖縄などの10地域で、40~69歳の女性5万人を13年間にわたって追跡調査。飲酒などの生活習慣と乳がん発症との関連性を調べたところ、摂取したアルコールをビールに換算して、週に大ビン7本(アルコール150g)以上の飲酒習慣がある人は、まったく飲まない人に比べ、乳がん発症のリスクが1.75倍高かったというんです。

 その理由は、アルコールの分解産物であるアセトアルデヒドが、乳がんの発症を促進することなんじゃないかと推測されているようです。

 でもね、今回の研究報告で、「だったらお酒を飲むのを控えましょ」っていう女性ってどれだけいるのかなぁ。もし、「お酒を飲むと乳がん発症のリスクが5倍になりますよ」と言われるんだったら、多くの女性が断酒を考えるとは思いますよ。実際、肺がんのことを気にして、タバコをやめる人がいるのも、そのリスクがけっこう大きいからですよね(ちなみに1日20本程度吸っていたら肺がんの発症リスクは約5倍だそうです)。

 でも、今回の発症リスクは、たかだか1.75倍。「たかだか・・・」って書いたのは、我ながら不躾なもの言いだと思いますが、私自身、好きな飲酒で何らかのがんになるリスクが1.75倍と言われても、「リスクが高まるといっても、その程度でしょ」って考えてしまうもの・・・。率直なところ「たかだか・・・」って考えてしまう程度の発症リスクの高まりでしかないですよ、1.75倍っていう数値は・・・。

 ただし、今回の原因は、アセトアルデヒドでしょう。となると、同じ飲酒であっても、体質によってアセトアルデヒドが残りやすい人は、それだけ乳がん発症リスクが高くなることが推測されますよね。

 ご存知の方も多いかと思いますが、摂取したアルコールは、アルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸に分解され、最終的に水と二酸化炭素にまで分解されて排泄されます。ということは、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人は、体内にアセトアルデヒドが高まりやすくなり、当然、がん発症のリスクも高くなるはず。毎日、ビール大ビン1本以上を飲んでいたとしたら、乳がんの発症リスクは1.75倍でおさまらないでしょう。

 一般論として1.75倍という数字を示しても、飲酒を控えることを訴える説得力のあるデータにはならないけれど、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きの違いにまで踏み込んで調べて、そのリスクの高まりを示すことができれば、がんの予防を目的とした生活改善の指針を示せることになると思うんです。

 とはいえ、私の提案を有効なものにするには、誰もが容易に自分の遺伝子を調べて、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きを知ることができるようにならないといけないわけだから、現時点では、私の提案はないものねだりであることは間違いありません。

 ただ、今回のニュースに触れて、がんの予防を目的とした生活改善指導も、“個別化”が進まないことになは、その有効性は高まらないんだろうなって思ってしまった次第でして・・・。

 「普通の女性なら乳がんの発症リスクは1.75倍ですが、あなたのアセトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子を調べたところ、その働きが弱いことがわかりましたので、現在の飲酒習慣を続けると、乳がんの発症リスクは5倍ですよ」って医者から言われたら、誰もが生活を改めるんじゃないかなぁ。どうです?

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091225-OYT1T00498.htm

 ではでは・・・。

2009年11月 3日 (火)

インフルエンザのワクチンが不足して、今、思うこと

 新型インフルエンザの感染が拡大する中、ワクチンが不足していることに関して、政府への批判が高まっているようですね。

 4月に今回の新型インフルエンザが発覚してなお、従来通りの鶏卵培養によるワクチン製造に頼ってきたことに対して批判が沸き起こっているわけですが、急遽、細胞培養によるワクチン製造を取り入れたとしても、新たに臨床試験を実施しなければならないわけで、今年度の流行期に間に合ったかどうかは疑わしいんじゃないですかね。

 とはいえ、鶏卵培養に比べ、細胞培養は早期に大量のワクチンの製造が期待できることは以前からわかっていたわけですし、今回の新型インフルエンザが発生する以前から、H5N1高病原性鳥インフルエンザによるパンデミックが起こるのではないかと指摘されていたわけですから、「もっと早いうちから準備しておけよ」という批判が噴出するのも致し方ないのかもしれません。

 ですから、以下の産経新聞の記事のように、細胞培養への期待が高まっているといった報道もけっこうなされるようになっていますね。

 この記事では、イヌの腎臓細胞(MDK)を使った細胞培養によるワクチン製造を紹介しているんですが、一方で技術のオリジンはアメリカのバイオベンチャーによるものなのですが、ヨトウガという蛾の細胞を用いて培養する方法の技術導出を受けた日本の企業が、現在、臨床試験を進めてるようです(以下の※をご参照ください)。

 また、今回の新型インフルエンザの発覚前の4月初めに厚生労働省が、日本独自の細胞培養によるワクチン製造技術の開発するための、1500億円規模の基金を作ることを目指し、平成21年度補正予算に予算請求するという話もありました。でも、これについては続報がぜんぜん聞かれませんねぇ。どうなったんでしょうか(詳しくは※※をご参照ください。そんな詳しい記事じゃないんですが・・・)。

 というわけで、ワクチンの原料となるウイルスの培養法については、鶏卵培養だけでなく、細胞培養の実施も検討されているようですから、今後に期待したいとこおです。ただ、もう一つ、今回の新型インフルエンザ騒動を機に議論しておいたほうがいいんじゃないかって思うのが、全粒子タイプのワクチンですよ。

 ご存知の方も多いと思いますが、現在、日本で使われているインフルエンザワクチンは、培養したウイルスを破壊して、そこから一部の分子だけを精製したスプリットタイプですよね。これだけ免疫原性は低いと言われていますから、接種を受けた人に十分な免疫をつけさせるためには、それなりの量のワクチンを接種しなければならなくなります。

 その点、全粒子タイプだと、ウイルスを不活性化しているとはいえ、ウイルスに含まれる分子すべてをワクチンにしているので、スプリットタイプに比べ、高い免疫原性を有していうといえます。当然、少ない量のワクチン接種で十分な免疫をつけさせることが期待できますね。現在、ワクチンが不足して問題になっているわけですから、鶏卵で培養されたウイルスの一部を、全粒子タイプのワクチンんすれば、不足分を少しでも補えたんじゃないかって思うのは私だけでしょうか・・・。

 もちろん、全粒子タイプの場合、スプリットタイプに比べ、副反応が出やすいと言われているわけですから、簡単に導入できない事情もあるんでしょう。でも、北海道大学の喜田宏教授のように、最新の精製技術を用いれば、全粒子タイプのワクチンでも副反応を抑えられるとの指摘をしている研究者もいるわけですから、今回のようにワクチンの不足があらかじめ想定される事態においては、全粒子タイプのワクチン生産も視野に入れた論議があっても良かったんじゃないかと思うんですよ。

 まぁ、病気の予防のためのワクチンによる副反応は絶対に避けなければならないと思うあまり、全粒子タイプの論議さえはばかられたのかもしれませんが、H5N1高病原性鳥インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンが全粒子たいぷのものだったわけですから全粒子ワクチンを選択肢から完全に排除してしまう必要もないでしょう。

 というわけで、ここ最近のワクチン不足の混乱を受けて、こんなことを考えてみました。

http://sankei.jp.msn.com/science/science/091102/scn0911020805000-n1.htm

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw08060101.htm(※)

http://www.umnpharma.com/pipeline/2009/03/umn-0501.html(※)

http://www.asahi.com/health/pandemicflu/TKY200904030179.html(※※)

  ではでは・・・。

2009年10月 8日 (木)

タミフル耐性の新型ウイルス ヒト-ヒト感染の可能性が示唆される

 気温が低く、空気が乾燥した冬場に流行するインフルエンザですが、新型インフルエンザの場合、誰も免疫を持っていないために8月から流行し始め、国立感染症研究所の推定では、9月14日から20日までの1週間だけで、27万人が感染したとされています。

 こうなってくると、インフルエンザの治療のために相当量の抗ウイルス薬のタミフルが処方されることになると思うのですが、そこで心配になってくるのが、タミフル耐性ウイルスの出現です。

 これまでにもタミフル耐性ウイルスは、デンマーク、大阪、山口で出現したと報告されてるわけですが、これまでは特定の患者から採取されたウイルスがタミフル耐性を獲得していたとうだけで、耐性ウイルスがヒトからヒトへと感染して流行株になってはいなかったわけです。

 ところが、以下の産経新聞の記事によると、札幌市内の医療機関を受診した10代の女性の体から採取されたウイルスがタミフル耐性を獲得しており、しかも、この女性がタミフルではなく、違う抗ウイルス薬のリレンザを処方されていたというのですよ。つまり、他の人の体内でタミフル耐性を獲得したウイルスが、この女性に感染したと考えられるわけで、心配されるタミフル耐性ウイルスのヒト-ヒト感染の可能性が示唆されたわけです。

 リレンザとタミフルを比較すると、錠剤で服用しやすいタミフルに対して、リレンザは粉末の吸入薬なので、子供さんなどは服用しにくいという難点があるため、タミフル耐性を獲得した新型インフルエンザウイルスが流行するようになると、医療現場での混乱が予想されます。

 ただし、気になるのが、タミフル耐性を獲得したとされるウイルスが、どの程度タミフルに効かなくなったってことですよ。

 産経新聞の記事では触れられていないんですが、今回、検出されたウイルスのタミフル耐性という特徴は、あくまでもタミフル耐性の特徴を示す遺伝子変異が確認されたということでしょう。実際にどの程度タミフルが効かなくなったのかってことを調べたものではないんじゃないでしょうか。

 過去、インフルエンザに関してインタビューさせてただいた、ある研究者は、「タミフル耐性というのは、タミフル耐性を示す遺伝子変異が確認されているだけで、実際はまったく効かないわけではないという声も聞かれる」と話しておられました。ということは、今回のようにタミフル耐性ウイルスが出現したといっても、いきなり医療現場で治療の手立てがまったくなくなってしまうってわけじゃないと思うんですよ。

 もちろん、厚生労働省をはじめ、医療行政当局には、こうした事案の情報を広く集め、適切な対策を講じることを期待しますが、今回の報道をもって、「もうタミフルは使えないのか!」なんて深刻にとらえ過ぎないほうがいいと思うんだけど・・・。注目すべきニュースであることは間違いないんですけどね。

http://sankei.jp.msn.com/life/body/091008/bdy0910080054000-n1.htm

 ではでは・・・。

2009年9月17日 (木)

新型インフルエンザ用の輸入ワクチン、国内で治験始まる

 新型インフルエンザのワクチンについては、国内メーカーによる製造分だけでは不足するため、海外のメーカーが製造したものを輸入しようとしていることは、すでに多くの報道によって皆さんもご存じかと思いますが、その輸入ワクチンの国内での臨床試験が始まったと複数の新聞が報じています。

 以下に、私が確認した記事が読めるウェブサイトのアドレスを列記しますが、内容はほとんど同じです。スイスの製薬大手のノバルティスが、健康な成人ボランティアを対象に治験を実施し、今後、体内で抗体が作られるかどうかを調べて、ワクチンの有効性と安全性を確かめていくことになると報じているわけですが、一般市民にとって気になるのが、国産ワクチンとの違いですよ。でも、これがほとんど紹介されていないんですよねぇ。

 先週、国立感染症研究所で実施された記者レクでは、あくまでも輸入ワクチンの“候補”の一つとして紹介されたものが、ウイルスの培養法や免疫補助剤(アジュバント)の添加の有無などの違いが紹介されていました。この記者レクにも多くのメディアが参加しておったのですが、このことに触れているのは、私が読んだ記事の中では、共同通信の記事(※)ぐらいです。

 まぁ、ウイルスの培養にイヌの腎臓の細胞(MDCK)を使っていることや、アジュバントを加えていることなどを、一般の方々に紹介しても、安全性、有効性の面で国産ワクチンとどう違うのかは理解できないんじゃないかっていう判断が働いたのかもしれないけれど、国産ワクチンと輸入ワクチンの違いが取りざたされている以上、最低限の情報として共同通信の記事ぐらいの話題の提供はあってしかるべきだったんじゃないかなぁ。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090917ddm012040045000c.html

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090916AT1D1607816092009.html

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090916-OYT1T01093.htm

http://www.asahi.com/national/update/0916/TKY200909160404.html

http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091601000686.html(※)

 ではでは・・・

2009年9月 8日 (火)

人間ドックで「健康」と診断されたのは1割未満!

 フリーランスのライターの立場だと、宮仕えの皆さんのように、定期的に健康診断を受ける機会を勤め先が用意してくれるわけではないので、自らの意志で健康診断や人間ドックを受けないといけません。年齢的には、“がん年齢”とされる年齢に突入しましたし、若い頃に比べて無理が利かなくなっているのを自覚しているので、たまに人間ドックの案内を見かけると、「ちゃんと人間ドックを受けないと・・・」と気になりつつも、日々の忙しさにかまけれいるんですが、人間ドックに関連してちょっと気になるニュースを毎日新聞が報じています。

 詳しくは以下のサイトをご覧いただきたいのですが、簡単に記事内容をご紹介しておきますと、2008年の人間ドック受診者のうち、健康だと診断された人は1割未満だったことが、人間ドック学会の調査で明らかになったというんですよ。

 この結果に対して、人間ドック学会は、高コレステロール、肝機能異常、肥満などの生活習慣と関連の深い項目での悪化が顕著であることから、生活環境の悪化が影響している一方、健康度の低い60代以上の受信者が増えていることも関わっていると指摘しています。

 ただ、ちょっと気になるのは、人間ドックの受信者って、何らかの症状があらわれて診断を受けようとした人じゃないわけですよね。それで健康な人が1割未満っていうのは、ちょっといきすぎなんじゃないかって思うんですよ。

 人間ドックで得られた数値が異常かどうかっていうのは、あくまでも便宜的に決められたものなわけでしょう。それで、不健康な人が9割以上っていう状況は、ちょっと行き過ぎのような気もしてしまいます。もちろん、中には症状があらわれる以前の初期の病変が見つかっている人もいるんでしょうが・・・。

 結局、人間ドックの機能って、自分が健康かどうかを確かめ、日々の生活を見直す機会にするっていうことだと思うので、「あなたは健康です」と言われるより、「ちょっとまずい数値ですね。日々の生活を見直してください」と言われたほうが、人間ドックの機能を果たせるんでしょうね。この点では、今回の調査結果は、人間ドックの機能がうまく果たされているともいえるのかもしれないけれど、人間ドック受診者の9割以上が不健康だってことを額面通りに受け取っていいものかどうか・・・。日本ってそんなに不健康な国なのかなぁ。

 それとも、「あなたは健康です」と診断された人が、時間を経ずに死んでしまった場合でも、「人間ドックで健康と診断されたのは誤診じゃないか!」と訴えられないために、不健康割増で診断しているんでしょうか・・・。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090904k0000m040044000c.html

 ではでは・・・。

2009年8月27日 (木)

精神疾患の診断に活用できる血液成分を発見

 以前、取材で伺ったところでは、うつ病や統合失調症などの精神疾患は、医師による問診や行動観察で診断はできても、血液中の特定の分子の量の変化などから客観的に確定診断を下すことはできなかったんだそうです。

 そのため、診断があいまいになってしまうことがあって、精神疾患の病態を正確に診断するための指標とする分子の存在が求められていたわけですが、毎日新聞の記事によると、大阪市立大学大学院医学研究科の関山敦生客員准教授らの研究により、精神疾患の診断に活用できる血液中の分子を発見したんだそうです。

 いつものことながら、詳しくは以下のサイトをご覧いただくとして、簡単に記事内容を紹介しておくと、関山准教授らは、細胞間の情報伝達物質であるサイトカインの血中濃度について、3000人近くのデータを集め、それを詳しく分析することで、心身の変調やうつ病、統合失調症などを判定に利用できるタンパク質を見つけたというんですよ。

 しかも、うつ病、統合失調症について、見つけたタンパク質を活用した判定法を開発し、実際に400人を診断したところ、正しく診断できた確率はうつ病では95%、統合失調症では96%だったそうです。

 この95、96%っていう正診率が、実際の診断に使えるものと評価できるかどうかは、私にはわからないんですが、これまで客観的な診断を下す基準がなかったことを考慮すると、従来からの問診、行動観察による診断を強くサポートする客観的な基準になるんじゃないでしょうか。

 また、記事では、精神疾患の診断への活用だけでなく、健常者のストレス判定に利用できることを紹介しています。ストレスの判定も客観的な指標がなく、無理をしすぎて突然死なんてことを引き起こしてしまっていただけに、関山准教授らが見つけたタンパク質は、健常者の健康管理でも活用できそうですね。

http://mainichi.jp/select/today/news/20090826k0000m040145000c.html

 ではでは・・・。

2009年8月24日 (月)

痛くない注射針って実用化できるのかなぁ?

 ナノテクというほどの微細加工技術じゃないけれど、注射針を微細化することで、痛くない注射を実現しようとする研究が進められています。

 こうした研究は日本でも進められていたと記憶しているんだけど、今回はアメリカの話。以下に紹介するニュースサイトによると、ジョージア工科大学のマーク・プラウスニッツ准教授は、微細な針を剣山上に配置したパッチを発表したようです。

 以下のサイトにパッチの写真も掲載されているのぜひご覧いただきたいのですが、小さな絆創膏の表面から小さな針がいくつも飛び出しているような感じで、これを皮膚に貼るだけで、注射ができるっていう仕組みのようです。

 パッチを貼るだけなので、医療機関にまで出向かなくとも、薬局などで購入して、患者自身が自分で注射をすることも可能になると期待されており、2010年には臨床試験を始る目論見のようなんですが、こういう注射器ってどれほどニーズがあるんでしょうねぇ。

 糖尿病であれば、患者自身が定期的にインシュリンを注射しなければならないので、こうしたパッチが実用化されれば、それなりにニーズはあるとは思うけれど(これだけでも市場は結構大きいのかな?)、注射をされるっていうのは、医師の診断があった上でしょう。だったら、そのまま医師に注射してもらえばいいわけで、痛くないことだけを求めて、こうしてパッチを選択する人はどの程度いるのかどうか・・・。

 それに、従来からある注射器に比べて、それなりにコストも高まるだろうから、医療経済的にもあまり競争力の高い医療機器になるとは思えないんですが・・・。

 まぁ、新たな技術が開発されれば、新たなニーズが掘り起こされることはよくあることです。このパッチ型の注射器が実用化できるぐらいになれば、「注射を打たれるならパッチ型で・・・」と思う人も増えるかもしれませんね。

http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090819110010.htm

http://wellness.blogs.time.com/2009/08/19/a-patch-to-take-the-ouch-out-of-shots/

 ではでは・・・。

2009年8月20日 (木)

下水処理水に含まれる微量タミフルで耐性ウイルスになる?

 従来、ウイルスが薬剤耐性を獲得するのは、抗ウイルス剤を投与された患者の体内で生き残ったものが薬剤に対する耐性を獲得したからだと考えられてきたわけですよね。でも、そうした考えとはちょっと異なるメカニズムでウイルスが薬剤耐性を獲得するかもしれないという可能性を、京都大学の研究者が示唆しているとの話題を、読売新聞が報じています。

 詳しくは以下のサイトの記事をご覧いただきたいのですが、研究成果を発表したのは京都大学流域圏総合環境質研究センターの田中弘明教授と、博士課程3年のゴッシュ・ゴパールさんの研究グループは、インフルエンザの特効薬として使用されるタミフルが、服用した量の約80%がそのまま対外に排泄されていることに注目。下水処理水に含まれるタミフル濃度を測定したところ、最も高濃度であった時には下水処理水1リットル中に約300ナノグラムもあったことから、タミフルを含む下水処理水が河川に排出され、インフルエンザウイルスが感染した水禽がタミフルを含む水を飲みこむことにより、水禽の中でインフルエンザウイルスがタミフルに対する薬剤耐性を獲得するのではないかと指摘しているのです。

 実に興味深い指摘ではあるんだけど、こうした仕組みで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得し、それが流行株になるってことは本当にあり得るのかって疑問を感じてしまいました。

 というのも、環境中に放出されたタミフルに曝されることで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得する場となるのは水禽の体内なわけでしょう。だったら、そのウイルスも水禽に感染しやすいものなわけだから、それがすぐに人間に感染するってことはないわけですよね。

 水禽の体内でタミフル耐性を獲得したウイルスが、ブタに感染して、ブタの体内で人間に感染するウイルスとハイブリッドを起こして、人間に感染するウイルスがタミフル耐性を獲得する可能性は否定しきれないけれど、そのリスクってどれほどのものなんでしょうか。そんなふうに考えると、今回、提唱された仕組みで、インフルエンザウイルスがタミフル耐性を獲得し、それが流行して社会がパニックになる確率はすごく低いように思うんですが・・・。だって、こんなことが起こるなら、人間の体内に感染しているウイルスがタミフル耐性になって脅威になるほうが確率的にずっと高いわけでしょう。

 それに、記事では、沈殿処理した下水を浄化する標準的な処理ではタミフルを40%以下しか除去できなかったものの、オゾン処理を行えば90%は処理できるとも紹介しています。だったら、オゾン処理を行えば、問題ではなくなるって考えてもいいのかもしれませんね。でも、河川水中の濃度が最大約200ナノグラム/リットルだとも紹介されていますが、けっこう高い数値ですね。この点はちょっと気になるのなぁ。

 ですから、タミフル耐性を獲得するかどうかはともかく、人工の化学物質が環境中に放出されることはいいことではないので、できればオゾン処理を導入してもらってタミフルを無害化処理(といっていいのかな?)してもらいたいものですよ。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090815-OYO1T00311.htm?from=main2

 ではでは・・・。

2009年6月12日 (金)

新型インフルエンザ WHOがフェーズ6を発表したけど・・・

 新型インフルエンザですが、WHOの警戒水準をフェーズ6に格上げした。

 ここ最近、日本の報道は鎮静化ムードになってきているけれど、感染は静かに拡大しているし、オーストラリアやチリなど、現在、冬になっている南半球の国々では、さらに急速に感染が拡大しているようで、WHOもフェース6に格上げするしかなかったのだろう。

 ただし、今、警戒水準がフェース6に格上げされてもどうもピンとこない。

 というのも、今回の新型インフルエンザは、季節性インフルエンザと比べると、致死率、感染力ともに高いと言われているようだが、この冬にさんざん紹介されていた、鳥由来のN5H1インフルエンザウイルスの高病原性と比べると、いささか拍子抜けしてしまう。

 過去の感染例では、N5H1インフルエンザウイルスの致死率は6割だったわけで、それと同じぐらいの病原性の新型ウイルスが来るぞ、来るぞと紹介され続けたことを思い出すと、今回の新型インフルエンザの致死率0.4%には、「なぁ~んだ、その程度なの?」と感じた人も多いのではないか・・・。

 それでも死者は出ているわけで、警戒すべきなのは間違いないんだろうが、警戒水準が最高レベルのフェース6に格上げされたのにはやっぱり違和感を感じてしまうのだ。

 そこで、今一度、WHOのウェブサイトを覗いてみて、この警戒水準の定義を確認してみたら、やはり感染が拡大しているかどうかを示す基準でしかなく、そのウイルスの病原性については考慮していない。

 ならば、感染が拡大しているかどうかを示す、現行の基準以外に、ウイルスの病原性を示す基準があっていいんじゃないだろうか。

 例えば、「新型インフルエンザウイルスの感染拡大はフェース6に格上げしますが、病原性のリスク評価はフェース4のままです」とかね。このフェーズ4ってのは、まったく勝手に書いた例えなので、その意味は問わないでいただきたいのだが、今後、ウイルスが病原性を変化させることも想定すると、こうした表現のほうが、我々が直面しているリスクを正確に理解できると思うんだが、どうだろうか。

 今後、感染の拡大が終息に向かったところで、病原性は高まったとしたら、今の基準でWHOはどう表現するのかも気になるところだ。

 病原性は高まっていても、感染は終息に向かっているなら、現在の基準なら、フェーズは格下げってことになるはずだろう。そこで、「フェーズは格下げしますが、リスクは高まっています」なんて言っても、うまく伝わわらないんじゃないか。やっぱり、感染拡大を示す基準のほかに、病原性を示す基準を示し、新型インフルエンザウイルスが持つリスクを一般の人々に正確に伝えられるようにしたほうがいいだろう。

 まぁ、WHOの担当者が、このブログを見て、警戒水準を改正しようなんてことはないだろうけど、今日、WHOが警戒水準をフェーズ6に格上げされた報道を見て、こんなことを考えたってわけだ。

http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/phase/en/index.html

 ではでは・・・。